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ライドシェア推進派の正体

2023年11月27日 | 生活

IT企業トップら もうけのタネに

「しんぶん赤旗」2023年11月27日

 政府は、一般ドライバーが自家用車で有償送迎する「ライドシェア」の解禁論議を加速させています。安全性や労働条件をめぐって国民やタクシー業界の反対があるなか、政府が解禁に前のめりになるのはなぜでしょうか。表向きの理由は「タクシー不足」ですが、その背景には「ポスト岸田」をめぐる政局で存在感を示したい菅義偉前首相や、ライドシェアをもうけのタネにしたいIT企業トップらの思惑があります。

海外企業に出資

 ライドシェア解禁が議論になったのは、今回が初めてではありません。2010年代後半、IT企業を中心に解禁を求める声が挙がりました。

 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は18年7月、「いま日本ではライドシェアが法律で禁止されている。こんなばかな国がいまだにあるということは、ぼくには信じられない」と指摘。楽天グループの三木谷浩史社長も19年8月、ライドシェアの導入が「日本の発展にとって極めて重要だ」と述べました。

 ソフトバンクや楽天は、日本でのライドシェア解禁を要求しただけではありません。海外のライドシェア市場の急速な拡大を見て、ライドシェア企業に出資し、もうけのタネにしようとしました。

 20年度のソフトバンクグループの有価証券報告書によると、ライドシェア企業大手のウーバーには64億ドルを出資しています(現在は売却)。楽天グループも15年3月、ライドシェア企業のリフトに3億ドルを出資し、三木谷氏が取締役に就任しました(20年に退任)。

菅氏の鶴の一声

 彼らの猛攻にもかかわらず、日本のライドシェア全面解禁は挫折。国会は20年、改定地域公共交通活性化法の付帯決議(衆院)で、「いわゆる『ライドシェア』は引き続き導入を認めないこと」との一文を明記したのです。

 ところが、この政府方針は今年8月、菅前首相の鶴の一声で覆りました。

 「現実問題として(タクシーが)足りない。これだけ(運転手の)人手不足になってきたら、ライドシェア導入に向けた議論も必要だ」(8月19日)

 これを受けて、国では河野太郎デジタル相の主導で、ライドシェア解禁の議論を開始。岸田文雄首相も通常国会の所信表明で、「ライドシェアの課題に取り組む」と解禁論議を容認しました。

 一方、地方では「活力ある地方を創る首長の会」(会長・田中幹夫富山県南砺市長)がライドシェア解禁の旗振り役を担いました。同会は10月16日にライドシェアの規制緩和を求める提言を国交省に提出しています。

 同会は20年10月に菅政権(当時)を支持する88自治体の知事、市町村長で発足。同政権が進める地方創生や規制改革を率先して取り組む有志の団体です。11月17日現在の会員数は253人。「神奈川版ライドシェア」を打ち出した黒岩祐治神奈川県知事は、同会の「会長代行」です。

 同会の11月1日現在の役員名簿によると、「相談役」にはデジタル庁の参事官補佐、「政策参与」には同庁の河野大臣付参与が就任。国と地方一体でライドシェアのゴリ押しが行われています。

無権利労働拡大

 ライドシェア推進派の筆頭は、竹中平蔵元経済再生相。新自由主義の規制緩和路線により、30年にわたる「コストカット型経済」を後押しした中心人物です。第2次安倍政権下の「未来投資会議」(16~20年)では一貫してライドシェア解禁を主張していました。

 ライドシェアの運転手は、雇用された労働者ではなく仕事を請け負う個人事業者・自営業者だとされます。しかし、実際には企業から仲介された乗客を乗せる以外には仕事ができず、運賃も完全に会社の支配下に置かれます。こうした労働者が増えれば、低賃金で無権利な働き方が社会全体に広がる危険性があります。

 岸田首相は「コストカット型の経済から30年ぶりに歴史的転換を図る」と豪語しましたが、ライドシェアの解禁は「コストカット型経済」を拡大してしまうものです。(森糸信)


これ以上労働者を無権利状態にするのはもうやめてほしいものだ。
今、賃金を上げようとしている時に、まさに逆行するものではないか。