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訪問介護 報酬引き下げ方針

2024年02月09日 | 生活

深刻な人手不足に拍車 自公政権下、事業所倒産は最多

「しんぶん赤旗」2024年2月9日

 介護事業所に支払われる介護報酬の2024年度改定をめぐり、岸田政権が示した訪問介護への基本報酬の引き下げが、現場に衝撃を与えています。政府は加算措置の引き上げなどで「処遇改善を最優先とした」「メリハリをつけた」と言い訳していますが、賃上げの前に訪問介護事業を崩壊させる愚策です。

 「私たちの誇りを傷つけ、さらなる人材不足を招くことは明らかで、断じて許されるものではない」。武見敬三厚生労働相あてに連名で意見書を手渡した全国ホームヘルパー協議会と日本ホームヘルパー協会の訴え(1日)です。「訪問介護サービスが受けられない地域が広がりかねない」と危惧しています。

 政府は看板政策の賃上げのため「加算で応援する」と言いますが、経営自体が厳しいのが実態です。厚労省は23年度調査で、訪問介護は経営が「改善した」と強調しましたが、半分近い事業所が赤字の22年度(福祉医療機構調べ)から増えたのは、1事業所あたり平均で月6万円増にすぎません。(収支差額は合計で同約24万円)

離職増で支出減

 そのうえ、離職者の増加・他産業への流出を背景に、厚労省は「人件費等の支出が減少した結果として収支差が上昇した」と説明。“改善”とはほど遠い実態で、「厳しい事業経営となっている状況」を認めています。

 しかし、基本報酬は入浴や排せつ、食事などの身体介護も、調理、洗濯、掃除などの生活援助も、通院時の車の乗降介助も軒並み引き下げます。「事業所をつぶす気か」「やっていることがめちゃくちゃ」とSNS上でも批判が噴出しています。

 加算を見ると、サービスの質がより高い訪問介護への「特定事業所加算」は算定要件が厳しく、22年11月時点で対象事業所の半数が「算定なし」。最も高いプラス20%の加算を取得したのは5・7%だけです。今回の改定で、要件に24時間の連絡体制と訪問介護の体制整備などを加えますが、大半を占める小規模事業所には容易でないとみられます。

 3種類ある処遇改善加算は一本化し、加算を最大24・5%に引き上げますが、現行の取得パターンと比べ2・1%だけの積み増しです。基本報酬の引き下げがセットのため、小規模な事業所ほど厳しい「職員の3割以上が国家資格の介護福祉士」などの要件を満たし最も高い加算を取れても、事業所の収入全体はマイナスとなる試算が出ています。“応援”するなら基本報酬を引き上げるべきです。

高齢化進む現場

 訪問介護の窮状は深刻です。自公政権の報酬抑制によって昨年の事業者の倒産は67件に達し、過去最多を更新(東京商工リサーチ調査)。残業代などを除いた介護職の給与は全産業平均より月約7万円も下回っています。(22年厚労省調査)

 人員確保が困難で、有効求人倍率は全産業平均の1・31倍に対し、訪問介護は15・53倍と突出(22年度)。訪問介護員(ホームヘルパー)の高齢化が進み、22年10月時点でも7・4人に1人が70歳以上です。60歳以上で見ると全体の4割近くに迫っています(介護労働安定センター調査)。家庭だけでなく公的保険サービスも「老老介護」が広がっているのが実態です。(松田大地)

制度残って介護なし

全日本民医連事務局次長(介護担当) 林泰則さんの話

 ハードルが高い割に加算はあまりに不十分で、そのうえ基本報酬を引き下げれば、大半を占める小規模事業所は耐えきれず倒産や閉鎖が増え、訪問介護事業そのものが崩壊すると危惧します。

 訪問介護は在宅生活を支える基本中の基本のサービスです。地域に根付いてきた小規模事業所をつぶせば、行き場のない「介護難民」や家族の「介護離職」が確実に広がります。介護保険制度の理念である「介護の社会化」に逆行しています。

 根本的解決のため、利用者負担を増やさないよう国費・公費負担割合を引き上げ、抜本的な処遇改善やサービスの拡充、支払える保険料への軽減を進めるべきです。このままでは「制度だけ残って介護なし」という深刻な事態を招きかねません。

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政府が訪問介護報酬引き下げ方針

事業者も家族も 「撤回を」

2024年2月8日

ヘルパーの誇り傷つける■「在宅介護終わりの始まり」

 「在宅介護の終わりの始まり。介護保険崩壊の第一歩」―。政府が来年度の介護報酬改定で、訪問介護事業所に支払われる基本報酬の引き下げを打ち出したことに事業者や介護家族、市民がその撤回を求めています。(内藤真己子)

 今月初め、厚生労働省は怨嗟(えんさ)の声に包まれました。認定NPO(非営利団体)法人「ウィメンズアクションネットワーク」(上野千鶴子理事長)や、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」(樋口恵子理事長)など5団体が引き下げに抗議、撤回を求める緊急声明を1日発表しました。数日で2400人以上の賛同が集まり、事業者が駆け付け「訪問介護はなくてもいいと言われているよう。衝撃だ」と告発しました。

 同じ日、全国社会福祉協議会全国ホームヘルパー協議会の田尻亨会長と、日本ホームヘルパー協会の境野みね子会長も厚労省を訪れ、武見敬三厚労相宛て抗議文を提出しました。両団体は介護報酬を審議する厚労省審議会で「基本報酬の引き上げ」を強く求めてきました。引き下げに「私たちの誇りを傷つけ更なる人材不足を招くことは明らかで、このような改定は断じて許されない」と異例の抗議に出たもの。田尻全国ヘルパー協会長は「いまだ信じられない。裏切られた気持ち」と語りました。

2~3%の減額

 来年度の介護報酬は全体で1・59%増とされました。ところが訪問介護は、「身体介護」(食事介助やオムツ交換など)も、「生活援助」(掃除や買い物、調理)も2~3%減額されたのです(別表)。

 ホームヘルパーは有効求人倍率が15倍を超える(2022年)異常な人手不足です。そのため事業所の倒産が昨年は67件と過去最多を更新。2日の「ヘルパー国賠訴訟」東京高裁判決(谷口園恵裁判長)は請求を棄却したもののヘルパーの「低賃金や慢性的な人手不足」を認めました。

 厚労省は、同省の「介護事業経営実態調査」で訪問介護の収支差率(利益率)が7・8%となり、全介護サービス平均を上回ったことを引き下げの主な根拠としています。

 これに関係者が疑問を投げかけています。地域を1軒ずつ回る従来型の事業所の収支差率は6・7%。一方サービス付き高齢者住宅(サ高住)など集合住宅に併設され、ヘルパーが住宅内の利用者を回る併設型事業所は収支差率9・9%で、大きな開きがあります。

 5団体の緊急声明は、「大幅な黒字は増加の一途の併設型の収益率が高いから」とし、地域を回る事業所と「カテゴリー自体を分けるべきだ」と訴えています。呼びかけ団体の「ケア社会をつくる会」世話人の小島美里さんは、「併設型事業所の数は27%ですが、そこに訪問介護報酬全体の40%が支払われています。ヘルパーの移動がなく、効率よく利益があがるので大手が参入し事業所が増えている」と指摘します。

「利益増」違和感

 さらに抗議文を出した全国ヘルパー協議会の田尻会長は、従来型の収支差率にも「違和感がある」と言います。自身が所長を務める熊本市内の事業所は同1~2%で、調査と乖離(かいり)があります。「実態調査は煩雑で事務職がいない零細事業所は回答が難しい。回答していると思われるのは大手で、利益が出る身体介護を中心に受けているのでは」と田尻さん。「人員不足で人件費が減り見かけの利益が増えているが、経営の安定とはまったく違う」

 厚労省は、基本報酬を下げたものの介護職員の賃金引き上げに充てる「処遇改善加算」を他のサービスより高く引き上げているので事業収入全体では影響はないとしています。

 ところが田尻さんの事業所で試算すると月約0・8%の減収になりました。総報酬は、基本報酬などのベースに処遇改善加算率をかけて決まり、ベースが減れば加算率が上がっても減収になるからです。「処遇改善加算をこれまで取得していない事業所が取得したり、いまより上位の加算を取得しないと減収になると厚労省も認めています」と田尻さん。厚労省は加算がとれるよう支援するとしますが、「すべては難しい。加算が取れず事業所が廃止となれば、訪問介護が受けられなくなる地域が増え、不公平が拡大してしまう」。

 緊急声明の会見で訴えた千葉勤労者福祉会介護部長の門脇めぐみさんも、法人の二つの訪問介護事業所で試算すると月0・6%の減収でした。「基本報酬引き下げで『賃上げはされないのか』とヘルパーが動揺しています。大幅賃上げができなければ物価高騰のなか生活が成り立たないと介護施設や他産業に転職してしまう。不安です」

 事業所に約80人いるヘルパーの平均年齢は60歳程度で最高齢は80歳です。コロナ禍で20人が退職しましたが求人への応募はありません。「全産業平均の賃金が保障されなければヘルパーのなり手はいません。引き下げは撤回し新たな予算措置で大幅な処遇改善策を」と訴えます。

軍事費を回せば

 介護家族や市民の間にも批判が広がっています。報酬改定を議論する厚労省審議会の委員の、鎌田松代・認知症の人と家族の会代表理事は、「まさかの引き下げ提案は驚くばかりで、強く反対した」と言います。「引き下げで地域の介護を支えている小規模な事業所の倒産・廃業が増えるでしょう。そうなれば住み慣れた自宅で暮らしたいと願う認知症の人と家族の暮らしが崩壊します」と抗議します。

 元立命館大学教授の小川栄二氏は、多くの事例研究で「その人らしい暮らし」を取り戻すヘルパー労働の有用性を明らかにしてきました。「政府は『住み慣れた自宅にくらし続ける』をうたい文句にして入院・入所を抑制してきました。自宅で住み続けるために不可欠な訪問介護をつぶすのは“在宅放置”です」

 大阪社会保障推進協議会の日下部雅喜さんはこう訴えます。「訪問介護の総報酬は年間約1兆円で国の負担は4分の1。2%強の基本報酬引き下げを止めるには国予算を60億円程度増やせば可能です。5年で43兆円の軍事費のごく一部を回せば良い。運動で実現させましょう」

「在宅」という名の放置 保険詐欺

認定NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」理事長 上野千鶴子さんの話

 人手不足で倒産・廃業が相次ぎ、一番追い詰められている訪問介護事業の基本報酬の引き下げにはあぜん、ぼうぜんです。政府のメッセージは、自宅で高齢者が暮らし続けるために必要な生活援助は介護保険からはずし、ボランティアか私費サービスを使えということだと思います。

 改悪の長期的シナリオは、要介護1・2の訪問介護と通所介護は保険から外し自治体に丸投げ▽介護保険を要介護3以上に限定▽利用料原則2割負担▽ケアプラン有料化―など。このままでは介護を再び家族に押し戻す再家族化か、お金次第の市場化のどちらか。家族もお金もない人は「在宅」という名の放置になるでしょう。これでは契約違反の保険詐欺になります。

 報酬改定はまだ「案」の段階。厚労省のパブリックコメントに市民の声を集め、改定を阻止しましょう。


少子高齢化対策をほっておいて軍備増強へ。
だれが鉄砲担ぐんだか?
何をするにも自公政権が我々に桎梏として現れる。
倒さなければ・・・!