
何もしない処は、改めて立てる己が無い。
行為の最中に、行為する己を忘じている。
縁に依り己が立つも、改めての事に非ず。
縁に生じるものは、また縁に滅してゆく。
行為に理が付く処は、己が立ち粘着する。
己が懐の既にある理は、我に他ならない。
真の理は、常に未だ知られざる処に在る。
善悪は時に在るが、時は決まり事に非ず。
時は縁に生じ滅す処、我の懐の時に非ず。
善悪は縁起生ゆえ、己が決まり事に非ず。
法は縁に生じ滅す処、我の懐の理に非ず。
「 業識はそのまんまで、知と意で扱わ
なければ、何時でもゼロの筈である
その事、それを教えておる。」義衍
善悪は時なり、時は善悪に非ず。
善悪は法なり、法は善悪に非ず。道元