南武線の矢川駅から15分くらい歩いたところにある矢川緑地へ、ときどき行きます。
ここは矢川保全地域の一部で、緑地内を流れる小さな矢川の流れや湿地、雑木林と野原など、さして広くはないものの多様な植物があるので、今までもたくさんの虫を見つけることができた場所です。
新緑が萌え出てきた今ごろは、小さな川に緑が映りこんで、えもいわれぬ美しさにしばし心とろけた・・・・・・
のもつかのま。歩きはじめてすぐ、なにかいやな予感。去年からどんどん増えていたはずのクサギが見当たらない。
クサギは、臭い木という意味からきた和名らしいのですが、葉っぱは不思議な形容しがたい匂いが確かにするものの、花はすばらしい香り。嗅ぐたびにタヒチのティアレ畑を思い出します。この緑地にはかなりたくさんのクサギがあって、訪れるたびに楽しんでいたのですが、すっかり切り詰められて・・・・・・これじゃあしばらくは葉っぱも出ないよ(涙涙涙)。
がっくりきながら、さらに湿地のなかにもうけられたボードウォークにさしかかると・・・・
うわっ。 ちょっと木が腐りかけて注意深く歩かなければならない部分もあったボードウォークがすっかり新しく作り変えられています。それはいいのですが・・・・・・同時にボードウォークの両側に生えていたさまざまな草類の茂みが、すっかり刈り取られている。
もう6年間くらい前からここに来ていますが、こんなことははじめて。緑地保全にはりきる草刈ボランティアの数が増えたのだろうか?ああ、いままでここで見つけたあの虫、この虫・・・・一気に消失。
がっくり。にぎりしめた右手に無念さが・・・・・・。
しばしボウゼンとしましたが、「また草は生えるさ」と気を取りなおして、雑木林のほうへ。
枝が低くて葉が見やすいお気に入りのコナラのところへ。もうオトシブミがいるかな?と地面をみたのですが、まだ卵の入った虫の「落とし文」は見当たらず、新芽に首をつっこんでいるひょうきん顔のゾウムシがいました。
『虫目で歩けば』を出してから、ときどき読んだ人が感想を寄せてくれるのですが、「本に出ている●●がぜひみたいんです」というのが多いなかで、いちばん人気が、キイロテントウ。
でもなかなか見つからなくて、といわれる。 キイロテントウは3ミリくらいしかない小さな体なので、きっと最初は目に入らないのだとおもう。 そのキイロテントウが30匹くらい群れているノバラの木がありました。ウドンコ病などの菌類に侵されているノバラなのかな。
ちょっと葉に斑点などが浮かんでいるのが見えるでしょうか? こういう木を見たら、キイロテントウがいる可能性あります。
おっ、イタドリハムシ。
今年はじめて見つけてからは、何度も見ています。きっと目がなれて「イタドリハムシ目」が私の目のなかにできたのでしょう。
飛んだ。
ハムシの飛翔姿って、どこかマヌケ。「やっと飛べたぁー」って感じなところがかわいい。
アリマキがわんさかいるバラの木には、ナミテントウがいっぱいです。
タマゴの上で交尾しているって、どういうことか?
ナミテントウの斑紋のバラエティ豊かなことはびっくりさせられますが、こんな風にまったく違うテントウムシに見えるオスメスが交尾しているのをみると、多彩な斑紋の理由が納得できるというものです。
そして・・・・これは?
葉の上でじっとしている5ミリ足らずの小さな虫。赤い小楯板があるので、カメムシ?と思ったのですが、
横からみた体の形は、他の虫のように思えます。 調べてみたら、ムネアカアワフキというアワフキの一種らしい。
それから、これもなに?
4ミリくらいの大きさですが、お尻のところに大理石みたいな模様がある。
調べてみるとクロヒラタヨコバイというヨコバイの仲間でした。セミみたいな顔しています。
虫って、小さいけど、ちゃんとできているなあ、と思わせるアワフキとヨコバイでした。
原っぱのほうに行くと、ツマキチョウが。
前翅の先が夏みかん色をしているから、オス。
もうそろそろ帰ろうか。と出口に向かったところに、カサの高さが10センチくらいもある大きなアミガサダケが。しかも、あそこにも、ここにも、あっちにもー!
アミガサダケは春に見かけるキノコですが、数えてみると50個以上。こんな大群生に出会ったのははじめて。
キノコってやっぱり、あたりを独特の雰囲気にしてしまう。なんだか胞子の毒気(アミガサダケに毒はないけど)にあてられたような、不思議なこころもちで帰路についたのでした。