痔核に効く漢方薬は何種類も考えられますが、代表をひとつ上げると「小建中湯(しょうけんちゅうとう)」です。
主薬が芍薬(しゃくやく)。花シャクヤクの根っこです。筋肉に血を補給して、筋の緊張を緩めます。こむら返りやぎっくり腰にも効きますが、消化管の緊張を緩めて、腹痛も治し、痔の痛みを止めます。
芍薬のほかに、桂皮と生姜は胃腸を温め働きを盛んにします。甘草とナツメは、筋肉や血管・粘膜に栄養を与えて傷を治します。
さらに漢方薬用のアメがはいって、胃腸に体力をつけるのと、消化管を潤してお通じをつけます。赤ちゃんや老人の便秘には、このアメだけで無理なくお通じがつきます。
小建中湯は食欲や体力低下の方に向いていますが、体力・食欲に異常がなければ、そこからアメを除けた処方もあって、より痛みの強い痔核には、こちらが基本になります。
さらに<耐え難いほど痛みが強い>場合には、そこに大黄(だいおう)を加えます。大黄はタケダの漢方便秘薬にもなっている生薬ですが、お通じをつけるために加えるのではありません。肛門の耐え難い痛みを、肛門に集中した熱のためだと考えて、それを冷ますために大黄を使います。
便秘気味のほうが使いやすいけれど、下痢していても熱性の下痢ならかまいません。
出血がひどい場合には、小建中湯に止血作用のある、よもぎ・阿膠(漢方のゼラチン)・地黄などを加えます。
痔の痛み・出血には「紫雲膏」という漢方の軟膏がよく効きます。あるメーカーは肛門の奥のまで押し込んで、内痔核に効くような紫雲膏の座薬を作っていました。ただ、紫雲膏に関するブログで書きましたが、冷えて弱って痛む痔核・脱肛によく効きますが、熱を持った状態には、痛みを悪化させることがあります。そこは注意が必要。
痔核は、あまり長く患ったものは別として、他の痔疾=痔ろうや脱肛より治しやすいように思います。