半夏瀉心湯を構成している生薬のうち、この処方の核は「黄連」、そして「黄芩」です。
黄芩・黄連を同時に内包する処方を「芩連剤」といいます。本方はその代表的な方剤です。
まず黄連と大黄の二つのみで構成された処方を「大黄黄連瀉心湯」といいます。そしてこの方剤を基本に、黄連が主となって構成された処方を「瀉心湯類」といいます。
この大黄黄連瀉心湯が半夏瀉心湯のプロトタイプです。そして大黄黄連瀉心湯は心下(みぞおち・胃部)の痞えを取る薬であることから、「黄連」を配合した瀉心湯類は胃薬として使われる傾向があります。
さらに「黄芩」も胃薬です。江戸の名医・吉益東洞はその著書『薬徴』において、「黄芩は単に心下(胃部)の痞えを取る薬とだけ考えれば良い」と示しています。
すなわち半夏瀉心湯は「黄連・黄芩を配した胃薬」であるということが最大の特徴です。
では黄連・黄芩は胃薬としてどのようなを性質を持つのでしょうか。 ... つづく