里の家ファーム

無農薬・無化学肥料・不耕起の甘いミニトマトがメインです。
園地を開放しております。
自然の中に身を置いてみませんか?

介護保険制度がどんどん難解に・・・

2017年02月13日 | 社会・経済

   今年、介護保険料が大幅にアップされる。しかも、相当使いづらそうだ。「福祉」は自己負担、国民から「社会保障」を奪い取る魂胆が見え見えだ。

http://blog.goo.ne.jp/yourhausu  読者仲間です。お知恵をお借りできるかも?


 

「介護」はこれからもっと過酷で悲惨になる

     介護保険制度がどんどん難解になっている

                                                      中村 陽子 東洋経済オンライン 2017.2.12

 

 介護離職、介護難民、介護殺人……。「介護」の2文字に付きまとう暗い影。多くの人にとって親が元気なうちは目を背けていたい、憂鬱なテーマではないだろうか。だがいずれやってくる現実。ここは一念発起、予習に踏み込むきっかけをくれる、初心者向けの書。『親の介護をする前に読む本』を書いた介護ライターの東田勉氏に心構えを聞いた。

 

元気なうちに親の意思を聞いておく

 ──高齢でも体は丈夫、自身の認知症など疑ってもいない親に、子はどう切り出せばいいのでしょう。

 まず、元気なうちに親の意思を聞いておくことが大事です。介護が必要になったら在宅か施設か、どこで介護されたいか。もう1つは延命を望むか望まないか。これを聞いておかないと絶対に後々後悔します。

 そして親が75歳になったら、要介護認定の検査を受けてもらうことを勧めます。役所から知らせが来たとか、受診が義務化された、健康具合を見に係の人が来るとか、ウソも方便。何とか要介護認定を受けてもらうのが第一歩です。65歳の誕生日前に送られてくる介護保険証持参で役所の介護保険課窓口に行き申請、受理されたら自分が立ち会える日に認定調査員に来てもらって、要介護認定の調査を受けます。1カ月後、要介護度が書き込まれた介護保険証が送られてくる運びです。

──すでに認知症、介護の本を多く書かれていますが、今あえて初心者向けに書かれたのは?

 今、介護は激変しています。これから介護に入っていく人には大変な時代になる。いろんな落とし穴があると警鐘を鳴らしたかった。介護保険、医療保険も財政破綻でサービス削減と負担増が同時進行し、働き手も圧倒的に不足している。懸念されていたことが現実となってきた。要介護3以上で入所可能な特別養護老人ホームの待機者は国の政策転換で減りつつあるけど、肝心の職員が確保できず、入所者を受け入れられない事態が多発しています。

 ──介護の基礎知識がないと、先々業界の人と「まともに対峙できない」とクギを刺されています。

 介護保険制度がどんどん難解になり、素人はついていけなくなりつつある。それ以前に要注意なのが、日本の福祉はすべて申請主義ということ。送られてきた介護保険証はそのままでは単なる紙切れ。要介護認定を受け要介護度の数字が記入され、ケアマネジャー・介護事業者と個別に契約して、やっと使用可になる。介護保険制度自体も面倒ですが、いろんな事業者と対峙していかないと全然前に進まない。だからこれから介護する人は腹をくくるしかない。

 離れて暮らしている場合は、親の近くにいつも気に掛けてくれる信用できるケアマネジャーをつけておきたい。要介護認定を受けて、要支援1、2の場合は地域包括支援センターがケアマネジャーをつけてくれます。要介護1〜5の場合は居宅介護支援事業所を通してケアマネジャーをお願いしますが、役所は一覧表をくれるだけ。まずは自宅近くの事業所から順に電話する。ポイントは複数の事業所に聞くことです。話してみて感じのいいところ、「絶対オムツはしたくない」など親の希望があれば、それに前向きに回答してくれたところと契約する。彼らは最低月1回の訪問を義務づけられているから、離れて暮らす家族はそのケアマネジャーに電話して様子を聞けます。ケアマネジャーさんを信用して相談相手にしていくことですね。

介護の仲間を作り、いろんな人の知恵を借りる

 ──在宅介護の場合は?

 一人で抱え込まずに他人の力を借りてオープンな介護を。デイサービスやショートステイをうまく使い、何とか自分の時間を確保して趣味も手放さないとか、余裕を持てるよう工夫しましょう。介護の仲間を作ることもとても大事。いろんな人の知恵を借りながら、介護を苦じゃないものにしていく。地域の介護の先輩からアドバイスをもらって受診機関を決めるとか、生活面での助言をもらうといいですね。認知症の場合は「認知症の人と家族の会」という公益社団法人が47都道府県すべてにありますから、地元に家族会がないか教えてもらうといいです。なるべく近くの家族会に顔を出してアドバイスをもらう。介護の経験者は皆さんとても親切です。アドバイスすることにやりがいを感じる方が結構多くて、初めて介護する人の苦しみや悩みに寄り添ってくれます。

 ──初心者には初耳の話だらけです。

 ええ、向こうから教えてはくれませんから。そこがおかしいのです。たとえば地域包括支援センターは利用してくれるのを待っていても、自ら情報を発することはありません。

 介護というと寝たきり老人の食事や排泄(はいせつ)、入浴の世話など、キツい“後始末”の印象が強いけど、本来そうではなく、長年続けてきた生活習慣へ戻すことです。でも現実には、自分の口から食べてもらう方法、自分でトイレで排泄してもらう方法、普通のお風呂に入ってもらう方法を探らず、食事は鼻からチューブ、排泄はオムツ、体はふくだけか入浴してもストレッチャーによる機械浴とか、手抜き介護の施設が多い。本当にあるべき介護をやっていけば、これほど感謝される仕事はないし、お年寄りも幸せになる。亡くなるギリギリまで普通の生活を送れるのです。

薬で苦しむ被介護者や家族

 ──認知症を疑ってもやみくもに受診するな、と書かれていますが。

 地域の家族会でアドバイスをもらってからのほうがいいと思います。

 実は認知症医療に問題あり、と考えているんです。受診するとその日から薬物療法が始まり、そうすると興奮して暴れだす、暴言を吐くなどさまざまな副作用で問題が起こり、それに対し今度は向精神薬が処方され、お年寄りがダメージを受けていく例が少なくない。その後、歩行障害や嚥下(えんげ)障害の副作用が加わっても、これが認知症です、進行性の病気だからこういうものです、と医師も薬害であることを認めないんです。

 薬で苦しむ被介護者・家族がたいへん多いので、認知症の医療を安全なものにしないと介護にならんなという問題意識があります。認知症介護の苦しみは介護現場か、もしくは家族しか見ていません。診察室で暴れることはめったにありませんから。取材を通して私が痛感するのは、介護の問題は突き詰めれば認知症の問題になり、認知症の問題は突き詰めれば薬害の問題ということです。

 この本の裏テーマは、自分が介護を受ける前に読む本、です。後始末介護と表現したような劣悪な介護とよい介護を見分ける目を養うとか、申請主義の制度の問題、悪い業者の囲い込みに遭わない方法とか、本人のためにならない医療を受けないこと、胃瘻(いろう)をはじめとする延命や終末期医療の問題など、自分が介護を受ける前の予習本としても書きました。