(本記事は自ホームページの旧記事をブログ用にリメイクしたものである。長帳場なので前編、後編の二部構成とした。)
焼石岳には6月になったらすぐ行くつもりで居たが、
天気待ちや他の山を優先している間に、だいぶ遅くなってしまった。
今回は幾つか気になる花が有ったので、岩手県の西和賀町湯田から南本内岳に登ろうと思った。
このルートから入るのは、1994年以来で、当時の林道はひどい悪路だった。
最近の状況をネットで調べてみたが、ここニ年ほどは湯田から入ったという記録を見い出せなかった。
しょうがない。自ら行って確かめるしかないと、6月23日、未明に家を出て登山口に向かった。
三界山。焼石岳山域では最もイケメンの山。
ところが残念。南本内川沿いの林道入り口に「全面通行止め」の看板が立っていたのだ。
無理したら行けるのかもしれないが、私のクルマは最低地上高が低いので無理しないことにした。
代わりに秋田県の東成瀬村からの入山に急遽変更する。
おかげで走行距離にして約80キロ、時間にして約一時間のロスが生じたが、
東成瀬村の横林道を詰めた三合目登山口には6時すぎに到着。
最近の焼石人気を反映してか、平日なのに既にクルマが数台止まっていた。
今回の非合法マップ
このルート、登り始めの標高は930mと高いのに距離が有る。しかも行程の半分くらいが森林歩きで見通しが効かない。
五合目・釈迦懺悔でつかの間の展望を愉しむ。
釈迦懺悔より栗駒山を望む。
釈迦懺悔より三界山、南本内岳、西焼石岳を望む。
(こちらの写真は下山時に撮ったもの。朝は逆光で見えにくかった。)
釈迦懺悔の後は折角登ったのに少し勿体ないが、100m近く降下して、胆沢川を渡渉。
これが三回も有る(今回は行き帰りともに濡れずに渡れた)。
胆沢川の渡渉点
渡渉すると、少しずつ花が現れて来る。
ノビネチドリ
ツルキツネノボタン。地味だが比較的珍しい花。
ミヤマカタバミ
やや透明のサンカヨウ
ツバメオモト
他にはギンリョウソウの芽出しやマイヅルソウなど白い花ばかり。
樹林帯にもいい加減飽き出した頃、梢越しにちらりとキヌガサソウが見えた。
キヌガサソウの小群生
キヌガサソウ
今回の焼石で気になる花のひとつはキヌガサソウだった。
当初、岩手県の西和賀町湯田から入ろうとしたのは、この花が豊富に有ったと記憶していたから。
それが果たせず、東成瀬ルートに変更したわけだが、こちらでも出会えて嬉しかった。
更に高所では咲き出したばかりのキャピキャピ娘にも会えた。
咲き出したばかりのキヌガサソウ
ズダヤクシュ。バックに古くなったキヌガサソウが写っていた。
八合目・焼石沼が近づくと、道端には・・・
オオバキスミレとノウゴウイチゴ
ノウゴウイチゴ
シラネアオイ(丸弁タイプ)
シラネアオイは樹林帯にも有ったが、八合目前後のものが新鮮だった。
焼石沼手前の湿地で、黄色い花の群生に遭遇。
リュウキンカの群生。
リュウキンカ有るところにはミズバショウも。奥の山は焼石岳。
東成瀬ルート八合目の焼石沼付近は昔、南部短角牛を放牧していたところでちょっと変わったフロラになっている。
昨年、7月8日に来た時はミヤマキンポウゲがびっしり咲いてみごとなイエローガーデンになっていた(こちら参照)が、
今回はちょっと様相が違う。
焼石沼と西焼石岳
別の黄色い花でビッシリなのだ。
正体はバラ科のキジムシロの仲間、正確にはエチゴキジムシロと思われる。
真昼岳や太平山でも見たが、群生の規模は焼石の方が圧倒的に大きかった。
焼石沼と西焼石岳。前面にはエチゴキジムシロ。
三界山。前面にはエチゴキジムシロ。
エチゴキジムシロの群生。
焼石沼から先は花の多い斜面を登っていく。
ハクサンチドリ
ミヤマオダマキ
来し方を振り返る。
三界山ともっこ岳
この斜面は秋田側を向いているので、私は勝手に「秋田斜面」と呼んでいるが、7月から8月にかけて花に埋もれる場所だ。
なお同じ山域なのに、中沼ルートとは花の顔ぶれがかなり違う。
今回の目当てのひとつ、シナノキンバイがあちこちで咲き出していた。この花は東北の高山には少ない。
シナノキンバイ
タカネスイバ
ベニバナイチヤクソウとイワオウギ。いずれもまだ蕾。
コバイケイソウと西焼石岳
「後編」へ続く。
私は現在、秋田市に住んでおりますが、実家は奥州市の西隣に近い横手市です。
隣の県とはいえ、焼石岳は近く、子供の頃から興味のある山でした。
長じて登山するようになり、この山が高山植物に関しては国内でも有数の山と知り、驚いております。
今年は既に6月10日に登っておりますが、これからもまた登るつもりでおります。