鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

きょうから開始 竹上妙さんの木版画展

2016-07-01 08:47:51 | 日記

 

 私の著書『虫目のススメ』の、テントウムシのカバー木版画を制作してくれた竹上妙さんの

『探しさがされ』(池袋ジュンク堂7F)、

 

 

と『飛んで、日に日に夏になる』(西荻窪ギャラリーウレシカ)

の、2つの個展が今日から同時開催されます!(ウレシカは7日開始)。

 またこれを記念して、特製 作品集も。

会場での特別販売。1200円 手刷りの帯付き!

 

この個展には私もちょこっと参加しています。

ふたりで大好きなイモムシをテーマに絵本をつくろう、と

この一年間、いっしょにフィールドで見つけたイモムシたちをテーマに

絵本を制作中。

その一部を、今回展示しちゃおうと。

テキストを囲んでいるのはそれぞれのイモムシの食草。

展示でももちろん読めますが、

きょうは1ページ目のテキストを特別公開!

ストーリーはこんな風にはじまります。

 

「やだなあ、ここ。お店も近くになくて不便だし、学校遠いし(歩いて25分なんて・・・)道はボロっちいし、いじめっ子はいるし、なかなか友達できないし、へんな虫いるし・・・・・・。

三年生になった桐子(とうこ)は、おとうさんの仕事の都合で、都会のまんなかから山に囲まれた○○町へ引っ越してきた。

「早く帰ろっ、と」

ホームルームがおわると、桐子は急いで教室をでた。

うろうろしているとまた、背中にいっぱい「ひっつき虫」をくっつけられるから。

カーディガンにいっぱいついていて、ぜんぶとるのに、おかあさんといっしょにすごく苦労した。

あれは誰がやったのかわからなかったけど、たぶんあいつだ、と桐子は思う。

きっと、「イシイくん」って呼ばれているやつだ。背が低くて色の黒いやつ。

  

通学路はひどくぬかるんでいて、水たまりがいっぱい。

朝はあんなに雨降っていたのに、今はもう青空だ。

「ながぐつと傘、じゃまっけだなあ」

「あっ!」

傘をふりまわして駆けだしたときだった。

道のまんなかまで張りだしていた木の根っこにつまずいて、看板が倒れるみたいに、ばたっ、と倒れた。

 頭のなか真っ白。

ヒザとおでこと鼻と肘が痛くて、起き上がれない。

涙がこみあげてくる。

すこーし、痛みがひいてきて、桐子がやっと顔をあげると

目の前に小さくてやわらかそうなササの葉があった。

その一枚の葉の上に、……なんだろう?!

「ネ、ネコの顔……」

これって、何?

それは痛いのも、ころんだ情けなさも忘れさせてしまうほど、ふしぎなものだった。

 

つづきは、ぜひ会場で読んでください。