今日は久々のいい天気。それでも朝は5㎝程降った雪を除雪。国道は雪が融けています。江部乙の屋根雪が気になっていたので、まず古い納屋の方を始めようとしたら、立てかけておいた2連梯子がない。風で倒れて雪の下になってしまったのだろうか。とりあえず大きな脚立で家の方に持っていき屋根の上まであがることができた。1mくらいだからすぐ終わると思いきや、わりと暖気だったせいでぎっしりと詰まっていた。2階部分は終えたが、もうヘトヘト。1階ひさし部分は明日?・・・
魚の消費が減っても市場拡大していた「骨なし魚」
高齢社会で再び注目が集まる“安全に食べられる魚”
JBPRESS 2017.02.03(Fri) 佐藤 成美
今や高齢者向け施設の食事では「骨なし魚」が当たり前。より食べやすく、調理しやすくと、さまざまに工夫された製品が出回っている。
水産物消費減の中でも市場拡大
4人に1人が65歳以上という高齢社会になり、高齢者向けの食品の需要が高まっている。高タンパク質、低カロリーの魚は積極的に取り入れたい食品だが、噛む力や飲み込む力が衰えた高齢者には、小骨が喉に刺さりやすい。
骨が喉に刺されば危険なので、事故防止策として2000年頃から骨なし魚が出回るようになった。今では、介護施設では魚は骨なしが当たり前になっている。
骨なし魚とは、あらかじめ骨を抜いた魚のこと。1998年に業務用冷凍食品の開発や販売などを行う大冷が「骨なし太刀魚」を開発し、病院で採用されたのが骨なし魚の普及の発端だった。
当初は高齢者や病院食向けのものだったが、近頃では魚の骨がクレームの対象になることもあり、学校給食や外食産業でも多く使われている。店頭にも並ぶようになり、使いやすさから一般消費者の購入も増えている。水産物の消費が減る中で、骨なし魚だけは大きく市場を広げているのだ。
ピンセットで1本ずつ抜いて「骨なし」に
骨なし魚は手間をかけて製造されている。鮮度が落ちないよう管理した環境で、人がピンセットを使って、骨を1本1本抜いているのだ。骨の取り残しがないよう、X線で魚を検査する念の入れようだ。骨を抜くと身が崩れるので、酵素や食品添加物を使って形を整え、凍結して製品になる。
骨を抜く加工機械は開発されているが、魚種によっても、個体によっても骨のつき方に違いがあり、機械で骨を抜くのは困難だ。メーカーは処理方法に工夫をこらすが、最後は人手に頼らざるを得ない。そのため、人件費の安いタイやベトナムなどの東南アジアや中国に製造拠点を置き、冷凍品として流通している。
主な魚種は、あじやいわし、さば、かれい、さけ、さわら、めばるなどさまざま。製品は、切り身のままのものもあれば、調理しやすいように調味したもの、煮魚や焼き魚に調理したものがある。
「凍ったまま調理」がスタンダードに
多くのメーカーが骨なし魚に参入し、競争は激化している。次々と発売される骨なし魚の新製品には、凍ったまま調理できることを謳っているものが多い。凍った魚をそのまま調理をすると急速に解凍されて、魚から液汁が出る。液汁とともにうまみは逃げるし、身はぱさぱさになり臭みが出るので、冷凍魚は解凍して調理するのが一般的だ。
しかし、人手の少ない介護施設や病院などでは、なるべく手間を省き、調理時間を短縮したい。そんな現場のニーズから、解凍せずにおいしく調理できる製品が生まれたのである。
各メーカーは、切り身や調味液に保水成分を加えるなど特殊な技術を開発し、凍ったまま調理しても風味が損なわれないようにしている。また、凍ったままおいしく調理できる方法を自社で開発して、ユーザーに提案しているメーカーもある。さらに、調理したものを湯煎してすぐ盛りつけられるもの、自然解凍でもおいしく食べられるものなどもある。これらは魚肉の食感を柔らかく保つための工夫がされている。
業界団体と国、2つのマーク
骨なし魚には、高齢者がもっと食べやすくなるように、「ユニバーサルデザインフード」として開発された製品も多く出回っている。
ユニバーサルデザインフードは、日常の食事から介護食まで使えるように食べやすさに配慮した食品として日本介護食品協議会が定めたもの。同協議会では、食品を選択するときの目安として、食品を固さや粘度に応じて「容易に嚙める」や「噛まずに食べられる」などの表示をマークとともに定めている。
農林水産省も介護食品を「スマイルケア食」として枠組みを整備した。スマイルケア食は、健康維持上栄養補給が必要な人向けの食品に「青」マーク、噛むことが難しい人向けの食品に「黄」マーク、飲み込むことが難しい人向けの食品に「赤」マークを表示する。
マークの運用は2016年から始まったばかりだが、スマイルマークをつけた骨なし魚も登場している。「スーパーマーケットに並ぶ骨なし魚の製品が増える中、マークによって食べやすさや栄養価値をアピールし、差別化したい」というメーカーの声もあった。
一方、骨なしが主流の中、あえて骨ごと食べられるようにして栄養価をアピールする製品もある。魚の骨は邪魔だが、カルシウムの宝庫でもあるのだ。10年ほど前に高圧で加熱することにより、骨まで柔らかくした魚の切り身がマルハ(現マルハニチロ)で開発され、注目された。
その後、さまざまなメーカーから同様の食品が発売されているが、高齢者向けの製品もいくつかのメーカーから発売されている。「栄養価が高まるばかりでなく、骨を抜く工程がなくなるので、鮮度を保持しやすいし、国内でも製造できる」と製品を販売しているメーカーの担当者はいう。ただ、介護施設などでは骨による事故の懸念が大きく、採用してもらうまでのハードルは高いという。
超高齢社会に向け、手間がかかろうとも・・・
骨なし魚は食べやすくていいが、こんなにも手間をかけて作っていたとは驚きだった。骨なし魚は几帳面な日本人らしい発想といえそうだ。
今後も高齢化はとどまることはなく、内閣府は「高齢社会白書」で、2060年には2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上になると予測している。高齢者向け食品の市場の拡大は確実だ。だから、各メーカーとも手間がかかろうとも骨なし魚の製品に力を入れるのだろう。
一方、消費者の魚離れを食い止めるためにも骨なし魚は期待されている。ただし、骨も魚を食べる醍醐味の1つ。それに製造の手間を考えると、骨なし魚ばかりになるのはどうだろうか。
少なくとも、骨なし魚は高齢社会においては有用な食品だ。従来の骨あり魚とうまく共存できるとよいだろう。