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雨宮処凛がゆく!第474回:麻生失言から振り返るロスジェネ論壇、そして現在。

2019年02月14日 | 社会・経済

マガジン9 https://maga9.jp/190213-2/

2019年2月13日

 

 「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかったほうが問題なんじゃないか」

 おなじみの失言担当大臣・麻生太郎氏の発言である。2月3日、地元・福岡の国政報告会で発言。批判を受けてのちに撤回した。

 40代女・独り身・子なしである私に、この手の言葉はそれなりの破壊力を持って突き刺さる。同時に、「出産年齢」の壁に今まさに向き合っている同世代のロスジェネ女性の胸の内を思うと、「本当に黙っててくれよ…」とため息が出る。

 そんな麻生発言を聞く前日、「現代思想」2019年2月号を読んでいて、思わず涙ぐむという出来事があった。

 それは「『男性学』の現在」という特集の中の、「生きづらい女性と非モテ男性をつなぐ」(貴戸理恵)を読んでいた時のこと。自身の経験から不登校などをはじめとしてさまざまな社会問題を論じる貴戸氏は私と同じロスジェネ世代の40代。そんな彼女は原稿の最後、自分たちの世代について「非正規雇用率が高く、未婚率が高く、子どもを持つことも少なかった世代である」と書く。

 そうして、文章は以下のように続くのだ。

 「いちばん働きたかったとき、働くことから遠ざけられた。いちばん結婚したかったとき、異性とつがうことに向けて一歩を踏み出すにはあまりにも傷つき疲れていた。いちばん子どもを産むことに適していたとき、妊娠したら生活が破綻すると怯えた」

 思わずそこでページを閉じて、声を上げておいおいと泣きたくなった。それは私が初めて目にした、「過去形で語られた」ロスジェネだった。その描写に、「もう取り返しがつかないことなんだ」と、改めて、取り返しのつかなさを痛感した。同時に、同世代の、いろんな人の顔が浮かんだ。結婚を諦めた人。産むことを諦めた人。少しでもマシな生活のためにあがくことを諦めた人。生きることそのものを諦めた人。そして、私たちの、あり得たかもしれないもうひとつの人生に思いを馳せた。生まれた年が少し違っていれば、あったかもしれない選択肢の数々。

 文章は、以下のように続く。

 「働いて自活し家族を持つことが、男性になり女性になることだ、とすり込まれて育ったのに、それができず苦しかった。20代の頃、私たちの痛みは、『女性/男性であること』にもまして『女性/男性であれないこと』の痛みだった。男だからリードしなければならない、弱音を吐いてはならないと言われ、稼得責任を負わされ人生の自由度を狭められること。女性だから、愛の美名のもとに無償労働を期待され、母・妻役割に閉じ込められて経済的自立から遠ざけられること。そうした先行世代の女性学や男性学が扱ってきた『女性/男性であること』の痛みは、まるで贅沢品のようだった。正社員として会社に縛り付けられることさえかなわず、結婚も出産も経験しないまま年齢を重ねていく自分というものは、『型にはまった男性/女性』でさえあれず、そのような自分を抱えて生きるしんどさは言葉にならず、言葉にならないものは誰とも共有できず、孤独はらせん状に深まった」

 わかる、すごいすごい痛いほどわかる、と共感しつつ読みながら、あることに気づいた。それは私自身、フェミニズムやジェンダーの問題にアラフォーになるまで「目覚めなかった」理由は、まさにここにあるのではないかという気づきだ。

 女性ならではの生きづらさ云々の前に、「一人前」にさえなれない自分や周りの人々。だけど、「非正規じゃなく正社員にさせろ」「このままでは結婚、出産もできない」なんて主張をすると、「昭和の猛烈サラリーマンになりたいのか」「働く女性ではなく専業主婦になることを求めてるのか」「出産しても夫は長時間労働で孤独な育児に決まってるのに子ども産みたいのか」なんて、少し上の世代から意地悪な質問をされた。そうじゃない。そうじゃないけど、でも「男なら、女ならこうあるべき」という規範は自分の中にもみんなの中にも強烈にあって、とにかくみんな「人並み」になろうともがいていて、「女らしさ」や「男らしさ」に文句を言う人は、貴戸氏が指摘する通り、「贅沢」にしか見えなかった。

 さて、そんなロスジェネの多くはもう40代なわけだが、最近、「ロスジェネの苦境」が再び注目されているのを感じる。少子化や雇用といった分野だけでなく、意外なところでもこの世代の苦しみに思いを寄せるような発言に出くわすのだ。

 現在30代なかばから40代なかばの私たちが「ロスジェネ」と名付けられたのは、10年ちょっと前。10年ほど前、メディアなどには、私たちの世代の苦悩を語る言葉が溢れていた。そのような場は「ロスジェネ論壇」などと呼ばれ、まだアラサーだった論客たちは大いに自分たちの生きづらさを語っていた。私もその一人で、今回、貴戸氏の原稿を読んだことをきっかけに、当時の自分の原稿やインタビューなんかを引っ張り出して読んでみた。

 ここで一部を紹介しよう。引用するのは、2007年11月5日の毎日新聞に私が書いた「フリーター論壇」という原稿である。フリーター論壇は、ロスジェネ論壇とほぼイコールだと思ってもらえばいい。一読して驚いたのは、12年前、フリーター問題はまだまだ「労働問題」という認識すら薄かったということだ。以下、引用だ。

 「これまで、フリーター問題は、当事者以外から『個人の心の問題』として分析され、批評されてきた。『やる気がない』『自由でいたい若者』といった一方的なイメージと、『夢追い系』『モラトリアム系』などという分類。しかし、当事者によるフリーター論壇の大きな特徴は、この問題を『心の問題』に矮小化せず、『労働の問題』『雇用の変化の問題』『産業構造の問題』『経済のグローバル化の名のもとに進められる新自由主義の問題』、そして『生存』そのものを巡る問題としてとらえ返されていることだ」

 「私たちは知っている。夜勤明けのボロ雑巾のような身体を引きずる帰り道。しょぼしょぽする目に差し込んでくる眩しすぎる朝日の恨めしさ。『労働』の後なのに充実感などはなく、強烈に湧き上がる『フリーターをしている』ことへの『罪悪感』。働いても働いても一向に生活は楽にならず安定せず、職場の同僚はアジアや貧しい国の人々で、自分が『国際競争の最底辺』で捨て駒にされていることを身を持って感じる日々。それなのに世間からは『やる気がない』『働く気がない』とバッシングされる。では正社員が楽をしているのかと問えば、どうやらそうではない。連日18時間労働を続けて痩せこけていく友人。過重なノルマに押しつぶされるように心を病んでいく過去の同級生たち。どうしてこんなに苦しいんだ? どうしてこんなに生きることが大変なんだ? どうして『普通に働いて生きていく』ことがこんなにも難しいんだ? 私たちは果てしない徒労感の末に、この状況が作られた原因を知ることを渇望した。そして探った。何よりも、自分自身のために。そうして文字通り血の滲む思いで、自らの『尊厳』をかけて作られてきたのが『フリーター論壇』だ」

 ここには、まっすぐな怒りがある。他の原稿やインタビューを読んでも、怒りとともに、眩しいくらいの「希望」がある。今、なんとかすればまだ間に合う。私たちは「人並み」になれる。そんな思いがあって、私たちは多くの「可能性」を手にしていた。今、職業訓練をすれば、正社員として活躍できる人がたくさんいる。結婚、出産を望んでいる人たちができるようになる。私を含め、10年前、論客の多くは「政治」を信じていた気がする。少なくとも、高度経済成長時代に子ども時代を過ごした私は、「まさか自分たちを見捨てることはないだろう」くらいの、この国に対する信頼を持っていた。

 しかし、この原稿を書いてから今に至るまでの12年で、その信頼は粉々に打ち砕かれた。みんなは12年分、年をとった。そうしてきっと、いろんなことがもう「手遅れ」となり、手にしていたはずの可能性は、気がつけば多くが消えていた。政治は遅々として変わらないどころか、入管法を改正して外国人労働者を受け入れることが昨年末の国会で決まり、今年4月から施行される。まともな賃金を払って人々の生活を底上げするより、海外から労働力を受け入れる。この国のワーキングプアのみならず、外国人研修生の人権侵害がまかり通る働き方がこれほど問題になっているというのに、「働く者を保護し、権利を拡大する」方向ではなく、賃金も待遇も地盤沈下に向かうような政策が大手を振って国会で通ってしまう。

 「いちばん働きたかったとき、働くことから遠ざけられた」世代。

 「いちばん結婚したかったとき、異性とつがうことに向けて一歩を踏み出すにはあまりにも傷つき疲れていた」私たち。

 「いちばん子どもを産むことに適していたとき、妊娠したら生活が破綻すると怯えた」ロスジェネ女性たち。

 そんな気持ちは、絶対に麻生氏にはわからないだろう。

 そうして今、悔やむのは、私たちはなぜこの12年間騒ぎ続けなかったのだろうということだ。ロスジェネの多くが30代後半となり、「若者じゃなくなった」頃、明らかに運動はトーンダウンした。すでに「若者」にくくられる年齢でもないのに…と言われることもあったし、そんな反応に、どこか「萎縮」してしまう自分もいた。今、私はそのことを猛烈に悔いている。若くないから助けられる価値・資格がないなんて、そんなこと、絶対にあってはならないからだ。年齢によって人間の価値が目減りしたり増えたりするなんて、おかしいからだ。だけど私は、どこか「空気」を読んだのだと思う。自分たちを堂々と「若者」と言えなくなった時こそ、「ロスジェネ」という言葉をもっと使えばよかったのに。

 さて、「取り返しのつかなさ」を抱えたまま、ロスジェネの人生は続く。この世代の一人として、様々な反省も含め、私はずっと、このことを書き続けていくつもりだ。


有酸素運動

2019年02月13日 | 健康・病気

運動すると分泌される、血管老化を防ぐ注目の物質は?

  NIKKEI STYLE 2019/02/12(一部編集)

 

  運動すると血管の内皮細胞からNO(一酸化窒素)が分泌され、血管の老化を防ぐカギとなる、血管を拡張してしなやかにしてくれます。

 健康寿命を延ばすためには、食事に注意するだけでなく、日々の運動も大切ということは、多くの方が認識されているでしょう。

運動は、血管や心臓などの循環器系の若さを保つために極めて重要です。ドイツのボッフム大学永代教授で、冠心会大崎病院東京ハートセンター顧問の南和友先生は、「血流をつかさどる心臓が規則正しく動くようにケアすることで、血管力も高まります。その柱となるのが『運動』です」と話します。

 「運動をすれば、脈拍量が増え、血管も筋肉に血液を送ろうとするので心臓も血管も鍛えられます。酸素の豊富な血液(動脈血)が手足の筋肉に送られます。そして酸素の消費された血液(静脈血)はミルキング作用で末梢から心臓へと送り返されます」(南先生)

■血管を柔らかくするカギ「一酸化窒素(NO)」

 運動には、血管を柔らかくする効果も期待できます。そのカギを握る存在が「一酸化窒素(NO)」です。NOは、血管の内皮細胞から放出される物質で、血管を拡張してしなやかにして、血圧を安定させてくれます。NOは、血管を若く保ち、動脈硬化を防ぐ作用があるのです。

 NOをたくさん放出できれば、血圧が下がり、血管も柔らかくなる――。この効果を狙うなら、適度な運動がお勧めです。NOは、運動によって血流が増えると多く放出されるからです。

「運動をすると、血液循環が良くなり、上の血圧(収縮期)が上がり、下の血圧(拡張期)が下がります。このように上の血圧と下の血圧の差(脈圧)が大きくなると、血液が波打って運ばれるようになります(拍動流)。その波打つ動きによって、血管内膜にある内皮細胞が刺激されてNOが増加するのです」(南先生)

 「このほか、NOには、血管内の善玉コレステロール(LDLコレステロール)の沈着や酸化を防ぎ、動脈硬化を防ぐ作用もあります」(南先生)

 適度な運動は、善玉のHDLコレステロールを増やす効果もあります。HDLコレステロールは、悪玉のLDLコレステロールが血管内でたまらないように回収する役割を持っています。善玉のHDLコレステロールが増えれば、悪玉のLDLコレステロールが減るので、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げることにもつながります。さらに、運動には中性脂肪を減らす作用もあります。肥満やストレスを解消し、血圧を下げて血管を広く、柔らかくしてくれるという、まさに一石二鳥以上のメリットが期待できるわけです。

■血管若返りに効くのは「有酸素運動」

 では、具体的にどんな運動を実践すればいいのでしょうか。運動といっても、ウォーキングから、水泳、自転車、筋トレ、そして各種スポーツまでさまざまあります。どんな運動が血管にいいのでしょうか?

 運動には、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどの「有酸素運動」と、短距離走や筋トレのような「無酸素運動」があることは、多くの人がご存じでしょう。有酸素運動は、文字通り、酸素を必要とする運動で、比較的軽めの運動を持続的に行うことで体内の脂肪を燃焼させるものです。それに対し、無酸素運動は、短時間で強い筋力を使うことで、筋量を増やし基礎代謝を高める効果があります。

 南先生は、「心臓に負担がかからないように体を動かすこと」が肝要だと話します。「血管を強くするためには、心臓への負担が大きい無酸素運動より、適度に体を動かす有酸素運動が適しています。『適度な有酸素運動』が血管若返りのポイントです」(南先生)

[日経Gooday2019128日付記事を再構成]

 


葬式はなくなる?

2019年02月12日 | なんだかんだ。

葬式はなくなる? 通夜なし、式なしの「直葬」選ぶ時代に

松岡かすみ2019.2.11 08:00週刊朝日

 

 

「こういう弔いの形もありなんだなと思いました」

 東京都在住の田中一也さん(仮名・59歳)。おととし、11歳年上のいとこをがんで亡くした際に、通夜や葬儀・告別式をしない“お別れ”を経験した。あっさりした性格だったいとこは生前から、「死んだときは、一切何もしなくていい」と意思表示していた。

 都内の病院で田中さんや家族がいとこをみとった翌日、遺体は病院からいとこが住んでいた千葉市の火葬場へ直行。田中さんを含む近親者7人が火葬場に集まり、火葬を終えた後、近くの葬祭会館で軽く食事をして解散した。ものの1時間半で全てが終わった。

 九州出身の田中さんにとって葬儀といえば、通夜から多くの親戚や知人が集まって、12日で行うイメージ。だからいとこの弔い方には驚いたという。

「読経も戒名もなし。すしは“竹”。ビール中瓶1本でお別れだった。その後、出勤できたぐらいあっさりとしていた」

 一抹の寂しさはあったものの、いとこの闘病生活は1年強におよび、心の準備はできていた。近親者でみとったので、故人と向き合えたという感覚もあった。

「これぐらいシンプルでいいのかもしれない。(通夜、葬儀・告別式をやる一般的な)葬儀で若い僧侶の説法に感動することもないし、通夜の食事もおいしいわけではないし。僕が死んだときも直葬にしてもらおうかと思うこともあります」(田中さん)

 形式的な儀式を極力省いた葬儀のかたち「直葬」がいま、都市部を中心に増えている。直葬とは、故人が亡くなった後、安置所か自宅に遺体を運んで安置し、その後、直接火葬場に移し、荼毘に付すという方法。近親者のみで行う。会葬者を呼んで通夜や告別式を営み、それから火葬する一般的な葬式に比べて、お金もかからない。

「ここ15年ほどで“葬儀はシンプルにしたい”という明確なポリシーを持った人が増加傾向にあります」

 こう話すのは、終活や葬式の相談・施行などを行う「葬儀を考えるNPO東京」代表の高橋進さんだ。かつて直葬は、故人が身寄りのない人や困窮者の場合に、自治体が葬儀費用を賄って行われる方法だった。

「今は、故人の遺志や家族の意向で選ぶ傾向にあります。中には菩提寺があっても直葬を選ぶ人もいるほど。それだけ従来の葬儀のあり方に疑問を持つ人が増えている証しでしょう」(高橋さん)

『葬式は、要らない』などの著書で知られる宗教学者の島田裕巳さんは言う。

「直葬が広がる背景には、死んだ人の扱いはなるべく簡単に済ませるべきという考え方が強まっていることもあります。血縁意識の低下から、“絶対に葬儀に呼ばなくてはいけない人”という存在もなくなってきている。都会のみならず、地方の葬儀も簡素化が進んでいる実態を見れば、そんなに遠くない未来に葬式そのものが消滅する時代が来るかもしれません」

 これまで累計15万件を超える葬儀を担当し、全国で葬儀ブランド「小さなお葬式」を展開するユニクエストによれば、現在、直葬(プラン名「小さな火葬式」)を選ぶ人が4であるのに対し、「通夜、告別式ともに実施」を選ぶ人が3割、「告別式のみ実施」を選ぶ人が3割と、すでに同社では直葬が主流だ。

「喪主として一度大掛かりな一般葬を経験して、それを疑問に感じたことから、直葬を選ぶケースが増えています。大きな葬式だと会葬者の対応に追われ、ゆっくり故人と向き合う時間もなく、本当にこれで良かったのかと後悔が残ることもあるそうです。そうした方は、次に近親者が亡くなったときには、直葬などシンプルな葬儀を選ばれることが少なくありません」(ユニクエスト広報担当者)

 多くの会葬者を招いてその対応に追われる一般葬と比べて、故人とゆっくり向き合う時間を作ることができるのもメリットなのだ。また、葬儀費用を大幅に抑えられることも利点の一つ。一般葬の場合、平均額は約178万円。一方、直葬は平均15万~30万円と、6分の1以下に抑えることができる。通夜の飲食費や斎場の式場料、祭壇費用などがかからないためだ。

「通夜の飲食もそれを楽しめるわけではないし、香典返しも果たして本当に必要なのかと、疑問に感じる人が増えるのも当然の流れです」(島田さん)

では、直葬を選びたい場合、具体的にどうすればいいのか。火葬許可証の申請など役所で行う死後の手続きは遺族がやることも可能だが、遺体の搬送などは荷が重い。儀式を省いたとしても葬儀会社などプロに頼むのが一般的だ。

「棺など必要なものも個別に手配すると手間がかかり、費用も高くつくことが多いので、葬儀社に頼んだほうが安心。悲しみの中、作業に追われるより、故人と向き合う時間を大切にしたほうがいい」(高橋さん)

 直葬を希望する場合、最低限必要な次のような物品やサービスがセットになった一番シンプルなプランを選べばよい。遺体の安置場所を確保し、病院や施設など亡くなった場所から、故人の遺体を寝台車にのせ、自宅や一時的な安置場所に搬送する。遺体を棺に納め、安置する。法律で定められた時間の死後24時間以上経過してから、火葬場の予約時間に合わせ、霊柩車で火葬場へ出棺する。もちろん、物も用意してくれる。遺体を入れる棺、棺用布団、故人に着せる仏衣一式、遺体保冷のためのドライアイス、枕飾り一式、骨壺、そして遺体をのせて移動する寝台車や霊柩車だ。(本誌・松岡かすみ)

週刊朝日 2019215日号より抜粋

 

 

葬儀にかかる費用の平均額/「直葬」の流れ (週刊朝日 2019年2月15日号より)

葬儀にかかる費用の平均額/「直葬」の流れ (週刊朝日 2019年2月15日号より)

 

葬儀スタイル (週刊朝日 2019年2月15日号より)

葬儀スタイル (週刊朝日 2019年2月15日号より)


  「葬儀」も「お墓」も大きく変わりつつあります。
「こどもにお金を残さない」それが身上でしたが、葬儀代くらいは残さなければならないだろう。しかも、今の若い人は非正規雇用等、経済的に苦しい立場にある。葬儀に使うお金があったら生きている子供、孫に使わせたほうがいいのかもしれない。それぞれの家庭の問題であり、どうすべきだとは言えないが考えるべき余地はある。

 


孫育て

2019年02月11日 | なんだかんだ。

祖父母向け「孫育て手帳」 昔と違う「抱っこ」「授乳」「離乳食」…

東京新聞 2019年2月8日

 

 よかれと思って孫のためにしたことを、娘に怒られた-。孫の世話を巡り、育児の「常識」が昔と違うことによる親子の仲たがいを防ごうと、「孫育て手帳」や「祖父母手帳」を発行する自治体が増えている。抱っこや授乳、離乳食などについて最新の育児法を載せ、孫との遊び場も紹介。楽しく孫育てできる情報が満載だ。

 「手帳の十一ページを見てください。昔は果汁を飲ませましたが、今は与えなくていいんです」。昨年十一月下旬、さいたま市の子育て支援センターで開かれた孫育て講座。市内の保育所で園長を務める大野智子さん(57)が「果汁は甘いので脳が満足してしまい、ミルクや離乳食が進まなくなってしまうから」と理由を説明すると、孫がいる女性七人が「へえ」と驚いた。

各地の自治体が発行した「孫育て手帳」や「祖父母手帳」

 

 講座のテーマは「食育」で、教科書はさいたま市が二〇一五年に発行した祖父母手帳だ。A5判の約二十ページでイラスト入り。昔の育児法との違いや事故の防ぎ方、公園の場所などを掲載。「祖父母が子育て論を押しつけてくる」「昔の知識で接する」など、市が親に実施したアンケートで出た意見も取り上げた。

 参加した同市在住の鈴木律子さん(79)には孫が三人おり、同居する一人はまだ一歳だ。孫育ての勉強のため、手帳は自ら市役所で入手。「抱っこは心の成長に大切なので、抱き癖は気にしなくてよい」とする記述が新鮮だったといい、「昔は泣いてもすぐ抱かないように教わったけど、抱っこしてもいいのね」と笑う。

 こうした手帳を発行する自治体は二十超に上る。共働き世帯が増え、仕事と育児の両立のため自分の親に助けてもらう機会が増えていることが背景にある。一方、育児を巡り親子の間で摩擦が生じたり、頼られすぎて祖父母が「孫疲れ」に陥ったりする問題も生じている。手帳はこういった課題の解消を狙う。

 さまざまな特色も。熊本県は産前産後だけでなく、小中学校や高校時代に直面する悩みも掲載。「ゲームを買ってほしいとせがまれる」「いじめが心配」などの質問に答えている。

 香川県三豊市は、ボクシングを教える祖父など多様な孫育ての体験談を紹介。千葉県習志野市は「手、口、お金は出しすぎず、心と体力にゆとりを!」などの十カ条を説く。

 NPO法人「孫育て・ニッポン」の棒田明子代表(50)は、今後も手帳を発行する自治体は増えるとみており、「地域ごとに子育て環境は大きく異なる。他の内容をまねするのではなく、住民の声を丁寧に聞き、ニーズに合わせた手帳を作ってほしい」と話す。

 

 寒気も抜けたようです。今日の最高気温ー5度。短時間ではありましたが、日も差してきました。

今日の江部乙

 

 


道内の記録的寒さ

2019年02月10日 | 自然・農業・環境問題

北極の寒気分裂「極渦崩壊」 道内上空に 温暖化が原因


優越性を誇示したいのか!?

2019年02月09日 | 社会・経済

私は聞いた。クレーマーに耐えるコールセンター女性の声を。寄り添うツイートに大きな反響

「日本のどこかにいるあなたへ」。投稿はそんな一文から始まった

 

ハフポスト2019年02月07日 関根和弘

   小売店のイートインコーナーに居座った男性が、長時間にわたってコールセンターの女性に苦情を浴びせ続ける──。

   そんな「クレーマー」を目撃した北海道在住の店員が2月3日、Twitterで思いをつづり、大きな反響を呼んでいる。

「日本のどこかにいるあなたへ」という書き出しで始まる一連の投稿は、たった一人でクレームに対応し続けた女性オペレーターに寄り添うだけでなく、同じような体験をしたかつての自分をいたわる気持ちから生まれたという。投稿主に思いを聞いた。

 

@mrock722139

*【日本のどこかにいるあなたへ】今日の午後1時前後から3時過ぎまで、年配の男性からの問い合わせを受けていたインターネットサービスのサポートセンターで働いてる若い女性のあなた。わたしはあなたに問い合わせをしていた男性がいた店で働いていて、あなたと男性のやり取りをずっと聞いていました。

*男性はiPhoneの通話をスピーカー状態にしてずっと会話していて、わたしは聞きたくもないクレームとそれに対応するあなたの声をずっと聴いていました。インターネットのサービス内容はよく理解できなかったけど、あなたと男性の会話は途中から、むしろ大半が男性のあなたに対する言いがかり、お説教に

*なっていましたよね。何度もおなじ内容をループして、最後のほうは男性のいう事をあなたが否定したことに怒り、ならばおっしゃる通りにしますと言ったあなたにさっきと違う事を言う、と怒り。傍で聴いていただけのわたしがイライラして気分が悪くなったくらいでしたので、対応していたあなたはどんなに

*嫌な気持ちになったことでしょう。わたしも正直自分の作業をしながら『うるさいししつこいし迷惑だ、早く帰ればいいのに。しかも店のフリーWi-Fiにただ乗りしてネットにつなぎながら店の中で一時間以上大声でクレーム、恥ずかしくないのか」と思っていました。

*そして男性は自分の言葉であなたを屈服させた(ように見せた)とわかったとたんに掌を返したように上機嫌になり、まるであなたに適切な教育をした、あなたにいい経験をさせてあげたと言わんばかりの態度になりましたよね。きっとあの男性は、あなたがもう少し年齢が高そうな声だったら、男性だったら

*きっとあそこまでしつこく、あなたを自分に従わせるためだけに時間を使わなかったと思うのです。わたしはたぶんあなたより年齢が高い女だけど、似たような経験を何度もしてきました。だから狡い対処方法も覚えました。偉くて強い男性の存在を匂わせるのです。「わたしの上の者を呼んでまいります」

*何割かの相手はここで態度を変えるのです。だけどあなたは最後までひとりで対処しましたね。ほんとによく頑張ったと思います。あなたが今日相手をしたのはお客様という名の女性や若い人に威張り散らしたい、そうすることで自分が高みに上がったように感じたい死ぬまで治らない病にかかっている高齢男性

*です。そしてあなたはきっと今後も、この国に莫大な数がいるこの病にかかってる高齢男性と対峙すると思います。あなたが電話を切った瞬間に軽く舌打ちして忘れられるくらい耐性があるならこのツイートは読み流していただいて結構です。だけど少しでもダメージを受けていたら、今すぐあなたのそばで

*背中をさすってあなたを抱きしめたい。相手がおかしい。あなたがたまたま悪い相手の電話を取ってしまっただけだって伝えたい。長くて辛かったね。向こうが妙にすっきりした口調で、まるでいい話にすり替えようとしたこともムカついたよね。横で聞いてた私がムカついたんだからあなたはどんなに不愉快

*だったろうか。さんざん人を傷つけて、最後はいい話にしようとする狡さ、せこさ、自分が悪者のまま終わらせられない小賢しさ。本当に品のない人間。

あなたのそばに愚痴れる相手、ストレス解消になる素敵な趣味、おいしい食べ物、気持ちのいいお風呂やベッド、とにかくあなたを楽にさせるものが

*一つでも多くあることを願っています。あなたの今日の頑張り、ずっと聞いていた人がいるという事をこの日本のどこかにいるあなたに伝えたいです。

   ツイートをしたのは北海道の小売店に勤める30代の女性店員。2月3日の昼前、いつものように店内で働いていると、1人の男性がふらっと入ってきた。

年の頃なら60代。食べ物を買うと、レジ近くにあるイートインコーナーに腰掛け、ノートパソコンをいじり始めた。

 

スマホ充電しながら延々苦情

   男性は店が提供するフリーWi-Fiを使い、インターネットをしているようだった。

   午後1時ごろ。男性はおもむろにiPhoneで電話をし始めた。女性は昼食でいったん店番を外れた。戻ってみると、男性はまだ通話していた。

「長いな」。女性はそう思って見てみると、男性はスマホをイートインコーナーのコンセントに差し込みながら話していた。

男性はスピーカーホンで話しているので、レジ打ちをしているとやり取りが聞こえた。

会話の内容から、男性はどうやらインターネットサービスでトラブルがあり、提供会社のコールセンターに苦情を言っているようだった。

   男性の口調は次第に厳しくなり、激こうし始めた。「あの人、何なの?」。ほかの客は眉をひそめる。女性は苦笑するしかなかった。

「よくある『大変なお客様』レベルではないな」。自身も接客の仕事が長いだけに直感した。

通話はまだ続く。レジ打ちをしながら耳を立てると、iPhoneから漏れてくる声が聞こえた。相手のオペレーターは若い女性だった。

気分が悪くなった。大声を出したりテーブルをたたいたりするようなことがあれば、すぐさま警察を呼ぼうと決めていた。

 「屈服」させた瞬間、上機嫌に

   「お客様の仰る通りです。申し訳ありません」。2時間ほどたった後、オペレーターがついに「屈服」させられた。

「謝るぐらいなら、なんで最初から聞いてくれないんだ」。男性はたたみかけたが、すぐに上機嫌になった。「あなたにもいい勉強になったでしょう」と、笑顔さえ見せた。

その瞬間、最も怒りがこみ上げた。

   その日夜。女性は寝る前にこのことを思い出した。「あの若い人、大丈夫かな」。どこかにいるであろう彼女に、声をかけたくなった。

パソコンを起動させ、Twitterの画面を開く。「日本のどこかにいるあなたへ」。そんな書き出しでツイートし始めた。

   投稿はオペレーターだけに向けたものではなかった。プロバイダ契約の勧誘、化粧品の店頭販売......。15年以上にわたって接客し、何度も同じようなつらい目に遭ってきたかつての自分もいたわるようにキーをたたいていった。

「ああいうお客様は一定数いるんです。そういうものだとあきらめて働くしかない。不愉快を感じない接客の仕事なんてありませんし、ある程度は耐えられます。でも、2時間にわたるあの電話は異常」

こうした激しいクレーマーには男性が多い、と女性は自らの経験を振り返る。「もちろん、すべての男性がそうではありません。でも、苦情の応対をしていると、男性による女性蔑視を感じます。こちらが男性に交代すると、急に態度が変わります」

 

反響の多さに驚く

   翌朝、ツイートが多くの反響を呼んでいるのに驚いた。

「とりわけびっくりしたのは、コールセンターや接客の仕事で同じような経験をした人からの反応が多かったことです。こんなにも似たような、嫌な思いをした人がいるのかと。被害者が『可視化』された気がしました」

仮に自分が応対していたら、どうしただろうか。女性は言う。「可能な限り自分で対応し、それでも対応しきれないと思った場合は上長に判断を仰ぎます」

そしてこうも本音を打ち明けた。

「お客様に反論するようなことはしません。お客様の行動を是正することが私の仕事ではないので。でも、お客様とのやり取りが終わった後、心の中でこう思うでしょう。『死ねばいいのに』」

 

   *********

 

玉川徹が『モーニングショー』で中国人のマナーの悪さをあげつらう自番組を批判!「中国は下と安心したいだけ」

  リテラ 2019.02.07

 今年もこの季節がやってきた。中国の春節にあわせて、多くの中国人観光客が来日するが、それにあわせるように、各局ワイドショーが、中国人の公共マナーの悪さを一斉にあげつらうのだ。“マナーのよくない”中国人の映像、エピソードが次々流され、スタジオでは、「日本では考えられない」「我々の感覚とはまったく違う」などと見下したようなコメントが飛び出す。まさにヘイトまがいの放送が垂れ流されるのである。

 5日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)も例外ではなかった。

 VTRではまず、春節を祝う大量の花火や爆竹で、火災などのトラブルが続出していることが紹介され、そこから、帰省する中国人男性が駅の切符売り場で割り込み警察から逮捕される様子、中国で社会問題になっているという人の席を勝手に占拠する“覇座”、そして、2人の女性が飛行場待合室で椅子をめぐって殴り合いをするシーンなどが流された。

 しかし、スタジオではまったく違う展開になった。テレビ朝日社員ながら『モーニングショー』のレギュラーコメンテーターをつとめる玉川徹氏が、VTRにこう突っ込んだのだ。

「VTRを見てて興味深いなと思ったのは、日本人の、というか実はディレクターの意識も含めて日本人の意識なんですよね。見てて、これ花火の話で始まったわけでしょう。で、『覇座』の話とか間に入れるじゃないですか。全然関係ないんだよね。なんでこれ入れちゃうんだろう。ディレクターのその心理ってなんだろうって、僕そこを考えていたんですけど」

 さらに玉川氏は、その「心理」について、こう続けた。

「『中国でこんなにモラルが低いですよ』っていう話いっぱいあるじゃないですか、うちの番組も含めて。それってやっぱり中国に対して恐れを抱いてるんでしょうね。今まではずっーと下に見てきたんだけどもう抜かれてるし経済では、どんどん置いて行かれるんじゃないかっていう、その意識が、『中国こんなにまだ下だよ』っていうのをやりたくてしょうがなくなっちゃう意識っていうのがあるのかなって僕には思うんですよ」

「さっき数の話が出ましたがすでに中国って富裕層だけで日本に匹敵するくらいいるんですよ。中間層が3億人いるんです、そういう人たちがどんどん海外旅行とか、日本にも来るじゃないですか。そうすると日本を含めた先進国のモラルをこうやって見て、国に帰るわけですね。そうすると自分たちが中国でやってることがやっぱりちょっと遅れているんだって彼らはだんだん気づきはじめるに決まっているんです。そうするといつの間にかモラルだって上がっていくはずなんですよね。でも今はそうじゃないっていうことを見たくてしょうがないんですよね、日本人は。それで安心だ、安心だと思おうとしている心理が、ディレクターの中にすらある」

 玉川氏といえば、御用と忖度だらけのワイドショーで、弱者の側、庶民の側に立ち、権力を鋭く批判してきた数少ないコメンテーター。安倍政権はもちろん、原発などのタブーについても歯に衣着せぬ物言いで批判してきたが、今回は、自番組の中国叩きを敢然と批判したわけだ。

 だが、玉川氏の指摘は正論だ。中国人のマナーを執拗に攻撃するワイドショーの姿勢の裏にあるのは、ヘイトスピーチと表裏一体の「日本は今もすごい、と安心したい」という歪なプライドにすぎない。

青木理も「日本だってかつてはマナーが悪かった」と指摘

 実際、この玉川氏の指摘に火曜コメンテーターの青木理氏も強く同意し、こう語っていた。

「僕もその通りだなと思う。こういうの(VTR)を見たりとかすると、今の、たとえば、中国に対する封じ込めなくちゃという政治的なメッセージがアメリカを含めてあると思うんだけど、そういう一緒の敵対意識だったり、一種の排他感情みたいなものが煽られちゃうっていうところがあると思うので。テレビが悪いんだけど、しかし見るほうの人たち、僕も含めてですけど、そのへんを考えながらきちんと見ないと。中国はモラルが低いとか、韓国はどうとかと。だんだんそれ(マナー)は変わってきます。日本だってかつてそうだったんだから。ヨーロッパに行ってバッグから何から全部買い占めて帰ってきて『なんだ』って日本が言われた時代が、バブルの頃とかあったんですからね」

 日本人がかつてマナーが悪かったというのも、青木氏が言う通りだ。日本人が公共意識や衛生観念をもつようになったのは、つい最近の話。むかしは日本だって、中国と似たようなマナーの悪さだった。

 たとえば池上彰氏も「世界」(岩波書店)2014年12月号で、過去の日本の風景をこう語っている。

〈「昔はよかった」とか「取り戻そう」というのも、その「昔」とは何なのでしょうか。日本はいま街にゴミを捨てる人もいないけれど、一九六四年の東京オリンピックの前に一大キャンペーンが行われるまでは本当にゴミだらけで、青山通りから渋谷は、風が吹くとゴミが舞っていた。「ものを捨てないようにしましょう、行列をつくりましょうという一大運動をやって日本は劇的によくなったんだよ」「いま同じような国があるだろう? ヨーロッパで高いブランド品を買い集めて顰蹙を買っているけれども、日本も七〇年代は全く同じことをやって、一九九〇年代には韓国、いまは中国がそうなった」という話をすると、みんなびっくりします。〉

首都・東京でさえ、人びとが捨てたゴミで街が溢れていた。これは池上の記憶だけではない。『「昔はよかった」と言うけれど 戦前のマナー・モラルから考える』(大倉幸宏/新評論)という本では、いかに戦前の日本はマナーが悪かったかが、克明に記されている。

 たとえば、電車の車内では人が押し合い、乗客同士が衣類を裂いたり、怪我をさせるなんてことも日常茶飯事。年寄りに席をゆずることもなく、窓から平気でビール瓶を投げ捨てるため、鉄道会社の保安員が大けがを負う事件も発生していた。日本人が混雑した駅のホームで列をつくって待つようになったのは、つい最近のことなのだ。

 さらに、驚くのは天皇誕生日を祝う天長節のパーティでも、食器やカトラリー類を盗んで帰る客がめずらしくなかった、ということ。こうした場に出席するような人間でさえ窃盗をはたらくことを躊躇しない、そんな程度のモラルしか日本人はもちあわせていなかったのだ。

 前述の池上氏も、中国人のマナーをことさらあげつらうような言説を、こう批判している。

〈歴史的発展段階で通る過程において起きることを、韓国だから中国だからこうなんだといって叩いている。ちょっと前は日本だって同じだったよ、という歴史も知らないまま日本の誇りを持つというのは、非常に歪んでいます。〉

〈昔から日本は清潔好きで、行列はちゃんとつくる優等民族だという発想がこわいですね。民族の問題じゃない。発展段階や政治体制の問題なのに。〉

 ところが、ワイドショーはこうした事実を一切無視し、中国人のマナーや韓国人のトラブルを嘲笑して“日本は優れた国、中国・韓国は劣った国”という誘導を行っているのだ。これでは、テレビ局の姿勢もヘイトを垂れ流すネトウヨたちとなんら変わりがないということではないか。

 歪んだ優越感と差別意識まるだしで、中国人のマナーをあげつらう特集が放送されているまさにそのなかで、玉川氏、青木氏の2人がこの本質を指摘したことは貴重だ。ワイドショーの傾向は一朝一夕には変わらないだろうが、こうした自己批判が少しでも広がっていくことを期待したい。 (編集部)


 

 「昭和のおじさん」で括られそうな事例である。
この二つの異なる記事を読んで、「なんか、似ているな・・・」と感じてしまった。

 自分の優越性を誇示したいおじさんと心優しいレジ打ちの女性。それを「職業」とするからには避けられないことなのだろうか。

 私の小学生時代。

   周囲のマナーの悪さにあきれ返っていた。あの頃は汽車に乗ることが多かった。

誰も並ぶ者はいなかった。そして東京オリンピックを前に、「海外の人にも恥ずかしくないマナーを」と提唱され、ようやく並ぶようになった。しかし、列車がホームに入るとその列はたちまち壊れてしまい、我先にと出入り口に殺到するのだ。窓から子供を入れて座席取りをさせる風景も珍しくはなかった。子どもは靴を履いたまま座席で跳ねていた。

 それから数年後だろうか?はっきりとした時期はわからないのだが「〇〇農協様御一行様」による海外旅行ブーム。小旗を先頭に群れ歩く姿の異様。チップを出さない,ホテルではスリッパでパジャマ・ステテコ姿で歩き回る。

 こうして、ようやく今の「民度」が築かれて来たのだ。

「声」を出さなければ、何にも変わらないだろう。小さなこと一つでも「おかしいよ」・「変だよ」の「声」は、今やネットで拡散される時代なのだ。

 

 昨日は薬がなくなってしまったので、少し強行に走ってしまった。

近年にない寒波が襲来するとニュースで知っていたが気温ばかりに気を取られ、気温が低いのは晴れて放射冷却するからと、勝手に思い込んでしまった。

 国道275を札幌に向かって走る。当別町に入ったところですさまじい「ブリザード」。

何も見えない。救われたのは舗装道路が黒く見えたからだ。こんな時に急ブレーキをかけると追突されてしまう。パーキングランプをパコパコ点滅させながらゆっくり進むしかない。視界が明けても車はノロノロ運転。なんかおかしいなと思いながら進んでいくと、わずか1kmほどの間で接触事故が7件も起きていた。いや~あ、今日は出てくるべきではなかった。後の祭り。


首相官邸が望月記者を排除要請。

2019年02月08日 | 社会・経済

首相官邸“望月衣塑子記者排除”の恫喝に新聞労連が抗議声明! 水面下でもっと露骨な圧力も記者クラブは抗議せず

リテラ 2019.02.06

  5日、日本新聞労働組合連合(新聞労連)が発表した官邸への抗議声明が話題を集めている。

〈官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の「知る権利」を狭めるもので、決して容認することはできません。厳重に抗議します。〉

   抗議は、菅義偉官房長官の定例記者会見で東京新聞・望月衣塑子記者が質問した内容について、首相官邸が望月記者を排除するよう“恫喝”文書を内閣記者会に出していたことに対するものだ。

 本サイトでは114日配信記事で、この望月記者をめぐる問題を、ジャーナリストの横田一氏がいち早く取り上げたが(https://lite-ra.com/2019/01/post-4489.html)、あらためて整理しよう。

 問題となっていたのは、昨年1226日の定例会見。ここで望月記者は、辺野古新基地建設工事で投入されている土砂に、環境に多大な悪影響を与える赤土が混ざっているのではないかと指摘されている問題を取り上げた。以下、そのときのやりとりを見てみよう。

望月記者「民間業者の仕様書には『沖縄産の黒石岩ズリ』とあるのに、埋め立ての現場では赤土が広がっております。琉球セメントは県の調査を拒否していまして、沖縄防衛局は『実態把握が出来ていない』としております。埋め立てが適法に進んでいるのか確認ができておりません。政府としてどう対処するつもりなのでしょうか」

菅官房長官「法的に基づいてしっかりやっております」

望月記者「『適法がどうかの確認をしていない』ということを訊いているのですね。粘土分を含む赤土の可能性が指摘されているにもかかわらず、発注者の国が事実確認をしないのは行政の不作為に当たるのではないでしょうか」

菅官房長官「そんなことはありません」

望月記者「それであれば、政府として防衛局にしっかりと確認をさせ、仮に赤土の割合が高いのなら、改めさせる必要があるのではないでしょうか」

菅官房長官「いま答えた通りです」

 

 土砂に赤土が混入していることはあきらかであるのに、何の証拠も出さずに「適法だ」と繰り返す菅官房長官。そして、この定例会見から2日後の1228日、安倍官邸は上村秀紀・官邸報道室長の名前で、“東京新聞の特定の記者”の質問が「事実誤認」「度重なる問題行為」「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」などと恫喝する申し入れ文書を、内閣記者会、すなわち官邸記者クラブに提示したのである。

 だが、実際は望月記者の「赤土の割合が高いのではないか」という指摘は、「事実誤認」でもなんでもなかった。

 赤土混入は、このあとさらに複数のメディアが報じたうえ、当の望月記者も東京新聞で追撃。沖縄防衛局が当初、土砂の岩石以外の割合を「概ね10%前後」と説明していたのに、じつは業者に発注する際に「40%以下」と仕様書を変更していたことが明らかになった。

「官邸もある時期までは、赤土混入を事実無根だと言い張って、望月記者を攻撃していたのですが、一気に形勢が逆転。いまは沖縄県が防衛省へ土砂の検査データを求める状態になっている」(大手社会部記者)

事実以外質問するな」という官邸の姿勢こそが最大の問題だ

 まったく安倍官邸の厚顔と強権には呆れるしかないが、しかし、今回の官邸の態度が問題なのは、「事実」だった質問を「事実誤認」と言い張ったことだけではない。その質問が事実かどうかは関係なく、「事実でない質問をするな」という恫喝自体が、民主主義や報道の自由に反する暴挙なのだ。

 実際、今回、新聞労連が出した声明も、そのことをきちんと指摘していた。

〈記者会見において様々な角度から質問をぶつけ、為政者の見解を問いただすことは、記者としての責務であり、こうした営みを通じて、国民の「知る権利」は保障されています。政府との間に圧倒的な情報量の差があるなか、国民を代表する記者が事実関係を一つも間違えることなく質問することは不可能で、本来は官房長官が間違いを正し、理解を求めていくべきです。〉

 新聞労連の抗議は当然だろう。質問は本来、事実かどうかを確かめるためにするもの。むしろ、権力の不正をチェックするためには、真偽がはっきりしない段階で質問することは不可欠とさえいえる。それを、まるで誤報と同じような話にすり替え、「事実以外、質問するな」と恫喝をかけているのだから、どうかしているとしか思えない。

 抗議声明の内容はそのほかも、知る権利を無視する安倍政権の問題点を鋭く指摘する正論ばかりだった。2017年に加計問題で「総理のご意向」文書の存在が報じられた際、菅官房長官が定例会見で「怪文書のようなもの」と否定した一例をあげ、〈こうした官邸側の対応こそが、「内外の幅広い層に誤った事実認識を拡散させる」行為であり、日本政府の国際的信用を失墜させるものです〉と批判。〈官房長官の記者会見を巡っては、質問中に司会役の報道室長が「簡潔にお願いします」などと数秒おきに質疑を妨げている問題もあります。このことについて、報道機関側が再三、改善を求めているにもかかわらず、一向に改まりません〉と、上村官邸報道室長による質問妨害の問題にも踏み込んでいた。

官邸から水面下で記者クラブに望月記者を排除するよう圧力が

 しかし、こうした真っ当な抗議に対しても、当の官邸は相変わらずの態度をとっている。本日、国民民主党の原口一博・国対委員長が上村官邸報道室長と面会をおこなったが、今回の抗議声明に対して上村官邸報道室長は「特にコメントはない」「特定の記者を排除する意図は全くない」と説明したのだ(共同通信6日付)。

 まったく何を言っているのだろうか。望月記者を狙い撃ちして質問妨害を実行し、「事実誤認」「度重なる問題行為」などと脅迫めいた言葉を並べて“再発防止”という名の恫喝をかけることは、望月記者をパージするためのものとしか言いようがないではないか。

 実際、今回、抗議声明を発表した新聞労連の南彰委員長によると、「記者クラブに対しては、もっと強いトーンでこの記者の排除を求める要求が水面下であったようです。記者クラブがこれを突っぱねたため、紙を張り出すかたちで申し入れを行ったと聞いています」(ハフポスト6日付)という。

 この国の民主主義や報道の自由を壊す言論弾圧そのものといっていいが、しかし、暗澹とさせられるのは、安倍官邸の姿勢だけではない。この暴挙について、新聞労連しか抗議していないという事実だ。

 本来なら、不当な圧力をくわえられた官邸記者クラブこそが、新聞労連のように抗議声明を出すべきだろう。新聞労連が述べているように政府との〈圧倒的な情報量の差〉のあるなかで、「事実だけ質問しろ」という恫喝は、すべてのメディアにとって死活問題なはずだ。

 だが、いまのところ、そうした動きは見られない。いや、それどころか、首相官邸が“恫喝”文書を出した際、産経新聞は「東京記者の質問に「事実誤認」 官邸報道室が再発防止要請」(20181228日付)と報じ、官邸と一体化して望月記者を攻撃するような姿勢を見せていたほどだ。

 そもそも、新聞労連の南委員長は以前、朝日新聞記者として望月記者と同じく菅官房長官に鋭い質問を浴びせては食い下がる数少ない記者だったが、現在は望月記者が孤軍奮闘している状況だ。そして、菅官房長官の定例会見における怠慢を、新聞もテレビも直接批判しようとはしてこなかった。

見て見ぬ振りで表立って抗議できない日本のマスコミ

 記者として当然の質問をしているだけの記者を妨害し、排除しようとする官邸に、見て見ぬ振りで表立って抗議しない他の記者たち──。これがこの国のメディアの姿勢なのである。

 本サイトでは繰り返し言及してきたが、かたやアメリカに目を向ければ、質問に答えないトランプ大統領やホワイトハウスの広報体制に対し、記者たちは怯むことなくガンガン質問を浴びせかけ、責任を追及しつづけている。昨年も、中間選挙後にトランプ大統領は記者会見でCNNテレビのジム・アコスタ記者のホワイトハウス入館用の記者証を没収したが、ホワイトハウス記者会はすぐさま強い抗議をおこない、〈われわれはホワイトハウスに対し、弱腰で心得違いの行動をすぐさま撤回するよう強く求める〉と声明を出している(AFP通信2018118日付)。

 また、トランプ政権のホワイトハウス報道官だったショーン・スパイサー氏が政権に批判的なCNNやニューヨーク・タイムズなどを会見から締め出した際には、AP通信やタイム誌は一緒になって会見をボイコット。ホワイトハウス記者会も抗議声明を発表した。

 もちろん、報道官が菅官房長官と同様にまともに質問に答えず、批判的なメディアには強権的な姿勢を見せても、記者たちは食い下がって何度も質問を繰り返し、ときには紙面や番組ではっきりと「嘘つき」「バカ」「大バカ」「最悪の返答」と批判を浴びせている。これこそが不誠実な政権担当者へのジャーナリズムの本来のあり方ではないのか。

 言っておくが、望月記者の質問を妨害し、まともに答えない首相官邸の態度は、望月記者だけではなく国民に対して向けられたものなのだ。国民の知る権利に応えようとしない菅官房長官の責任放棄に、メディアはしっかり怒りを示し、対抗するべきだ。(編集部)


 各紙、危機的状況の中、国民の知る権利をないがしろにするこのような姿勢を取り続けることが、より一層の「紙」離れを起こさせることを自覚すべきだろう。

 北海道での記録的寒波襲来と騒がれている。昨日の夕方はかなり冷え込みそんな予想もありや?と思ったのだが、夜から天候が悪化して吹雪状態。冷え込みも15度止(あ、氷点下です)まりでした。でも、今日明日がピークのようです。

 これから札幌まで行ってきます。雪まつり期間中なので車が混み合っているかも(?)なので、この時期外したかったのですが・・・


雨宮処凛がゆく! 第473回:立川生活保護廃止自殺事件、その後。

2019年02月07日 | 社会・経済

マガジン9 https://maga9.jp/190206-3/

 

  2015年12月、東京都立川市で、一人の男性が自ら命を絶った。

 その死から1年4ヶ月後、弁護士などによって「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」が結成された。私もそのメンバーの一人である。

 ことの発端は、15年の大晦日、立川市の共産党市議団控え室に以下のようなFAXが届いたこと。

新聞社・議員へ

 立川市職員に生活保護者が殺された! 真相を追及して公開、処分してほしい

 知り合いの○○(個人名なので伏せます)が高松町3丁目のアパートで12月10日に自殺した 担当者の非情なやり方に命を絶ったよ

 貧乏人は死ぬしかないのか 生活保護はなんなのか 担当者、上司、課長は何やっているのだ 殺人罪だ 平成27年12月 ○○の知人

 亡くなったのは、立川市で生活保護を受けていた48歳のAさん。15年12月10日に自殺した。自殺前日、Aさんには、生活保護の廃止通知書が送られていた。このことから、生活保護廃止という通知を受け、絶望して命を絶ったことが推測される。

 この事件については、連載の第413回で詳しく書いたのでそちらもぜひ読んでほしいが、生活保護を受けるまでのAさんの暮らしぶりは、まさに90年代から始まった「雇用破壊の犠牲者」と呼びたくなるものだ。高卒後は正社員として働くものの、その後期間工となり、自衛隊を経たあと、派遣の仕事を転々とする。が、リーマンショックの前年、30代にして路上に追いやられてしまう。その後、紆余曲折ありつつも立川市で生活保護を利用して暮らすようになるのだが、アパート生活を始めて約1年後、生活保護廃止通知書が送られ、その翌日、彼は自ら命を絶ってしまう。

 生活保護の廃止理由は「就労指導違反」。要は「働けと指導したのに働かなかった」ということだ。が、大きな疑問として浮かぶのは、「そもそも彼は働ける状態だったのか?」ということだ。

 生前の彼と接した支援団体の人などによると、Aさんは「死にたい」と口にすることもあり、うつ状態が疑われたという。また、高校卒業後、短期で職を転々とするという経歴や、路上にまで追いやられてしまったという事実からは、軽度の知的障害や発達障害などがあった可能性も浮かび上がる。しかし、そのようなことが顧みられることはなく、福祉的な支援に繋ぐという対応もなく、生活保護の廃止は決定されてしまった。

 過酷な路上生活も経験し、生活保護を受けてやっと取り戻した「住まいのある生活」。そんな中、保護を廃止すると言われたら。家賃も払えず、生活費、食費もない。また路上に戻るのか、それとも死ぬしかないのかという究極の選択を迫られる。

 この廃止処分について、市の担当課長は「路上生活の経験があるので、保護を廃止してもなんらかの形で生きていけるんじゃないか」と話したという。これは、人間に対して使われる言葉では決してない。この言葉を知った時、Aさんの絶望の片鱗に触れた気がした。そして廃止処分を受け、Aさんは路上に戻ることを選ばず、死を選択しているのだ。

 Aさん亡き今、彼に障害があったのかどうか、あったとすればどのようなものなのか、確かめるすべはない。しかし、どこかの段階で誰かが彼の抱える「生きづらさ」に気づいていたら、場合によってはうまく支援に繋がれたかもしれない。少なくとも、「とにかくすぐに仕事を見つけろ。見つけないんだったら保護を打ち切るぞ」という展開にはならなかったのではないか。

 このようなことが二度と起きないよう、彼の死から一年以上経って、「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」が結成され、私も入ったというわけだ。

 立川市との話し合いを重ねる中で、調査団が要請したのは、再発防止のために職員研修を充実させること。軽度の知的障害など、一見「支援の必要がない」ように見える人々に対する支援のあり方などについて、職員に知識・スキルをつけてもらうことだ。現場で一人ひとりと顔をあわせる職員だからこそ、気づけることがある。救える人がたくさんいる。そんな職員が増えていけば、Aさんのような悲しい事件はもう起きないはずだ。

 そうして今年の1月30日、とうとうその研修の日がやってきた。立川市の生活福祉課が、「軽度障害者の支援のあり方について」という課内研修を開催したのだ。講師は、調査団が推薦した精神科医・森川すいめい氏。世界の医療団の理事であり、年末の炊き出しでは、寒風吹きすさぶ中、吹きっさらしのテントでいつもニコニコしながらホームレス状態の人たちの相談に乗っている人だ。一言で言うと、私がもっとも尊敬する精神科医であり、「現場の人」である。

 そんな森川氏は、立川市の職員たちを前に、誰も置き去りにならないよう、ゆっくりゆっくり、優しい声で話した。時々立ち止まって、「ここまで、大丈夫ですか?」と室内を見渡す。参加した職員は生活福祉課の30人ほど。日々ケースワーカーなどとして働く人たちだ。それ以外に立川市議会議員の面々や調査団メンバーなど。

 森川氏による研修は2時間にわたって続いたのだが、軽度知的障害について、本当に発見の連続だった。

 例えば、森川氏はある人のケースを紹介した。

 話がうまくて、一見とても障害があるようには見えない。しかし、働けない。働いても続かない。森川氏がその人の話をじっくり聞いてわかったのは、その人には限定的な学習障害があったということ。脳の障害によって、かけ算や割り算ができない。よって、飲食店などで働いても計算ができずミスをしてしまう。だから仕事が続かない。本人は「自分が勉強しなかったからだ」と思い込んでいる。しかし、そうではなくて、障害があったのだ。

 また、「施設に入ると失踪してしまう人」のケースについても紹介された。中卒で建設現場などで働きつつ、20年ほど路上生活をしてきて生活保護を利用したある男性。個室シェルターから施設に移ると、失踪してしまう。これまで、実に4回の失踪を繰り返してきたという。そんな人の話をよくよく聞いてみると、「漢字が読めない」ことが発覚した。ひらがなは読めるものの、多くの漢字を読むことができない。

 路上生活をしている間は、「漢字が読めない」ことは彼の障害ではなかった。なぜなら、手配師に仕事をもらい、単純作業をする生活の中では漢字は必要なかったからだ。しかし、施設に入るとそれは障害になる。まず、施設のルールが書いてある貼り紙の字が読めない。読めないからルールを破る。怒られる。怒られると、失踪する。それを繰り返して生きてきたのだ。中等度の知的障害がある彼は、「誰かに相談する」「困っていることを伝える」ということができなかったという。また、誰かに説明を受ける際も、理解していなくても「うんうん」と頷いてしまっていたのだという。そうやって、従順に振る舞うことで生き延びてきたのだろう。

 「納豆が食べられない」という理由で施設から逃げてしまう人の話も紹介された。施設の食事で出る納豆が、食べられない。しかし彼は、「食べられないと言っていい」ことを知らなかった。そんなことを言ったら殴られてしまうのでは、という恐怖。納豆が食べられない彼は、納豆が出るたびに失踪してしまうのだ。そうして路上生活に戻る。

 路上生活の理由が「納豆が食べられない」。まさかそんな理由でホームレス状態になっている人がいることに、一体誰が気づけるだろう。その彼はおそらく、「原因」など想像もつかない人たちから「一体なんなんだよ!」などと責められ続けてきたはずだ。そうしてどんどん「支援」というものから遠ざかっていく。「責められる場所」「怒られるところ」からはとにかく逃げる。そうやって、なんとか自分の身を守ってきた人たちがいる。路上にいる人の中には、今もそんな人たちが多くいる。10年以上、貧困の現場を見ていても、それはわかる。

 「ホームレス状態でも生活保護を利用できる」「若くても利用できる」などの知識が知られてきたことによって、知的な障害のない人は比較的早めに福祉の網にひっかかることができているという印象がある。一方で、今も路上にいたり、路上と施設を行き来したりしている人の中には「支援の難しい人が多い」というのが現在の印象であり、多くの支援者から聞く言葉だ。この日の研修の前に挨拶した立川市の職員も、生活保護を利用する人の中には、専門的な課題を抱える人が増えているということを話していた。

 さて、それではそのような支援の難しい人たち、見えにくい障害を抱える人たちに対して、どうすればいいのか。

 森川氏が強調したのは、いかに「本人の話を聞く」ことが重要か、ということだ。プロの支援者であればあるほど、経験から思い込みによって支援を進めようとすることがある。しかし、本人の困難の理由は、プロの支援者の斜め上を行っていることが多々あるのだ。

 「思い込みによる支援をやめる」。それよりも、まずは本人の話を聞くこと。丁寧に丁寧に、聞くこと。そうすれば、いかに専門家の主観が間違っているかよくわかる。

 話はそこから、「オープンダイアローグ」(フィンランド発の精神療法。本人を交えた開かれた対話)に繋がっていった。オープンダイアローグ。この数年、注目されている方法で、私も関心があり本などを読んでいるものの、改めて森川氏から聞くとまたまた多くの発見があった。オープンダイアローグは対話の手法として、ホームレス支援とか障害がある人への支援とかまったく関係なく、すべての人が知るべきノウハウが満載だ。

 研修の中盤、4人一組になって、「相手の話を聞く」「自分の話をする」ことを実践。自己紹介、ここに来たいきさつ、期待などをそれぞれ語る。私は職員の方々と同じグループになった。日々、生活保護の現場で働く人たちの生の声に触れられたことは大きな収穫だった。同時に、私自身がなぜこのような問題で活動、取材しているかなども話した。行政の人々と対立するのではなく、生活保護行政を充実させたい、という点ではおそらくみんな同じ思いを持っている。そんな話をもっともっとしたかったけれど、時間切れ。そうしてあっという間の2時間の研修は終わった。

 「やっと、実現しましたねぇ…」

 研修のあと、調査団のメンバーとしみじみ言葉を交わした。

 Aさんが自ら命を絶ってから、3年以上。調査団を結成し、記者意見をし、立川市と話し合いの場を持つなど様々なことをしてきた中で、やっと「職員研修」までたどり着いた。本当に少しだけど、一区切り、ついた気がした。

 何をしたって、失われた命は戻ってこない。だけど、まるで亡くなったAさんに導かれるようにして、ここまで物事は動いてきた。調査団結成の前、Aさんについてみんなで調べていた時には、本当に偶然、Aさんの痕跡を発見したこともあった。生前、Aさんはある支援団体を訪れており、相談記録が残っていたのだ。それによって、Aさんがどんな人生を歩んで路上生活となり、生活保護に至ったかが次々と明らかになった。その記録を発見した時には、その場にいた全員、鳥肌が立つような思いだった。「自分の無念を晴らしてくれ」。Aさんに、そう言われている気がした。そうしてこのたび、この研修にまで辿り着いた。みんな会ったこともないAさんが、弁護士や市議会議員、支援者などいろんな人を動かして、立川市での研修が実現したのだ。

 小さな小さな一歩だとは思う。だけど、私たちがずーっとやってきたのは、このような小さな一歩を積み重ねることだ。そのことによって、ほんの少しずつだけど、社会は変わっていくし変わってきたことを知っている。

 一方で、思う。Aさんが生きているうちに、森川さんのような精神科医に会えていたら…と。が、森川さんが言うように「丁寧に」話を聞くには時間と人手が必要だ。それは生活保護のみならず、今、多くの支援の現場でもっとも不足しているものではないだろうか。

 立川市は、話し合いの中で、今後、就労指導違反を理由とする生活保護の廃止・停止をする際には相談機関などを記載した文書を交付することを約束した。これもひとつの大きな前進だろう。

 もう二度と、Aさんのような死者が出ませんように。そのために、できることをやっていく。


教職員による「いじめ」

2019年02月06日 | 教育・学校

山口高2自殺 教職員の「いじめ」認定 雑用押し付けなど

東京新聞 2019年2月5日 夕刊

 

 山口県周南市で二〇一六年、県立高二年の男子生徒が自殺した問題で「県いじめ調査検証委員会」(委員長・堂野佐俊(どうのさとし)山口学芸大教授)が同級生からのいじめがあったと認定し、教職員も雑用を押し付けるなどの「いじめに類する行為」をしていたと認めた報告書をまとめたことが五日、分かった。検証委は同日、村岡嗣政知事に報告書を手渡した。午後に概要を公表し説明する。

 一三年成立のいじめ防止対策推進法は生徒の行為のみをいじめと定義し、教職員は含まない。だが検証委は部活顧問ら教職員が関与した五つの事例について、男子生徒のストレス要因になったとしていじめに類する行為と判断した。遺族側代理人の石田達也弁護士は「異例の認定で学校の責任は重い」と話した。

 報告書によると、五つの事例は(1)全校生徒の前で名前を呼んだ(2)雑用を押し付けた(3)試験中に「ちゃんとやったんか」と話し掛けた(4)対応に困るようなことを言った(5)不必要に名前を連呼した。

 男子生徒がストレスを感じたと判断した理由として、全校生徒の前で名前を呼んだことに関し「ツイッターへの投稿やテストの問題用紙に、名前を呼ばれることは恥ずかしく嫌だったと主張している」と指摘。雑用の押し付けについては「嫌だと友人に伝えており、理不尽さや負担を感じていたと考えられる」とした。

 検証委は報告書で教職員の行為に他の生徒が同調し、次のいじめを生み出す端緒となる可能性があると強調。適切ないじめ対策と部活動運営、教職員による十分な配慮と対応があれば、自殺を防ぎ得た可能性があると結論付けた。

 山口県光市の県立高に在学していた男子生徒は一六年七月、周南市の駅で貨物列車にはねられ死亡。県教育委員会は一七年十一月、他の生徒からのいじめがあったと認めた第三者による調査部会の報告書を公表した。遺族側が再調査を求め、県常設の検証委が同級生や教職員などを聞き取りした。

 検証委は報告書で他の生徒からのいじめについて、調査部会が認めなかったものも含め十八事例を認定した。

◆教員のいじめも規定を

<教育評論家で法政大特任教授の尾木直樹さんの話> 教員の「いじめ」に踏み込んだ画期的な報告書で知る限り例はない。できるだけエピソードを取り上げストレスを検証したのは緻密で丁寧。一つ一つの事例は体罰より軽く見え、他人からは大したことではないと思えるかもしれないが、被害者の生徒にとっては深刻ないじめだ。指導する立場の教員がふざけたり、いじったりすることでいじめにつながっており、生徒との距離感が問われている。いじめ防止対策推進法にも、教員によるいじめの規定を盛り込むべきではないか。


 あってはならないことであるが、現実に起きている。
あってはならないことが次から次へと起きている。

子供が母親に殴られて110番。
逮捕された。

ふーーーーーーー

 娘が編んでくれた毛糸の靴下。
数年前まではウール100%が買えたのだが、今年はあちらこちら探したが見つからず、毛糸を渡して編んでもらった。


一刻の猶予もない!「子供の命を救え」

2019年02月05日 | 社会・経済

「人間のできる仕事の範囲を越えている」当事者が語る“児童相談所”の実態

FNN PRIME online 2/4(月)


   千葉県野田市で虐待された10歳の女児が死亡した事件で、女児を一時保護していた柏児童相談所の対応に批判の声が集まっている。

【児相の対応に批判も…当事者が語る“限界”】
   柏児童相談所は2017年11月、父親から虐待されている疑いがあるとして女児を一時保護し、その期間中、女児の両親と面談。

その後、関係が改善したと判断し、12月末に保護を解除、女児は両親の元に戻されたのだが、その後、一度も自宅訪問を行っていなかったことなどが批判の的となっている。
   こうした中、これまで数えきれないくらい児童相談所に関わってきたというTwitterユーザーのツイートが1万2,000以上リツイートされ、拡散している。
   このTwitterユーザーは児童相談所について、「その忙しさは尋常ではなく、もはや人間のできる仕事の範囲を越えている」と書き込んでいる。
児童相談所の実態はなかなか伝わってこないが、我々の想像を絶する忙しさなのだろうか?
   また、児童相談所に関わっていた当事者として、今回の事件を受け、児童相談所が批判されていることをどのように受け止めているのだろうか?
児童相談所に関わってきたというTwitterユーザーに、TwitterのID、アカウントを伏せることを条件に話を聞いた。


児童相談所の「一時保護」の保育士

――児童相談所には何年ぐらい関わってきた?
15年ほど関わってきました。

――児童相談所とはどのようなかたちで関わってきた?
児童相談所の「一時保護」の保育士です。

――児童相談所の「一時保護」の保育士はどのような仕事を担っている?
虐待を受けた子どもをひたすらケアします。

――たとえば?
お風呂に入れたり、一緒に遊んだり、話を聞いたり、外出ができずストレスが溜まるため体育館で一緒に遊んだり、様々なケアをしています。

――児童相談所に「関わってきた」ということは、今は関わっていない?
はい。3年ほど前から療養しています。

――療養は児童相談所の仕事が激務であることと関係している?
「子どもの福祉現場の激務」が理由です。

「バーンアウト(燃え尽き)」の状態になり、今は身体と心を休めている最中です。

1人の児童福祉司が100件を抱える異常な状況

――野田市の虐待事件に関して。柏児童相談所の対応に批判的な声があること、どう思う?

児童相談所はマイナスをゼロにする仕事です。

虐待などで命が脅かされている状態が“マイナス”で、子どもが命を脅かされない生活が“ゼロ”。
“マイナス”から“ゼロ”にもっていくのも大変なのですが、“ゼロ”にもっていき、その状態を維持していても評価されません。
それだけでなく、“マイナス”が、今回のようにさらに“マイナス”になったときには叩かれます。
こうした状況を私は変えたいと思っています。

――「児童相談所の忙しさは尋常ではなく、もはや人間のできる仕事の範囲を越えている」とツイートしている。それほどに忙しい?

私が住んでいる自治体には児童相談所が1カ所しかなく、1人の児童福祉司(ケースワーカー)が100件ほどの虐待案件を抱えているような、ひどい状況です。

虐待を受けている子どもを全員、助けたいのはやまやまなのですが、現実的には1人の児童福祉司が抱えられるのは、子ども数人から数十人が限界なのです。
そうなると、緊急度の高い重篤なケースしか対応できず、緊急度が低いと判断されたケースはどうしても後回しになってしまうのです。

大きな“うねり”を生み出してほしい

――そうした状況はどうすれば変わると思う?

日本では「家庭は温かいもの」というイメージが浸透していることから、虐待を自分事としては考えたくない人が多いため、「児童相談所にもっと予算を」という“うねり”にはなりづらいところがあります。

それでは今の状況はいつまでたっても変わらないので、多くの方が虐待を自分事として考え、「保育園落ちた、日本死ね」のときのような、大きな“うねり”を生み出してほしいと思っています。

――虐待を減らすのは容易ではないが、どうすれば減ると思う?

国の新たな機関として、「子ども省」を新設することです。

虐待案件には、徹底して“子どもの側”に立ち、子どもを守るプロフェッショナルが必要で、その機関として「子ども省」を新設することで、救える子どもは増えると思います。

2022年度までに児童福祉司を約2000人増員する政府プラン

――子どもの虐待に関して、この他に懸念していることは?

懸念しているのは「18歳問題」です。
「児童を18歳までとする」と、法律で決められてしまったので(厚労省審議会で20歳までを児童とするという案を、実践家や法律家・研究者のメンバーが強く推進していたのですが見送られてしまいました)、18歳を過ぎた子どもは法制度の隙間にどんどん落ちてしまいます。
法的根拠が無いために、社会資源や支援もありません。
家庭を生き延び、施設生活を生き延びても、18歳になった途端、何の支援も後ろ楯もなく、社会に放り出される実態があります。
施設側もアフターケアしたいところですが、今の施設だけで手一杯です。
そのため、その子どもたちが犯罪に走らざるを得なかったり、友人や彼氏の家や、ネットカフェを転々とする“見えないホームレス”になっていきます。
また、女の子だと住居付きの風俗に働いたりもします。そんな中で、若年妊娠や出産の問題も出てきます。
そこでまた、貧困や虐待の連鎖も生まれてしまうのです。
すべての問題は、このように繋がっているのです。
そういうわけで、私が考える「子ども省」は、対象を0歳~20歳までにできたらベストだと考えています。
厚生労働省によると、2017年度の児童福祉司の配置数が3235人なのに対し、児童相談所における虐待の相談件数は13万3778件
児童福祉司1人当たりの児童虐待の相談対応件数は全国平均で40件程度。
地域差はあるものの、児童福祉司の数は足りていない。
こうした状況を受け、政府は去年7月、2022年度までに児童福祉司を約2000人増やすプランを決定。
1人当たりの件数を減らすために増員を図っている。

 

 

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周りの子どもが幸せであってこそ 南青山児相計画 賛成区民の思い

  東京新聞2019年2月5日 朝刊

 

 「南青山のブランドイメージを損なう」と一部の住民が反対している東京都港区南青山の児童相談所建設計画。区の説明会では反対する意見が多い中、区内在住で2歳の男児を持つ父親(38)は児相設置を求める声を上げた。「自分の子どもの幸せも、周りの子どもが幸せであってこそ」。今後も説明会の場などで意見を述べていくつもりだ。 (山田祐一郎)

 通称「青山通り」や「骨董(こっとう)通り」から一本入った、店舗やカフェが並ぶ一角にある広大な空き地。港区が二〇二一年四月の開設を目指す「子ども家庭総合支援センター(仮称)」の予定地だ。

 昨年十二月十四、十五日に赤坂区民センターであった住民説明会には計約三百人が参加。質疑応答で「なぜ南青山なのか納得できない」と声が上がった。十五日は、三人の子どもを育てる女性が「意識の高い公立小学校に子どもを入れるため、億を超える投資をして家を建てた。南青山はお金を稼いで住むべき土地。ブランドイメージを守ってほしい」と述べると、会場から拍手が上がった。

 男性が参加したのは十四日。「将来、子どもが大きくなった時に、ブランドイメージ低下との理由で反対したなんて説明できない」と訴えた。児童虐待には詳しくないが、子どもが生まれて意識が変わった。

 その思いを強くしたのが、昨年三月に発覚した東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=虐待死事件。ショックを受け、現場のアパートへ足を運んだ。向かいにはマンションがあり、小学校も近く、子どもの歩く姿が多く見られた。「なぜ守れなかったのか」と思いが巡り、二時間ほど現場を離れられなかった。

 何もできない現実に無力感を覚える中、港区の児相整備計画を知った。「児相ができればすべて解決するわけではないが協力したい」。昨年十月の住民説明会を報道で知り、反対住民の意見に衝撃を受けた。「賛成意見も伝えなければ」。男性は南青山在住ではないが、一区民として十二月の説明会に参加した。

 千葉県野田市でも女児が死亡する事件が起き、児相や学校の対応が問題視されている。「近所の目だけではなく、学校や行政などそれぞれの役割が目となって子どもを守らないといけない」と社会全体が変わる必要があると思っている。

 児相は児童福祉法改正により特別区も設置できるようになり、東京二十三区では練馬区以外が建設を検討している。港区は一月末に発表した新年度予算案に建設費など六億六千七百万円を計上。予算案が成立すれば八月には着工する予定。区は建設についての住民説明会を今月中にも開く。


負の歴史を繰り返してはならない

2019年02月04日 | 社会・経済

 

技能実習生 人権守れぬなら廃止に

  東京新聞社説2019年1月30日

 法令に反(はん)した大手企業が外国人技能実習生の計画認定を取り消された。自殺や過労死などの悲劇も相次ぐ。新在留資格が四月から始まる。もはや劣悪な環境下に若者を置く制度は不要であるはずだ。

 三菱自動車は愛知県内の工場で、溶接作業を学ばせるはずの実習生に部品の組み立てをさせていた。実習計画とは異なるので、技能実習適正化法に基づき、同認定を取り消された。

 パナソニックは富山県内の工場で社員が過労自殺を起こした。違法な時間外労働とされ、労働基準法違反の罰金刑が確定した。労働法令に反した企業は実習生の受け入れができないため、やはり同適正化法により取り消しとなった。

 日本の大手企業がこんなペナルティーを科されるのは異例だが、各地の実習生の労働環境が過酷であるのはもはや常識である。何度も失踪事件は起きているし、二〇一〇年から一七年の間に実習中の事故や自殺、病気で計百七十四人が死亡している。

 金属切断機に頭を挟まれたり、漁船が転覆して海に投げ出されたり…。心筋梗塞や心臓性突然死など過労を疑わせる事例もある。中国やベトナムなどから来た若者たちが溺死や凍死、自殺するとは、過酷な環境下で労働を強いられている証左であろう。

 少なくとも本来の技術を身に付ける実習ではなく、単純労働者として酷使されているのが現状であろう。しかも、最低賃金以下の報酬しか渡さずに…。

 四月導入の新制度で「特定技能1号」の在留資格には、初年度に受け入れる最大約四万八千人のうち、55~59%を実習生から移行させる予定という。農業などではほぼ100%が実習生からの移行とみられている。

 実習生がブローカーに多額の借金を背負って来日するのも、返済する見通しがあってだ。つまりは国際貢献の名目下で単純労働をしている。新制度では外国人の単純労働者を受け入れるから、現実的には実習制度存続の意味は見いだしがたくなろう。

 とくに労働の最中に命を落とすのは異常だ。人として扱われていないとの疑念さえ湧く。少子化で人手不足というが、日本人がやらなくなった業務を外国人の実習生が負ったりする。

 人権が守られぬ世界にアジアの若者を放り込むのは犯罪的ですらある。政府は外国人の労働者政策を練り直してほしい。

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【公式】闇に葬られたタコ部屋労働

 

タコ部屋とは?現代にもしっかり存在します【体験者が語る】

   https://hihin.net/?p=85433

 現在ではタコ部屋というような言葉を使ったり聞くことすらあまりないと思います。

 「タコ部屋」の語源をたどると、元々は遡る事明治時代の北海道の開拓時代の労働者を一部屋に詰め込んで生活していたもののようです。

 そんな現在ではあまり聞く事や、経験することのない「タコ部屋生活」を20数年前に筆者はお金に困り体験することになったのです。

ヤミ金の利用からすべてが始まった

 当時日雇い労働者として現場仕事をしていた仲間の紹介でお金を借りたところが今でいう闇金でした。

 借り入れした金額は5万でしたが利息が当時はトイチ(10日で1割)で最初は仕事の日銭で何とか利息分くらいは、払っていけました。

しかし、現場で怪我をして仕事ができなくなり返済が遅れ更に返済自体もできなくってきて、当時は闇金法や暴対法と言った法律の整備がありません。

今ではあまり言われない事ですが当時の返済できない時の代名詞が「マグロ漁船」か「臓器売買」女性は「風俗店」と決まり文句でした。

筆者の場合は一ヶ月の返済の遅れで「タコ部屋」行きとなり、強制労働で借入金の返済に充てると借りた闇金から身の回りの物整理する時間半日を監視つきでまとめさせられて、車に連れ込まれてこれから始まるタコ部屋生活の場所へ連れていかれる事になりました。

タコ部屋は現在でも存在する?

他の地域でもあるように聞いていますが、実態は明確ではありません。しかし筆者の住むこの地区(大阪の西成)は昔と変わらずタコ部屋に送られ返済させられる人は存在しているようです。

ただ実際は返済の為だけのタコ部屋生活ではなく「寮」という事で人を集め送り込む手配師の存在があります。そんな手配師が活動できる状況があるのは、この町だからできるのです。

この町の特徴でもある路上生活者、その日暮らしの労働者、手配師等は筆者が連れていかれた頃と周辺環境はおよそ20年以上もたった現在でも状況の変化はないように思われます。

ただ筆者の当時の頃ように借金返済ができない時の定番とも言われていた強制労働や監禁状態等は様々な個人を守る法整備や闇金に対しての法律の強化で時代の違いを感じます。

現在この地区でのタコ部屋に送り込まれる対象者は2通りあります。

一つは昔と変わらず闇金からの借り入れに対しての返済できない場合と求人条件のひとつとして「寮完備・食事つき」等を求人として集めます。先月一人の手配師ともいえる人に友人を介して話を聞くことができました。

「人は集まりますか」「全然問題ないよ」「1つの現場に5人程度送るのに倍くらいは来るよ」とこの地区では仕事=お金の必要な人や住所不定で住める所を探している人材を探すのには困らなくらいの環境にあるそうです。

手配師も集める苦労よりこの地区にいる人達は様々な過去がある人が多いので、手配師の一言「どんなおっさんか見極めるのが大変や」と「前に比べると路上生活者や住むところに困っているおっさんが少なくなって来ているよ」とつぶやいていました。

こんな状況の変化も昔と違う点とも言える事で、行政が生活保護を支給する事や色々な行政での救済措置ができ、手配師に世話になる人は筆者の頃に比べて内容も、数もかなりの変化がみられます。

そんな連中を手配師が集める方法としては早朝にワゴン車のフロントに次のような求人広告を出します。

 1.日給 9,000円

2.期間 1ヶ月~

3.仕事 砕石場

4.寮・3食食事つき

この広告をみて手荷物はカバン1つくらいで現場へ運ばれ大半は給与の違いで戻ってくるそうです。

1日9,000円という事が実際に支払われるのが、2,000円程度で理由は寮費(実際はタコ部屋)・食費・管理費等の名目で引かれて支給され異議を申し立てると「辞めてもいいぜ、その代わり送る車代はもらうぜ」等で本人には重労働してもお金が残らないようになっている仕組みは昔と変わらないようです。

 タコ部屋の生活スタイル

筆者の頃のタコ部屋生活はそれは悲惨という言葉しか思い出せません。現在はゴルフ場や新興住宅地になっていますが20数年前は山間部で7月だったと思います。

夏の暑さが肌に痛いくらいに感じていた頃に冷房もない簡素な建物の現場の一角に住居と言えるような物ではない所へ連れていかれ20人くらいの同じような環境で連れてこられた色々な「おっさんの集団」が1人一畳くらいのスペースにまるで満員電車の中のような状態で生活を始める事になりました。仕事は朝8時から夕方日が沈むころまでやらされたような記憶があり、労働時間や法的労働条件などが通用する所ではありません。

常に組長と呼ばれている総責任者の下に班長と言われる我々を管理・監視する役目に担当者が目を光らせている事だけは記憶からリセットできないくらいによく覚えています。

3度の食事の後に30分くらいの休憩があるくらいで中には、暑さと、疲労、脱水症状等で倒れても寝かせられるだけで、何ら治療もなく労働者の中での話では「この現場の山中に何人が埋められている事やろ」等の会話を耳にすることさえありました。

こんな過酷な仕事をしても返済がどのように減っているかなどわからず、周りを見ていると組長と言われる責任者が突然「明日大阪に戻ってもいいぜ」と言われ、ある程度の現金を渡され開放されるか半分くらい命がけで脱走するかしかここから抜ける方法はなかったようで筆者は最終的に連れてこられてから20日くらいで逃げる事になりました。

地元の電車の駅まで行くには徒歩では不可能な山間部で連れてこられた時から逃げ出すことを考えて、まるで「脱走物の」映画のようでと言えるのは今だからです。

当時はただ逃げる事しか浮かばず駅への行く方法を毎日考えていた時にチャンスが訪れました。

仕事がいつものように終わりタコ部屋へ戻ってきたときに班長から「明日の休みは食料の買い出しについてこいと言われた時に「チャンスが来た」と思って夜周りが寝静まるのを見て荷物は持てないので大切な物は特にないので有り金を隠して準備だけをして買い物に行ってどのように逃げるかを一晩中考えているうちに決行の朝がやってきました。

その時の緊張感は今生きている事ができるのもその時の決断があったからかもしれません、あの現場で何人かの人が亡くなっているような事も聞きましたがその中の1人になっていたかもしれません。

買い出しに行ったときに更なるチャンスが訪れ、大阪行きの電車にとび乗る事に成功して20数年前の脱走が成功したことで今があります。

 タコ部屋での食事

現在はタコ部屋そのものの存在も昔に比べて少なくはなっているようです。また聞くところによると食事や設備面もかなり違っているようです。現在はタコ部屋より「00寮」と呼ばれている所が多く、その原因は昔は借金返済ができないための労役的な物が多く今でいう「多重債務者」が送られていました。

現在は多重債務者は最終的に法的措置として任意整理や自己破産等をして債権者から免れる事や、貸した闇金などは無登録業者や高金利業者として摘発される事が多くなって来ているために借金の為に連れていかれるより、従業員として雇用する為の福利厚生施設的変わってきているようにも思えます。

筆者が連れていかれた頃は借金が原因の人が殆どで、中には「まだ刑務所のほうがましや」という人もいたくらい過酷な環境した。

仕事は過酷で長時間、食事は朝は白米に味噌汁、漬物が少し、昼食は朝飯に目刺し等おかずと呼べる物かわからない物が1品、夜は週の半分が水っぽいカレーライスでそこにも現場でのしきたりでここに長いものが先に食べれて新参者になるともうなくなる事もあるくらいな為に「刑務所のほうがましや」という事もわかるような気もしていました。

現在は「人権の尊重」「個人情報の保護」等様々な個人を守る法の整備がある為に、昔のタコ部屋やその中での食事も含めて粗悪な環境を経験する事や場所も少なくなっているようです。

 タコ部屋はどういった事を行うのか

当時は元総理大臣の田中角栄氏が発表した「日本列島改造論」の影響で地方の土地の上昇や山間部の宅地開発で建設ブームとなりそこで働く労働者はいくらでも需要はあり、筆者のような借金の為に送られてくる債務者はどんどんと現場に連れていかれた時代でした。

ひどい所では朝日が昇ると頃に働き出して、日が沈む頃迄まで働かされたと聞いたこともあります。そのような社会環境状態で仕事は山を削り宅地やゴルフ場、電車の路線延長等伴う土木作業や砕石場等「日本列島改造論」という号令と共に建設現場で仕事は殆どがタコ部屋生活をさせられるくらいに活気と人集めに必死の状態でした。

 タコ部屋はどこの地域なの?

おそらく日本列島改造論の発表後は日本全国でタコ部屋的土木現場はあった事だと思われます。特に地方の宅地開発やゴルフ場の開発状況はかなり活発になっていきました。

それに加え日本列島改造論では日本全国を新幹線で結ぶという、今では当たり前の事を当時掲げた為に新幹線予定地周辺の土地の価格高騰や開発、新幹線のトンネル工事等全国的に大手ゼネコンにとってはまたとない時代を背景に作業員の確保に下請け、孫請けや更にその下の手配師迄が息つく暇もないくらいでした。

筆者が連れていかれたタコ部屋の作業現場でも最高に労働者が集まった時は100名近くいたようで作業員確保の為に、闇金の債務者情報は孫請けの会社にとって重要な情報として闇金は高価な売り物としていたみたいです。


未来を生きる子どもたちのために

2019年02月03日 | 社会・経済

きょうの潮流

「しんぶん赤旗」2019年2月3日https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2019-02-03/2019020301_05_0.html

 「子や孫のために」。沖縄の辺野古新基地建設に反対するため、行動を続けている人たちの共通した思いです。筆者も同じです。日々のさまざまな苦労は、未来を生きる子どもたちのためにあるのだと思っています▼だからこそ、未来を託すべき子どもたちの悲惨な事件のたび、身もだえするような感情を覚えてしまいます。千葉県野田市での小4女児の死亡事件。実父による虐待との関連が疑われているこの事件で、信じられない事実が▼女児は一昨年の11月、学校のアンケートに「ぼう力を受けています」「先生、どうにかできませんか」と書きました。自らの状況を記した勇気は、本当にすばらしかった。ところが、市教育委員会は昨年、アンケートのコピーを父親に渡してしまったのです。アンケートには「秘密を守ります」と記されていたのに、です▼市教委は父親から恫喝(どうかつ)を受け、圧力に屈したとしています。あり得ない事態です。これを契機に虐待が激しさを増し、女児がアンケートに正直に書いたことを悔いるかもしれないことは容易に想像できたはずです▼秘密を守らなかった市教委は、この女児だけでなく、結果として、おとなを頼りにする子どもたち全体を裏切ったことになります。その責任はあまりにも大きい▼なぜこんなことが起こったのか。どうすれば防げたのか。関係者の処分で終わらせるのではなく、徹底的な検証が求められます。子どもの命と未来を守る、そのために必要な体制を。声をあげるのは私たちおとなの責任です。


中高生10代の怒り!

2019年02月02日 | 社会・経済
 
 学校ストライキ!中高生たちが起こす反気候変動の地殻変動(岸本聡子)
マガジン92019.02.30
https://maga9.jp/190130-5/

 

今回のレポートは、私が暮らす地元ベルギーの動きをお届けする。

 

 雪が残る1月24日木曜日、気温1度のベルギー首都ブリュッセルの中心部を中高生が埋め尽くした。気候変動問題のための学校ストライキ(School Strike for Climate)は1月10日に2000人で始まり、翌週の木曜日は1万2000人になった。そして3回目の24日は3万5000人へと膨れ上がった。労働組合や環境団体もかかわらない、大学生さえ蚊帳の外の中高生による毎週木曜の自発的行動に、大人もメディアも驚愕している。

 

こうした「#ClimateStrike」(気候ストライキ)が、スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんがたった一人で起こした行動への共感と共鳴によって、ブリュッセルだけでなくスイスやドイツの都市でも広がっている。昨年8月の夏休み明け、グレタさんは学校に行く代わりにストックホルムの国会議事堂前に単身で座り込み、政府が気候変動問題に真摯に取り組むことを求め、2週間にわたってこの行動を続けたのだ。

 

 彼女は11月のポーランド、カトウィツェでの国連気候変動枠条約会議でも発言し、この1月には世界の政治・経済会のリーダーがスイスのリゾート地ダボスで集まる世界経済フォーラム(ダボス会議)でも伝説的なスピーチを行った。スウェーデンからダボスまで32時間かけて電車で行き、スイスの高校生たちの #ClimateStrike に加わった。

 

 敬意を込めてグレタと呼ばせてもらう。グレタは大人の偽善的な気候変動問題への態度に「将来に希望があるなんて言ってほしくない、私が毎日感じているようにパニックになってほしい」と訴えた。

 

 「気候変動はみんなが作った問題と言ってみんなの責任にするのは都合のいい嘘。大企業や政治家は気候変動問題のつけが誰にくるのか完全に知りながら、現状を変えずに想像を絶するお金を毎日稼ぎ続けている」

 

世界の富と権力を握る支配階級エスタブリッシュメントの前で、グレタは気候変動問題を権力と正義(ジャスティス)の問題だと、するどく指摘したのだ。ダボス会議の参加者に対して「この部屋にいる多くの人たちが、この(支配階級エスタブリッシュメントの)グループに入っている」と堂々と言った。ところで彼女の英語は美しい。私は世界中で北欧の人の英語が一番きれいでわかりやすいと思っているが、彼女の度胸だけでなく、中学生が母国語でない英語でスピーチするスウェーデンの英語教育のすごさにも感心してしまった。


(グリーンピース・ジャパンのフェイスブックから)

 私の息子ヨナタン(高3)もブリュッセルの隣町ルーベンから #ClimateStrike に参加している。ヨナの学校からは150人がいっしょに電車に乗ってブリュッセルへ向かった。24日朝に学校からお決まりの電話がかかってきて「ヨナタンが学校に来ていませんけど」「気候アクションに行きました」「あぁやっぱりね」というやり取り。学校は公式には反対しているが事実上は容認している。

 ブリュッセルの #ClimateStrike のリーダーシップはみんな女の子だ。その一人アヌナ・デ・ヴェーバーは、同性の環境大臣が親しみを込めて「若い人たちが環境対策を支持してくれてうれしい」なんて言ったら「(何とぼけたこと言ってるの)私たちはあなたたち政府の腰抜け政策に完全に反対しているし、怒ってるの」と一蹴した。グレタと同じように彼女たちも、極寒の中集まったティーンエイジャーたちも、解決を装って本質的に何もしない政府の欺瞞を見破っている。

 おりしも12月、ベルギー政府は、右派政権であるチェコとともに、エネルギーの使用削減を図るEUの政令に反対したのだ。「この国の大人たちが責任を果たすまで、私たちは木曜日に学校をストライキする」と5月の総選挙までがんばる意向だ。

 今年5月には、EU議会選挙とベルギー国政選挙が同時に行われる。世論調査によると、気候変動問題を「18~25歳」が一番大切な政策として挙げているのに対し、「50歳以上」では優先順位7番目である。現在のベルギー政治は、経済は新自由主義、政治はナショナリズムという、最近お決まりのコンビネーションだ。昨年11月に国連で移民に対応する初の枠組み「国連移民協定」が決まった時、連立与党4党のうち最大議席を持つ右翼政党「新フラームス同盟N-VA」の閣僚が「移民政策に関する主権を失うことにつながる」などとして辞任し連立が崩壊した。

N-VAは、ベルギーからのフランダース地方の分離独立を主張する極右政党と共に、この選挙の関心を難民や移民攻撃に向け、脅威、憎悪を強調することで不安をあおり、議席を伸ばそうと画策している。そのために閣僚が辞任して連立を崩壊させたのだから。このような政策は50歳以上の(白人男性)有権者には、特に有効だ。

 来たる選挙も悪質な右派ポピュリズムに独占されるのかと暗澹としていた矢先、高校生たちがまったく違う風を起こしたのだ。彼らにとって、本当の、そして緊急の脅威は、気候変動問題なのだ。インターネットで世界中とつながり、英語を楽々と使いこなし、多文化社会の豊かさを地で知っているミレニアム世代は、移民、難民を攻撃する作られた脅威を簡単に見破っている。そして社会や政治に届かない声を直球で表現し始めたのだ。気候変動問題を黙殺して自分たちの将来を奪うのは許せないと。

 実は、ベルギーは他の近隣諸国と違って環境主義が発展してこなかった。それがどうしてなのか私にはよくわからない。有機食品は極端に少ないし、ベジタリアン文化も乏しいし、自動車生産国でもないのに自動車大好きで車に乗っている人たちが必要以上に威張っている。自分たちが原因にもかかわらず車の渋滞のひどさの文句を言い、どこにパーキングできるかの情報交換は、主要な話題として延々に続く。結果、ヨーロッパでもっとも空気汚染がひどい国となってしまった。

 ヨナタンが #ClimateStrike に参加したいと言ったとき、私たちは親として誇りに思った。たとえ最初の動機が学校を休める、だったとしても、彼は同世代が1万人以上も路上を埋め尽くして声を上げる高揚感を存分に味わったはずだ。これからもベルギー政府が真に態度を変えるまで木曜日の #ClimateStrike に参加するだろう。彼は、今まで非営利セクターで働き、車も免許も持たない環境主義者の両親を冷ややかに見てきた。自分はこんな分の悪い生き方はまっぴらと思っている節がある。夜遊びとファッションに忙しい不良少年にとって、真面目や一生懸命はアンクール(かっこ悪い)と同義語だ。

 ブリュッセルで「気候変動問題をちゃんとやれ」という高校生集団が彼の中でクールになった時、私は彼の中だけでなく社会全体で地殻変動が起きたと思った。これは、世界中で断続的に起こっているアンチエスタブリッシュメントの運動と無関係ではない。10代の怒りは支配層だけでなく、気候変動問題の緊急性をないものとする大多数の大人に向かっているため、その力強さは半端じゃない。彼らはこの選挙の争点を変えるだろう。娘、息子が#ClimateStrike に行くことを親が許可しないという話も周辺で聞いているが、来週はもっと多くの親が、これ以上の自立と民主主義の教育はないと気が付くかもしれない。

#ClimateStrikeに呼応するかのように1月27日、日曜日に行われた「気候デモ」にはベルギー過去最多の7万人が参加し、ブリュッセルの街を歩いた。冷たい雨はつらかったけど、小さな子どもたちかからお年寄りまで、3、4世代をつなぐ平和な行進だった。そして、#ClimateStrikeの主役たちもたくさん来ていた。中高生たちは大人に対して怒っているけど、世代を分断しているわけではない。むしろ世代をつなげているということを、このデモが証明してくれた。世代を超えた私たちの怒りは、政治家を含めた支配階級に向いているのだ。

●グレタによるCOP24での演説の日本語訳が、こちらのブログに載っています。

 


「売れてる健康食品」

2019年02月01日 | 健康・病気
 先月22日に「危ないサプリ」を掲載したばかりであるが、こんな記事が飛び込んできた。


 
情報公開でわかったインチキな「売れてる健康食品」、サントリー「グルコサミンアクティブ」&「ロコモア」
サントリ―ウエルネス社のヒットサプリ「グルコサミンアクティブ」「ロコモア」機能性表示食品への届出資料ではその効果に疑問が出ている。
 グルコサミンは、本当に膝の痛みに効くのか。「グルコサミンアクティブ」「ロコモア」とヒット商品を連発するサントリーウエルネス社のサプリだが、機能性表示食品の証拠を消費者庁が専門家に検証させるセカンドオピニオン事業で、「グルコサミンアクティブ」の膝関節への効果が疑問視されていることが、筆者の情報開示請求で分かった。サプリ摂取グループとプラセボグループで、最初の割り付けから偏りがあった。実はこのセカンドオピニオン事業では、2017年にグルコサミン17商品について消費者庁がひそかに事業者に撤回を勧めていたことも明らかになっている。また、関節成分と筋肉成分のダブル効果をうたう「ロコモア」の臨床試験では、サプリ摂取グループとプラセボグループとの比較検定を66回も繰り返し、ようやく「ひざ関節機能」と「歩行速度」に差を見つけ、効果アリと届けていた。サントリーに問題点を指摘し質問したが「行政のルールには従っている」というだけで個別の質問には全く答えない。


【Digest】
◇消費者庁も疑問視する「グルコサミンアクティブ」の効果
◇証拠の不十分で届出撤回が続出していたグルコサミンサプリ
◇「ロコモア」の関節・筋肉成分のダブル効果は「科学的に誤り」
◇回答拒否のサントリーウエルネス

◇消費者庁も疑問視する「グルコサミンアクティブ」の効果
 サントリーのサプリメント「グルコサミンアクティブ」

 グリコサミン成分のサプリメントの中では売上No.1で、累計販売本数2000万本突破という大ヒットサプリメントである。

 早朝や深夜のCMも盛んにながれており、落語家の三遊亭圓楽や歌手の中尾ミエが「移動時のひざ関節の悩みを改善!」などと宣伝。「抽選で1万名様にボトル1本無料」などの大盤振る舞いをしている。

サントリーウエルネス社のホームページに示されたグルコサミンアクティ

 

消費者庁が2017年に行なったグルコサミンアクティブのエビデンスレビュー報告書

 

ブの臨床試験のグラフ。

 消費者庁に証拠を届け出れば機能性を表示できる機能性表示食品であり、サントリーウエルネスの商品のホームページでは、機能性の証拠を示すグラフが示されている。

 ひざ関節に痛みを感じる人たち24人を、有効成分を含むサプリメントのグループ(摂取グループ)と、成分を含まないサプリメントのグループ(対照グループ)に分けて、16週間飲ませて、移動時のひざ関節の痛みの改善に差が出るかを調べたものだ。

グラフを見る限り、両グループの間では、統計上有意な差、つまり偶然とは言えない差が出ているように見える。

しかし、このサプリメントについて、消費者庁が2017年度に行った健康食品のエビデンスレビュー報告書の中で、問題点が指摘されている。

 グルコサミンアクティブの臨床試験は、もともとは変形性膝関節症の患者も含めた全体39人を2グループに分けて比較したものであった。

 しかし医薬品と区別するために、機能性表示食品の対象はあくまで病気以前の人たちである必要があるため、患者15人を除いて、「健常者だが膝に痛みを感じる24人」に限定して再解析した結果が示されている。

 グラフでは、摂取前の膝の痛みなどのスコアが、摂取中または摂取後にどれくらい改善されたか変化量が示されているのだが、ホームページのグラフでは、摂取0週の値はどちらもゼロになっているが、そこですでに差があったというのだ.....この続きの文章、および全ての拡大画像は、会員のみに提供されております。


求人詐欺と不当解雇

2019年02月01日 | 社会・経済

アップルショックから「派遣切り」へ 製造業派遣で繰り返される求人詐欺と不当解雇の実態

 

 今野晴貴  | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

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 今年に入り、iphoneMacbookを販売するapple社が予測売上高を下方修正したことで、appleの株価が下がり、株式市場や世界経済にも影響を与えている。いわゆる「アップルショック」と呼ばれる事態だ。

 もっとも大きな要因は中国の景気減速による中国でのiPhoneの売り上げ減少が響いているとみられる。また、それ以前からスマートフォンの売り上げが世界的に落ちていることも影響しているのではないかともいわれている。

 アップルショックは日本の派遣労働者の生活を直撃しかねない。Apple製品の部品を供給するサプライヤーである日本企業は55社、台湾、米国に次ぐ世界第三位だ。

 今回のアップルショックによるapple製品の減産は、その製造を下請けしている日本企業の業績にも影響を与え始めており、既にシャープ、アルプスアルパイン、オムロン、ジャパンディスプレイなどの会社が売り上げを大きく減少させる見込みと報じられている。

 こうした事態は、製造業で雇用されている派遣労働者等の大量の「派遣切り」につながるおそれがある。

 海外の経済の急減速が日本の派遣労働者の雇用に重大な影響を与えた事件といえば、まっさきに思い出されるのが2008年のリーマンショックと、その後の大量の派遣切りが年末年始に日比谷公園に約500名もの派遣労働者が集まり生存の保障を求めた「年越し派遣村」だ。

  参考:「「派遣村」から10年 その背景と、現在も続く問題への対処法を考える」

 企業の一方的な都合で解雇される派遣労働者

 景気の変動でもっとも影響を受けるのは派遣労働者である。派遣は景気の変動に対応して企業が自由に「調整」できる労働力であることが「利点」とされて導入されてきた。

 通常の労働者を扱う場合には、景気の変動を理由として解雇するとしても、解雇に客観的な合理性があるかどうかが問題となる。

 たとえば労働者を解雇しながら、役員報酬や株式配当などが全く変わっていないのであれば、不当な解雇であるといえる。ところが派遣労働者の場合には、派遣先と派遣労働者の間には雇用契約が成立していないので、こうした客観的な合理性を企業は回避することができてしまう。

 「ユーザー企業」はあくまでも派遣労働者を「物品」として購入するのであり、彼らに対する雇用上の責任は負わないのだ。

 Appleの部品工場で働く派遣労働者からの相談

 アップルショックによる減産で、実際に現場で働く派遣労働者の間では不安が広がっている。私が代表を務めるNPO法人POSSEには、Apple製品の部品工場で働く派遣労働者から今年1月に入って工場が大幅な減産となり今後の雇用の先行きが不安だという相談が複数寄せられている。

 そのうちの一人、Aさんはこうした派遣労働の現状に対し怒りを覚えている。私がAさんから聞き取った内容を元に、Appleの部品の下請け工場で働く派遣労働者の労働環境や生活の不安を紹介したい。

 Aさんは東北地方出身の30代前半の男性である。10代後半から様々な職場を経験したが、給与は10万円台。実家暮らしだったため生活費は節約できていたものの、なるべく安定した仕事を得たいといつも考えていた。

 高校卒業と同時に交通会社の正社員になれたときは安定した仕事につけたことに安心した。しかし、仕事は12時間にもおよぶ拘束時間があるなど長時間労働であり、同じ日の朝と夕の二回出勤するなど不規則なスケジュールが多く、きちんと休める年間の休日も50日程度しかないなど過酷なものだった。

 さらに給料も一年間に月に500円程度しか上昇せず、身体ももたないため、退職せざるを得なかった。

 Aさんは引きつづき安定した仕事を探したが、とりあえず収入を得る必要があったため、製造業派遣で働き始める。しかし給与は20万円に届くかどうかという水準であった。Aさんは派遣で働きながらも良い求人がないか探していた。

 そして2018年に見つけたのが、「給与30万円以上可、寮費無料」を謳うapple製品の部品工場の仕事だった。求人には「正社員」とある。今よりも給与も高く、寮費も無料であれば実家から独立して暮らせると考え、連絡先に電話すると、別の派遣会社の担当者が対応し、面談後即日で入社してくれという話になった。「正社員」という表示はあくまで派遣会社の正社員としての雇用という意味だった。

 実家から離れ、寮に入り働き始めたAさんは、最初の給与明細を見て驚く。求人では「寮費無料」となっていたにもかかわらず、なぜか寮費として給与から数万円分天引きされていたのである。また、Aさんは一日に2時間程度残業するが、それでも月の給与は、額面で20万円台前半にしかとどかない。欠勤などが多い月は、10万円台前半まで割り込むこともあった。

 同じ派遣会社で働く同僚も同じように寮費無料と聞いて入ったのに寮費を引かれていることに不満を持っていた。Aさんが派遣の担当者に疑問をぶつけると、「寮費は天引きされる社内ルールになっている」という説明を始めて受けた。しかし、何か月たっても「30万円以上可。寮費無料」という求人は訂正されずネット上に掲載され続けている。Aさんは「騙された」と悟った。

 派遣会社は人を集めるために、虚偽の求人を表示し続けていたのである。景気変動の波によって派遣労働者への需要は増減する。生産の必要性があるときには派遣労働者への需要は高まる。

 しかし、詐欺によって集められることで、むしろ労働者の生活は不安定になりかねない。実家で暮らしていれば、少なくとも家賃はかからず、水光熱費などもある程度節約できた。だが、安定していると見せかけた求人に応募したことによって、かえってお金がかかる状況に追い込まれてしまっている。

 このように、「生活できる仕事」を探して転職を繰り返しても状況が改善せず、むしろ求人詐欺詐欺にあって余計に労働条件が悪くなるという事態は、正社員・非正社員問わず現在の多くの労働者に共通する経験だろう。

 さらに悪いことに、Aさんが働く工場でも今回のAppleショックの影響で1月から生産が大きく減少し、派遣社員は全員出勤停止となった。今後の見通しは未だ不透明で会社からは何の説明もなく、Aさんの同僚の間には次の仕事を探したり、減収を補うために副業でアルバイトを始める人が出てくるなど大きな動揺が広がっている。

「派遣村」時の経験=労使交渉で状況を改善

 製造業派遣における求人詐欺は、10年前のリーマンショック以前にもきわめて多くみられた。「月収25万円以上可」などと書かれた求人に引かれて沖縄や北海道、東北、九州などから関東圏に集められた派遣労働者が実際には求人の表示ほど稼げず、辞めたいと思っても既に遠方へ帰る交通費や引っ越し代をねん出できないため不安定な生活状況にとどめ置かれ、さらに最終的にはリーマンショックによって解雇され路上生活に陥る人々まで大量に生まれてしまったのである。

 労働者を嘘の労働条件で集めてより不安定な状況においていながら、いざ景気が悪くなるとすぐに労働者を解雇するという構図だ。Aさんもただでさえ求人詐欺によって困っているところに、アップルショックで工場が減産となり、雇用が切られるおそれまで出てきてしまっている。Aさんは「派遣会社なんてない方がいい」と語るが、それはこうした理不尽な経験を繰り返してきたからこその実感だ。

 今後さらに大規模な景気悪化の波がこれば、Aさんたちの工場でも大量の派遣社員が解雇され、寮から追い出される可能性も高い。Aさん自身は派遣会社に正社員として雇用される常用型派遣だが、リーマンショックの際には常用型派遣も約8割が解雇されてしまっている。10年前と同じ状況になる恐れは残念ながら否定できない。

 だが、こうした状況に対しては、争うことで雇用を守ったり、寮への滞在期間を延ばしたりすることが可能だ。

 昨年、ジャパンビバレッジで働く労働者がブラック企業ユニオンに加入し、東京駅でストライキを行って会社から労働条件の改善を勝ち取ったことが社会的に大きく注目された

  参考:文春オンライン「本日、JR東京駅の自販機補充スタッフがついにストライキ決行」 

 彼らは正社員だが、派遣労働を経験した組合員もいた。安定した仕事を求めて派遣と正社員を行き来するだけでは生活は楽にならないことを皆身に染みて分かっている彼らが見つけ出した解決策が、労働組合に入って権利を求めて争うということだったのである。

 派遣労働も同じだ。景気が悪いから解雇だと言われたとしても、解雇の不当性を争うことができるし、解雇だからといってすぐに寮から出ていく必要はない。

 10年前のリーマンショックでも、寮からの立ち退き期限を労働組合が会社と交渉して、引き延ばすことに成功した事例がいくつもある。

 例えば、大分キヤノンでは、2009年に労働者がユニオンに入って交渉したところ、請負会社「日研総業」で解雇される約700人全員に解決金を支払い、その経費約2億円のうち1億円はキヤノン側が負担することで合意している。

 もちろん、Aさんが受けたような「求人詐欺」についても、組合での交渉によって、差額分の給与の支払いや天引きされた寮費を取り返すことができる。

 Aさんも、今回の求人詐欺は絶対に許せないから派遣会社に給与や寮費の請求を行いたいと考えている。

 私たちも労働組合や弁護士と連携し、全力で派遣労働者の権利主張のサポートをするつもりだ。同じように困っている派遣労働者の方も、ぜひ諦めずに外部の労働相談窓口を頼ってほしい。

 

無料相談窓口  

NPO法人POSSE  03-6699-9359  soudan@npoposse.jp

 *筆者が代表を務めるNPO法人。訓練を受けたスタッフが法律や専門機関の「使い方」をサポートします。

 ブラック企業ユニオン 03-6804-7650  soudan@bku.jp

 *ブラック企業の相談に対応しているユニオンです。

 総合サポートユニオン  03-6804-7650  info@sougou-u.jp

   http://sougou-u.jp/

 *個別の労働事件に対応している労働組合。労働組合法上の権利を用いることで紛争解決に当たっています。

 仙台けやきユニオン  022-796-3894(平日17時~21時 土日祝13時~17時 水曜日定休)  sendai@sougou-u.jp

 *仙台圏の労働問題に取り組んでいる個人加盟労働組合です。

 ブラック企業被害対策弁護団  03-3288-0112

 *「労働側」の専門的弁護士の団体です。

 ブラック企業対策仙台弁護団  022-263-3191

 *仙台圏で活動する「労働側」の専門的弁護士の団体です。

 ブラック企業被害対策弁護団 北海道ブロック

 *北海道全域の労働相談を受け付ける、「労働側」の専門的弁護士の団体です。


 これが労働側の実態であり、景気が上向いていると感じているのは一部大企業と特殊な企業であろう。大企業もパイオニアなどの生産部門が潰れ、日本経済に暗い影を落としている。

 兵庫の実家から帰ってきた。実家と言っても親はなく、古い商家が残っているだけで、家財などの整理に行っているのだが・・・

 

そして滋賀の近江八幡市に。

学生時代の友人に会って、お土産までいただいてきた。