朝日新聞の「悩みのるつぼ」欄の、「運、不運で人生が決まるの?」
という質問に対して、作家の車谷 長吉さんの解答を。
車谷さんは、遺伝性蓄膿症で、物心ついた時から、鼻で呼吸が出来ずに、
口で息をして生きてきました。苦しいです。・・・という方です。
大手術を2度受けて、3度目の手術の時は、目の神経を切断する必要が
あり、「盲(めしい)になってもよい」、という同意書に署名、捺印することが
出来なかった男です・・・と。
弟さんも同じ遺伝性蓄膿症のため、結婚はしていません。
* 大学4年生の質問
就職活動まっさかり、4年生になった大学生です。
就職活動を通じて、人の人生がなぜこれほどまでに運、不運に左右
されなければ、いけないのだろう。
個人の運、不運ならまだ実力のうちかもしれないと、納得できても、
生まれた時代や環境によって、同じ能力の人間でも、
一流企業に入れたり、もっと下の企業にも、入れなかったりする運、
不運には、涙が出るほどです。
就職は、人生の一大事です。
私たちは、「悪い時代に生まれた」、と納得するしか、ないのでしょうか。
* 車谷さんの解答を。
世には運、不運があります。
それは人間社会が、始まったときからのことです。
不運な人は、不運なりに生きていけばよいのです。
私はそう覚悟して、不運を生きてきました。
私も弟も、自分の不運を嘆いたことは、一度もありません。
嘆くというのは、虫のいい考えです。考えが甘いのです。
覚悟がないのです。この世の苦みを知ったところから、
真(まこと)の人生は始まるのです。
真の人生を知らずに、生を終えてしまう人は、醜い人です。
己の不運を知った人だけが、美しく生きています。
己の不運を知ることは、ありがたいことです。
*** 文中より抜粋にて ***
西洋シャクナゲ・フラワーパーク園芸店にて
ほんとに、出来事の吉凶、人間の幸不幸は後になってみないと、分からないということですね。
いつもの時間より遅れていって、事故に遭わずにすんだとか、の運不運も定めがたいものです。
今は、平和な日本になっていますが、時代にも
波があるわけですね。
時代に沿った、心構えを、もつ大切さでしょうか。
馬に逃げられたのは、不運。
その馬が馬を連れ帰り、幸運。
こどもがその馬から落馬、骨折して、不運。
骨折したため兵隊に不採用。ところが、兵隊に行った友達は戦死した・・・。