世間では今年は3連休だそうですが、博多の男衆は毎年7月15日は何曜日であっても仕事をしません。
博多祇園山笠、通称山笠の最終日「追い山」があるからです。
山笠をご存知でない人は来年まで待ってください。
というのも、みなさんがこれを読んでいる時には「山笠はとっくに終わっている」のです。
地域によって7ヶ所の「流(ながれ)」という集団があり、5分ごとに舁山(足のついた神輿のようなもの。当然神輿よりはるかに重い)を担いで櫛田神社をスタートするタイムレースなのですが、一番山がスタートするのが午前4時59分。
なぜこんな中途半端な時刻にスタートするのか。
山はスタート直後に櫛田神社に入って柱を半周して市街に出ていくのですが、一番山、つまりその年の最初にスタートする流は櫛田神社で半周するといちど止まります。
そして山に乗った年寄りが宮司に一礼し、彼の音頭でそこにいる全員が「祝いめでた」という歌を歌って奉納します。
奉納が終わると改めて山を担いで出て行く、この儀式のために一番山だけ1分のアドバンテージを設けているのです。
よく祭りの山車などに年寄りが乗っていますが、あれはたいていこれまでの貢献をねぎらう名誉職。
しかし山笠で7年にいちど回ってくる一番山に乗る役を、もうボケた老人にさせるわけにはいきません。
その年の山笠全体がうまく締められるかどうかを、まさに自分ひとりが背負っているのですから、その重圧は計り知れないでしょう。
追い山はコースをだいたい30分で走り切ります。
ということは、七番山がゴールするのはほぼ午前6時。
祭りが午前6時に終わって、九州男児がそれから仕事をするとでも思いますか?
酒を酌み交わしながら、頭の中はすでに来年の山笠のことばかりです。
一番山の櫛田入りと祝いめでたに関しては、これ↓が参考になるでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=CN3Zp-L-N18
博多山笠は、いまでも女人禁制です。
女性は山を舁けないし、男性の詰所にも入れません。
始まってから追い山まで女性はひたすら裏方に回り、男性の装束や打ち合わせ(という名の飲み会)の世話をします。
実際はしたたかな女性の掌の上で転がされているだけなんですけどね。
九州はみんなそうだといってもいいでしょう、
山笠の様子はBSプレミアムをはじめBSで何局か生中継されますので、ご覧になりたい人は来年の7月15日早朝に予約録画でもしてください。