「生理ナプキン持ってるから非処女確定」アイドルファンの妄言は笑い事じゃない、安倍政権の“性教育破壊”で性の知識がヤバイ
リテラ 2017.6.9
現在、AKB48グループは、動画配信サイト・SHOWROOMを通して、各メンバーが自宅や楽屋などでスマートフォンを使い自ら放送を行う動画配信サービスをしているが、その配信でちょっとした事件が起き、それが「日本の性教育」の不備について改めて議論を噴出させている。
先月25日、瀬戸内7県を拠点とし、今年4月に活動が始まったばかりのSTU48に所属する石田みなみが自宅で動画配信を行っていたところ、カメラの操作を誤り、偶然部屋に置いてある生理用ナプキンを映してしまう事故が起こった。
本人は笑って恥ずかしかっていたが、まあこれだけなら大した騒動でもない。ただ、このちょっとした放送事故を話題にした「2ちゃんねる」のスレに書き込まれた言葉が、大きな話題を呼んだ。
〈ナプキンwwww非処女確定wwwwwwww〉
〈セックスの予定ないのに生理する意味ってなんなんですかねwww〉
書き込みの主が本気で書いたのかどうかは判別できないが、ネタとしてもちょっとありえない感覚だろう。
しかもこれは笑い話では済ませられないかもしれない。今後、子供たちの間でこういう間違った性知識や無茶苦茶な偏見がどんどん広がっていっていく可能性がある。
それは、いま、日本で正しい性教育の機会がどんどん減っているからだ。
日本性教育協会によると、2013年に男女学生を対象に行った「性に関する情報はどこから得るか?」といったアンケートに対し、男女ともに「学校」や「家庭」は0%。男子学生では「メディア」が58%で、女子学生は「友人」が57%が最大回答となっている。
「友人」という回答はもちろん、「メディア」という回答も、問題は多い。学校で基本的な知識も得ておらず十分なリテラシーもない人が、インターネットを始めとした有象無象の情報にアクセスすることは、メリットよりもデメリットのほうを多く含有していることは言うまでもないだろう。
その結果もたらされているのが、昨今しばしば報じられている「日本は先進国のなかで数少ないエイズ発症患者が増加している国」や「梅毒感染者数の増加が著しい」といった歓迎されざる状況なのに疑いの余地はない。
日本会議のバッシングにより後退した日本の性教育
以上の通り、学校における性教育の充実は、市民の命と健康を守るために急務なのだが、肝心の教育現場はむしろ逆行しているのが実情だ。『こんなに違う! 世界の性教育』(メディアファクトリー新書)のなかで、教育学者の橋本紀子氏は日本における性教育についてこのように指摘している。
〈日本では02年以降、学校の性教育に対する保守派の「性教育バッシング」が起きており、性教育の内容に対する厳しい抑圧と規制が強まっています。ちなみに、性教育バッシング派は、性器の名称を小学校低学年で教えること、性交と避妊法を小・中学校で教えることなども「過激性教育」として攻撃しています。
こうした「性教育バッシング」を反映してか、新しい文部科学省学習指導要領でも、小学校はもちろん、中学校でも性交や避妊法について取り上げていません。コンドームこそ登場するものの、それはあくまで性感染症予防の手段としてのみの紹介です。〉
こういった状況であれば必然的に性教育に割かれる授業時間も少ない。フィンランドでは年間17時間もの時間が性教育にあてられているのに対し、日本の中学において性教育に割かれる授業時間は、年間平均でわずか3時間ほどだ。
また、授業時間だけなく、授業の質においても、日本の性教育は問題を抱えている。日本で性教育は、「保健体育」というかたちで、雨で校庭が使えない日などに、特に専門知識があるわけでもない体育教師が行うことが多いが、ヨーロッパ諸国では「理科」や「生物」の時間に性教育の授業が行われることが多い。
たとえば、フィンランドでは「生物」と「健康教育」の時間に性教育が行われる。「生物」の時間には生殖や遺伝の仕組みなどについて教えられ、「健康教育」の時間には性感染症の感染経路や治療方法について詳しく解説されたり、さらに、セクシャルマイノリティの問題にも触れ、多様な価値観を理解し受け入れることの大切さが説かれるなどしている。
その一方、日本ではどうか。前掲『こんなに違う! 世界の性教育』ではこのように解説されている。
〈小学校理科の学習指導要領では、「受精に至る過程は取り扱わないものとする」と定められており、2002年頃からバッシングが始まりました。そのため、性交については、現在では一切教えることができなくなっています。仕方なく、ほ乳類の交尾を教えることで、子どもたちに類推させる工夫もされているのですが、実際に授業を受けた子どもたちの感想によると、「ヒトの精子と卵子がどのようにして受精に至るのか、よくわからなかった」などの疑問が出されているようです。〉
性教育は結婚してから? 山谷えり子の「お花畑」な性教育観
はっきり言って苦笑せざるを得ないお粗末さだが、ご承知の通り、こういったバックラッシュの旗振り役は、安倍首相とその取り巻きの自民党極右政治家、そして彼らを支える日本会議である。
自民党は2005年に「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を発足させ、なんの実態もないのに、〈「ジェンダーフリー」という名のもと、過激な性教育、家族の否定教育が行われている〉として圧力を強めたのだが、その時の座長が安倍首相。しかも、安倍首相は自民党本部で開かれた「過激な性教育・ジェンダーフリー教育を考えるシンポジウム」にてジェンダーフリー推進派について「私はカンボジアで大虐殺を行ったポル・ポト派を思い出す」と無茶苦茶な発言をしている。
さらにとんでもないのが、安倍の側近、山谷えり子参院議員だ。山谷は、安倍が座長である「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」の事務局長を務め、当時、一部の公立学校で行われていたオープンな性教育を徹底批判。教育現場はすっかり萎縮し、性教育を封印。その結果が、これまで述べてきたような状況をつくり出していることは言うまでもない。
だが、それでも山谷に迷いはない。13年に放送された『ニッポンの性教育』(中京テレビ制作、第51回ギャラクシー賞優秀賞受賞作)の取材で、山谷は性教育のあり方について、このような持論を展開しているのだ。
「本当に子ども時代はですねえ、ちょうちょが飛んでいる姿、お花がキレイに咲く姿、昆虫が一生懸命歩いている姿、それで命の尊さというのは私達は十分学んできたんですよね」
昆虫や植物を見て性を学べ。思わず呆然としてしまう回答だが、ディレクターが「具体的なことは教える必要はないということですか?」と質問。すると山谷は「本当は結婚してからだと思いますね、はい」と答えたのだ。
性教育は結婚してから……この珍回答には「ちょうちょが飛んでるのは議員の頭の中」と、ネット上でも失笑を買う事態となった。
こういった人々によりねじ曲げられた性教育はいまも続いている。現在でもそうだが、これからの子どもは、小さい頃からインターネット環境に囲まれて育つ。必然的に、早い時期から性的な情報に触れることにもなり、そうであればより一層きちんとした情報を早期に与えることが必要なのだが、現行の学習指導要領は〈中学生は性行動をしないという暗黙の前提があり、性交、出産場面、避妊については検定教科書には掲載されていません。そのため、「避妊法」を教えているのは約3割でした〉(前掲書)という状況にある。
これは看過していい状況ではないのは間違いない。(編集部)
そんでもって、安倍の近くにはレイプマンが潜んでいるのかな?
詩織さんのセカンドレイプ。警察、医師、友人、家族…。正しい性教育がなされていないからでしょう。
詩織さん「処女ですかと聞かれた」セカンドレイプのような捜査の実態語る…性暴力被害者に対する捜査員の対応に疑問の声も?性的二次被害の実態とは
ENDIAより
「捜査員のみなさんから、『処女ですか?』と質問されました。『なんのための質問ですか?』と聞いたら、『聞かなくてはいけないことになっている』と。捜査のガイドラインに載っているんだと思いますが、そうならとてもおかしいことだと思います」
そう話すのは、元TBSのジャーナリスト山口敬之氏(51)から、レイプ被害を受けたと訴えているジャーナリストの詩織さん(28)。
詩織さんは5月29日、山口氏が不起訴処分になったことを受け、検察審査会に不服申し立てをしたあと“実名・顔出し”の記者会見を行い、注目を集めた。
記者会見後は、「売名行為だ」といったバッシングもあり、「2日間ほど固形物が喉を通らなかった」と言うほど、詩織さんは強いストレスを受けていた。
しかし、冒頭のような警察の捜査態勢をはじめとする、性犯罪被害者がバッシングを受けるような状況を「変えないといけない」という強い思いから、記者会見から約1週間後の6月7日、詩織さんは再び心境を語る決意をした。
「捜査の過程では、被害者として耐えられないことがたくさんありました。所轄の高輪署では、男性警官がいる前で私が床に寝転がり、大きな人形を相手にレイプされたシーンを再現させられました。さらにそれを写真に撮られるんです。口頭で説明すれば状況はわかることなのに、なんでこんな屈辱的なことをしなくちゃいけないのか。ほんとうに苦しかった……」
詩織さんの口からはまさに“セカンドレイプ”のような捜査の実態が語られた。8日、性犯罪に関する刑法の厳罰化に向けた法改正が衆議院で可決された。
しかし詩織さんは「こういう捜査の方法から変えていかないと、被害者が警察に届け出できない。いくら性犯罪の法律が厳罰化されても救われない」と指摘する。
とくに詩織さんのように知人からレイプ被害を受けたと訴えた場合、「合意があったのでは?」と被害を受けた側が疑われ、被害届を受理されるのすら難しいという現実がある。
今回はホテルの防犯カメラの映像をチェックした警察が、事件性があることを認めた後ですら「君の経歴に傷がついてしまう。いままでがんばってきた勉強も全部水の泡。あなたも傷つく、家族も傷つく」などと言われ、詩織さんは何度も、警察から被害届を出すのを思いとどまるように説得された。
「私は被害を受けた時点で十分傷ついています。そこを受け入れてもらえないと知ったときは、もっと残念に思いました。日本には、性被害について語ることは“タブー”っていう空気があって、被害者自身が話せない状況が作り上げられている。このタブーを壊して話せる社会にしないと被害者は助かりません」
こうした無理解に加え、大きな問題なのは、社会に根深く残る性犯罪被害者に対する“偏見”だ。5月29日に行った記者会見のあと詩織さんは、着ていたシャツの「胸元が開きすぎている」と非難を受けた。
つまり「そういう隙のある服装をする被害者が悪い」という被害者に責任を押しつける風潮があるのだ。詩織さんは、幼いころにも同じような非難を受けたことがあった。
「10歳のとき、母に初めて買ってもらったビキニを着て友人と波のプールで泳いでいたら、男性に後ろから体を触られたんです。でもそのとき友人の母親から『そんなのを着ているからよ』と言われて、とてもショックでした。着ているもので責められる。日本の性犯罪被害者に対する認識はいまも遅れたままだと思います」
気丈な詩織さんだが、「家族に心配や迷惑をかけるのは、本当に辛かった」と話す。
「けど、私がだまっていたら現状を変えられない。将来、自分の子どもや大切な人に同じことが起こったら、すごく後悔すると思ったんです。いまここで、なぜきちんとこの話を伝えて、変えようとしなかったんだろうって。まちがっていることは、まちがっていると、きちんと話せる社会にしたいんです」
記者会見後に詩織さんへのバッシング広がる
会見では「法的、社会的状況が性犯罪の被害者にどれほど不利に働くかを痛感した」と振り返った。ホテルを出て数時間後に受診した病院では、「失敗されちゃったの?」と緊急避妊薬を処方されただけ。
ベッドから起き上がれない状態で性暴力被害者支援のNPOに電話すると「まずは面接を」と言われた。告訴をする前にまず警察に相談すると、「事件として捜査するのは難しい」と被害届の提出を思いとどまるよう説得されたり、示談を勧められたりしたという。
「同じ思いをする人が出てほしくない。状況の改善や、そのための議論のお役に立つことができれば」と、会見の理由を説明した。
ところが翌日以降、ネット上では「負けないで」「勇気ある行動」という励ましや称賛とともに、「胸元を開けすぎ」「ハニートラップではないか」など激しいバッシングが広がった。
今国会に提案されている性犯罪厳罰化を柱とする刑法改正案は、いわゆる「共謀罪」の審議を優先するために議論が先送りされていた。これについて会見で「きちんと取り上げられるべきだ」と主張。
これがネット上で取り上げられ、「左翼のまわしもの」「政権への刺客」と非難する声も上がった。一方、山口さんが安倍晋三首相と親密だとして「逮捕中止はそんたく」との投稿もあり、思いをよそに与野党の代理戦争の様相を呈した。
会見翌日、詩織さんは改めて記者の取材に応じた。「会見で、いつものようにシャツの上のボタンを開けて臨もうかどうか迷った。そういう会見にふさわしいのかどうか迷って友人とも相談した。
でも、普段の自分の姿で会見しようと。ネット上で批判があったのは知っている。でも、スカートをはいていたらレイプされてもいいのか。ドレスを着ていたらレイプされてもおかしくないのか」。こうも語った。
「(性犯罪の)被害者は『汚い』と思われ、女性として生きていくことが困難になる。不思議です。悪いことをしていないのに何でだろう、と」
セカンドレイプを恐れて声上げられず
性暴力の被害者が、事件後に病院や警察から何度も状況説明を求められたり、他人の好奇の目や無神経な言葉にさらされて二重に傷つくことを「セカンドレイプ」という。
それを恐れて被害届を出さない人も多い。内閣府の調査(14年度)によると、男性から無理やり性交された経験を持つ女性は15人に1人(6.5%)。このうち7割が顔見知りによる被害だが、警察に相談したのは被害者の4.3%に過ぎない。
詩織さんは会見で「本当は実名で出たかったが家族に反対された」として姓は非公表としたものの、素顔と名前を公表した理由について「被害者が顔を隠してもらわないと話せないという状況、被害者は悲しい弱い存在で、隠れていないといけない、恥ずかしいと思わなきゃいけない、という状況に疑問がある」と語った。
性暴力の被害者を支援する「NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI」代表の望月晶子弁護士は「被害者が勇気を出して声をあげるとたたかれる、という構図は被害者が被害を訴えにくくするもので非常に残念」と指摘する。
性犯罪厳罰化を柱とする刑法改正案の今国会成立を呼びかけている市民グループ「ちゃぶ台返し女子アクション」の鎌田華乃子さんは「報道で詩織さんを知った」と言う。
「性暴力の被害者が被害を訴えても、疑われたり相手にされなかったりするケースが多く、顔や名前を公表して声を上げることはプラスよりもマイナスが大きい」と、詩織さんの勇気をたたえる。
「彼女の姿勢に勇気づけられた人は多いはず。詩織さんを応援するようなメッセージを発信したり届けたりすることが、被害者が生きやすい社会にしていくために大事だと思う」