東洋医学は一つの原因から生じる百態の病の対処療法より
百態の病の由来する未病への対処と根治療法を本旨とする
金匱要略の未病
金匱要略「臓腑経絡先後病脈証篇」に未病(賊邪)に関する治療法の記述があります。
「上工は未病を治すとは何ぞ也。師曰く、夫れ未病を治する者は肝の病を見て肝は脾に伝うるを知り当に先ず脾を実すべし。
中工は相伝うるを暁(サト)らず肝の病を見て脾を実せしむるを解せず惟だ肝を治する也」とあります。
現代文に訳せば 最高の医術者は未病を治すとはどういうことか。師匠が言う、未病を治す者は肝の病を見て肝の病は脾に伝わる事を知っている。だから、まず先に脾の臓を実すべし。
普通の医術者は肝から脾に伝わる事をハッキリ解らず肝の病を見ても脾を補う(実せしむる)事を理解しない。ただ肝を治すだけだ。
先ほどの脈経を簡約すると
・実邪は自然に治り
・虚邪は治し易く
・微邪は直ぐに治る
・賊邪は悪質で死を免れず治せない
東洋医学の古典には、いづれ大病となる未病は賊邪であると記されています。
未病の治療法、予防法としては、相剋の臓腑(賊邪の治法)の治療・予防・食養生をしていくことが大事かもしれません。