また、大変なことが起きてしまった。いじめによる殺人・自殺、教師による体罰での自殺、そして今度は誤った進路指導による自殺です。この事態に当事者である担任の先生も体調を崩してしまっているようです。でも、担任にすべての責任を負わせる問題でもありません。「先生」になった以上、子どもに対する態度、責任は、確立されていなければならないでしょう。自分の子のように命を守る、寄り添う、信頼するという基本がなければ教師には向かないでしょう。何よりも、教育するということ、教育者であるということの自覚が必要だ。どのような問題が起きようと、このような基本があれば防げた問題だったように思います。今教師の現実はどうなのでしょう?事務的な仕事が増え、子どもと十分に向き合えない教育環境になっているのではないでしょうか。
徹底的な調査が必要
尾木直樹 氏
学校現場に、子どもたちと先生が向き合えないムードが蔓延しています。基本的に3年生の進路指導は生徒を分別したりするのではなく、進路が開けるように、先生はサポートに徹して、伴走しながら、ともに切り開く仲間であるものです。
去年12月初旬から1月下旬にかけて4,5人の中学3年生が進路を悩んで自殺しています。進路がらみで自殺者がこんなに出てくるなんて、何があったのかどうしてもわかりませんでしたが、その一つが今回のような事案として出てきました。
この学校では推薦基準は3年時のみから突然1年制以降に改訂されました。中学生の3年間の成長は激しいものがあります。たとえ、1年で万引きをしても3年生に成長していく中で立派になっていきます。1年生のときに万引きをやったらすべて終わりなら、中学生活が無意味になります。
本当に万引きをした生徒で推薦されている子もいます。自殺した子は万引きをしてなかったのに推薦されませんでした。担任によって基準が違う。本当にでたらめです。学年会議で推薦を出していい子かどうか決めるなど集団体制をとらずに担任任せだったのではないか。徹底的な調査が必要です。