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止まらぬ科学力低下 技術立国の旗、降ろすのか

2023年08月15日 | 教育・学校

終戦記念日である。
今日の「全国戦没者追悼式」においてもキシダの2枚舌が健在であった。
この記念すべき日に、これからの日本の在り方など考えていただけたらと、少し角度の違った方面から考えてみた。

 

中国新聞 社説 2023/8/13

 科学者の研究力低下に歯止めがかからない。

 研究内容が注目され、同じ分野の科学者に数多く引用される「注目論文」の数で、日本はイランに抜かれ、過去最低の13位にまで落ち込んだ。

 はなから低迷していたのではない。30~40年前は米国や英国に次ぐ世界3位だった。その後も20年ほど前までは4位を維持していた。

 おととし10位に下がって学術界に衝撃を与え、さらに昨年は韓国とスペインに追い抜かれて12位に落ちた。一体どこまで下がるのだろう。抜本的な対策が求められる。

 最新の順位は、2019~21年の平均発表数などを基に文部科学省の科学技術・学術政策研究所がまとめた。

 見過ごせないのは、政府の危機感の乏しさだ。「順位のみで議論する際には注意が必要」という。今後の状況で大きく変動する可能性があるとして、順位は気にしていないようだ。年々、深刻さを増している科学力低下をあまりにも軽んじてはいないか。

 そもそも低下を招いたのは科学技術政策の失敗だ。2004年度に政府が強行した国立大の法人化である。その研究・教育の土台を支えていた運営費交付金を最初の10年で1割以上も減らした。

 金集めに苦労する地方大学などを揺るがし、研究者の裾野を狭めてしまった。そうなれば、山の頂は低くなることは予想しなかったのか。

 同政策研究所も指摘している。注目度の高い論文を増やすには、トップクラスの大学だけでなく、「群としての研究力の向上が必要だ」と。にもかかわらず、逆のことを政府は今なお続けている。

 運営費交付金の減少を受け、多くの大学は人件費を抑え込んだ。あおりで、任期付きという非正規のポストが増え、腰を据えた研究の見通しが立てられず若手が苦しんでいる。長期にわたる基礎研究を断念せざるを得なくなったり、よりよい環境を求めて海外に出て行ったり…。

 これでは、国内の大学院博士課程への進学者が減るのも当然だ。科学技術立国を支える人材の育成基盤を政府が掘り崩したと言えよう。

 東京大学長を務めた有馬朗人・元文相は生前、自ら道を付けた国立大の独法化を失敗だったと認めていた。最近相次いだ国産ロケットの打ち上げ失敗などにも、何か影響を与えているのではないか。

 岸田文雄首相は21年秋の自民党総裁選の時から、10兆円規模の大学ファンド設立を掲げるなど科学技術に力を入れる姿勢を見せている。政権初の骨太の方針でも、科学技術立国「再興」を打ち出した。

 科学力は衰える一方だと認識しているのだろう。ただ、対応は不十分だ。10兆円ファンドにしても、資金提供先は3大学に絞られ、幅広い大学を支援して研究を底上げするには程遠い。

 鉱物資源に乏しく、食料さえ自国では調達できない。そんな日本が未来に向けて選んだのが科学技術立国だった。その旗を掲げ続けるのなら、まずは科学技術政策の検証こそが急がれる。

 

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もし資金集めがコケていたら…国立科学博物館、5億円集まったけど 残るモヤモヤ感の正体

「東京新聞」2023年8月11日

 国立科学博物館(科博)が7日、インターネットを通じて寄付を募るクラウドファンディング(CF)を始めた。光熱費の高騰で標本や資料を保存する資金に窮しているためだという。短時間で目標額の1億円を突破。既に5億円超が集まり、金額的には成功といえる。しかし、CFがコケていたらどうなったのだろう。学術研究に対する国の支援の在り方に問題はないのか。(木原育子、安藤恭子)

◆#地球の宝を守れ と呼びかけ

 10日、東京・上野公園(台東区)内にある国立科学博物館を見に来た。入り口でデゴイチの愛称で人気の「D51」型の蒸気機関車(SL)が出迎えてくれた。

 2つの施設のうち「日本館」は国の重要文化財に指定されている。昭和初期に造られたネオルネサンス様式の建物が、近代建築の歩みを感じさせる。中をのぞくと夏休み中だからか、親子連れでごった返していた。

 そんな科博のCF。来場者はどう思っているのか。辺りで聞いた。

 小3の長女(9つ)と年長の男児(6つ)とともに訪れた東京都八王子市の鷹見裕子さん(36)は「大賛成! ぜひ続けてほしい」と身を乗り出した。「子どもたちが恐竜の模型が大好きでよく来るが、こんなに充実した施設はない。子どもたちのためにもぜひ」と続けた。

 科博は、地球の成り立ちや自然に関する動植物の標本や恐竜の化石、鉱物の資料など500万点以上を保管する国立で唯一の総合科学博物館だ。保管には厳格な温度や湿度の管理が必要だが、光熱費が高騰。コロナ禍に伴う来館者の減少も重なり、資金繰りが苦しくなったとして、7日、CFを開始した。知名度の高さもあってか、約9時間で目標額の1億円を突破した。

 同日の会見で、科博の篠田謙一館長は「標本は未来の日本人全体の宝。こんなにも早く達成できたことに驚くとともに感謝している」と喜んだ。支援額は伸び続け、10日夕現在、5億5000万円が集まっている。

◆「国は国民に甘えてる」本来なら税金では

 しかし、金融機関をリタイアしたばかりという男性(60)は首をひねる。「資金が集まってよかったが、本来は国が税金を使ってやること。国は国民に甘えてる」と訴えた。「そもそも博物館は日本人全員の財産だが、入場料も高めで皆に等しく開かれているといえるのか」とヒートアップ。夫と一緒に来た博物館好きの女性(37)も「これで国が味を占めないといいのですが…」と冷ややかだった。

 科博周辺には外国人観光客の姿も多かったが、海外ではどうか。観光旅行中のフランス人のダフネさん(30)は「フランスでも博物館の資金が足りず、寄付を募ることはある。どこも同じね」と口角を上げた。同じく観光中の米国人のダニエルさん(47)は「父親が軍人で全博物館の入場料は生涯無料だった。満足度に応じて観覧者が入場料の額を決められる美術館もあった。運営の在り方は国によってそれぞれだ」と続けた。

◆「英国の博物館はほとんど入場無料」ここは有料

 一方、イギリスから都内の大学に留学中のエスメさん(24)は「ナンセンス!」と肩をすくめた。「英国の博物館はほとんど入場無料。資金をなぜ国民が出すのか信じられない。国の責任だ」ときっぱり話した。

 国内では最近、科博以外の博物館でもCFが導入されている。例えば国立歴史民俗博物館(千葉県)の「正倉院文書」複製制作プロジェクト。奈良国立博物館の庭園内茶室「八窓庵はっそうあん」の保存活動でも実施された。

 永岡桂子文部科学相は8日の会見で、科博のCFが目標額を達成したことについて、「文科省も鋭意予算措置を行っている」としつつ「博物館による自主的な予算獲得の努力だ」と評価。CFが博物館運営の一端になることを期待した。

◆クラウドファンディングに関係者「異例で衝撃」

 「過去の知見を集め、人々の好奇心を刺激し、未来につなげる結節点となるのが博物館。博物館にある標本は人類共通の財産だ。科博がCFで多くの国民の支持を集めたことは喜ばしいが、博物館員の1人としては複雑な思い」。こう話すのは、保全生態学を専門とする兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)の橋本佳延主任研究員だ。

 橋本さんが気にかけるのは、今回のCFが博物館業務の根幹を支えるものであることだ。ひとはくでも移動博物館車などの企画でふるさと納税を通じた寄付を募ったという。だが「博物館の命といえる標本の保存整理という業務を、CFで賄おうというのは異例で、衝撃だった」と述べる。「『このままでは国民の財産を守れない。窮状を知ってほしい』という科博からのSOSとも受け止めた」

◆「自助努力を求められても…」

 ひとはくも約60万点の植物標本のほか、昆虫や鳥類の剥製、恐竜の化石などを集めているが、1992年の設立から30年以上たち、老朽化に伴い旧収蔵庫の湿度などの空調に支障が出ている。光熱費の高騰に対応するため、この夏も午後5時の閉館後は人がいるエリアの空調を止めるなどして、節電にも取り組んでいる。

 こうした施設の老朽化に伴う資金難は、各博物館に共通の課題という。「自助努力を求められても、入館料は博物館法の定めもあって高額にはできない。寄付を募るとしても、学芸員が1人しかいないような小規模館では、CFを企画するのも困難で、科博のようなことは地方の博物館ではできない。科博のCFも本来は国が工面すべき費用だった」と話す。

◆勝ち組と負け組に分かれるかも

 日本の研究力を巡る問題に詳しい「科学・政策と社会研究室」の榎木英介代表理事は、科博などの独立行政法人(独法)に競争的資金枠を設ける国の方針を懸念する。ふるさと納税の返礼品競争と重ね合わせ、「科博のような人気館はいいが、博物館の間にCFが広がり、人気投票による資金獲得競争となったら、勝ち組と負け組に分かれ、生き残れなくなる館も出てくるのではないか。魅力的な展示や情報発信といった館の機能を競い合うのが、本来の形だ」と主張する。

 独法の科博は、収入の多くを国からの運営費交付金で賄っている。だが自助努力を重視する国の姿勢のもと、科博のような独法や国立大学への運営費交付金は、減少傾向にある。

 サイエンスライターの竹内薫さんは「欧米の博物館は、個人の寄付が日本より多い。今回のCFにより、個人寄付者の掘り起こしができたことは良い」とみる。

 一方で「博物館だけでなく、国立大でも交付金の減少は悪い結果として出ていて、影響力のある論文数の世界ランキングが落ち続けている。科学技術を含む文化芸術活動は未来への投資。交付金削減政策はすぐにでも見直すべきだ」と指摘した

◆クラファン、当たり前なら「この国は終わり」

 「文科省が『お金がないならクラファンすればいいじゃん』と思うようだったら、この国は終わりだな。これは博物館行政に対する痛烈な批判だと受け取るべき」と、X(旧ツイッター)に投稿したのは東大公共政策大学院の鈴木一人教授(国際政治)。「貴重な自然史資料を守り、研究の場を守り続けてほしい」と、科博のCFに協力した1人でもある。

 学術研究に冷たい日本の現在地をこう憂える。「明治以来、先進国に追いつけ追い越せの一点張りで、ハコモノは造っても専門家に任せたまま。国としての哲学がないことが今回のCFが社会現象になって露呈した。日本における知の蓄積を生かしていくのか、それとも後世に残さない国でいいのか。国の在り方そのものが問われている」

◆デスクメモ

 防衛省は2024年度予算の概算要求で過去最大の7兆円台の防衛費を計上する方向だという。財源や使途の適正さが不明確でも増額に突き進む。一方で、運営に不可欠な電気代の支払いに苦しむ国立の施設がある。武器に金を使うが、学術にはケチる。それでは文化的な国と言えまい。(北)


「軍事費」集めに必死のキシダ自公政権。
恥も外聞もなく「軍拡」にまい進だ。
倒すしかない聞く耳持たぬ政権。 

台風の進路が変わってきた。昼頃の情報では北海道直撃だったが西にそれた。
風予報も下がったが雨予報もなくなってしまった。

 



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