鈴木海花の「虫目で歩けば」

自然のディテールの美しさ、面白さを見つける「虫目」で見た、
身近な虫や植物の観察や飼育の記録。

29日の虫カフェ―「ヨナグニサンをさがしに」

2013-10-01 18:18:12 | 日記

与那国島ではヨナグニサンは「アヤミハビル」と呼ばれている。



 一昨日、9月29日の虫カフェ。
壁には、展覧会初日の木版画家 竹上妙さんの作品が並んでいます。


私は新作(昨日の夜、徹夜で完成したばかりという)「ただ集めているだけ」という作品(写真の一番右)が特に好き!


『虫目のススメ』の表紙カバーに使わせてもらったテントウムシの作品も。



 シーモアグラスはこの日も満席。

今回は初めて来てくださった方が多かったので、最初に簡単な自己紹介。
都内&近郊はもちろん、大阪、静岡、岐阜、埼玉、千葉……と、遠方から来てくれた人がたくさんいてびっくり。




 大阪から始発の新幹線で来てくれた石田さんは、6月のオオムラサキセンターのイベントの前泊組だった人で、うれしい再会。
 Kさんは、大学で生物学を勉強する学生さん(女子)。かの名和昆虫館の近くなので、標本制作の指導を名和昆虫館の方にしていただいた、といううらやましい環境で勉強しているハチ好きのひと。
 静岡から来てくれた渡辺さんは、消しゴムハンコで精密な虫を彫る。
ハナカマキリ、ジンメンカメムシ、ルリボシカミキリなどなど、いくつか持ってきてくれたハンコは参加者に大人気で、ほとんど売り切れ。

(右のほうに見える小さな白い容器に入っているのは、オオミズアオの蛹)


 渡辺さんのはんこのだるま屋」a>で作品みてください。

11月2日の「生きものまーけっと」 にも出品するそうです。
私も、これ行きたい~
  

 そして、この日の「海花の部屋」のゲストは、
イラストレーターの宇佐美朋子さんと、女子美術大学の千葉ちさとさん。
おふたりに、今年8月に与那国島へヨナグニサンを探しにいった話をしていただきました。
 ヴィジュアル表現に関してはバッチリなふたり。
与那国島への旅の話に加え、プロジェクターを用意して素敵な画像も見せてくださいました。


 そもそも虫カフェで出会ったふたりは、ともに蛾LOVE。
いろいろ話をするうちに、お互いの夢が同じであることがわかった。
それは-一度でいいから世界最大の蛾であるヨナグニサンが、
生息地で生きている姿を自分の目で見ること。
 そしてついに、一番目撃できる可能性のある8月に与那国島への旅をすることに。
 ところが、8月初旬のこの旅に先立つ7月16日、与那国島は台風に見舞われ、
島の植物はすっかり茶色の枯れ状態に。虫も姿を消した。

 島に到着したふたりはその光景に唖然。
 でも、長年の夢をかなえるための旅。ヨナグニサンを見ないで帰れない!!!
毎晩、飛んでいる姿が見られるという、真っ暗な森に出かけた。
 しかし……ヨナグニサンどころか、全体に虫の姿もほとんどない。

 そして、最後の夜10時。もうこの夜しかない。
 ふたりは「夜の森におんなふたりで出かけるのは剣呑」と宿の女将が止めるのも聞かず、
意を決して、島に2台しかない(しかもこの夜1台はお休み)タクシーで
森の入口へ向かった。
 月もない夜だった。森は深く、真っ暗。
タクシーを降りたふたりは、ヘッドライトを装着し、手にもライトをもって、
森のなかの道の右と左にわかれて、なめるように見ながらそろそろと進んだ。
 ヘッドライトにひっきりなしにぶつかってくるワモンゴキブリにもめげず、歩くこと2時間。
……見つからない……。



 ああ……と足がへなへなしそうになったそのとき。

 道の右側担当の千葉さんが、低い声で言った
「いた……」

 ついに生きて森にいるヨナグニサンに出会えた!
飛ばれたらたいへんだから、写真を撮りながら、じりっ、じりっ、と1歩ずつ近寄っていった。
 翅に傷みもない、美しい、そして想像よりはるかに大きいヨナグニサンのオスだった……




というお話を、みんなで固唾をのみながら聞きました。

「わあぁ、よかったねえ~」と
見たい虫を見つけた時の感激がわかる、虫好きのみんなから拍手。


 
 「海花の部屋」のあとは、いつものごとく、みんな入り混じって虫話に花をさかせたり、
情報を交換したり、販売品を買ったり。

私が買ったのは宇佐美さんのオオトラフだらけの陶器。


 この日は7月に『むしの顔』を出版された伊藤年一さんも参加してくださった。
 伊藤さんは、学習研究社で長らく編集者を務めたあとも、虫の写真を撮り続け、
『むしの顔』にまとめられたのだ。


 私も虫を撮るときは、顔を撮りたい!と思うのだけれど、なかなか難しい。
1冊まるごと虫の顔だらけのこの本、ぜひ本屋さんで手にとってみてください。


 いつもと違いスイーツメニューなしのこの日、宇佐美さんと千葉さんが、
お手製のおやつを用意してくれました。

千葉さんのマカロン。ミヤコキンカメムシとヨナグニサン模様。
見た目もかわいいが、味が抜群。それもそのはず、黄色いのは与那国島特産の長命草の粉末とレモンジャム、ピンクのはイチジクのジャム入りという凝ったもの。

 そして、宇佐美さん渾身のヨナグニサン・アイシングクッキー。



 そうこうするうちに宇佐美さんのポーチについている、話題の「イモコレ」を見てみんな騒然。


 海洋堂から発売されたばかりの、イモムシコレクションは6種。
ガチャガチャで1回300円。宇佐美さんは6種コンプするのに12回ガチャしたそうだ(『むし探検広場』の川邊園長は、なんと8回で6種コンプしたというから、さすがだ)。
で、そのダブりの分を欲しい人に譲るという。
すぐ売り切れ~

 たちまち2時間が過ぎ、いったん店の外に出て、通常営業のための準備。
 でも、ほとんどの人はそのまま去りがたく再入店し、みんなお腹がすいていたので、
ランチのオーダーが殺到。ひとりで切り盛りしているオーナーの坂本さんは大忙し。
 4時過ぎ、シーモアグラスは虫好きたちの熱気からやっと開放され、
いつもの落ち着きをとりもどしたのでした。(坂本さん、おつかれさまでしたー)



 今夜は東京泊という大阪の石田さんと千葉さんといっしょに、にぎわう原宿の通りを渋谷に向かう。
 この日、シーモアのすぐ近くのビルに、あのかわいい安売りの店「asoko」の東京店がオープンしたばかりで、すごい人。
私ものぞいてみたかったけれど、長い行列にくじけた。

 3人で原宿をぶらぶら。
「この近くに、ノースフェイスがあるんですよね」と石田さん(大阪の人なのによく知っている)。
「そうそう、ノースのレディース専門店『3』(MARCH)もあるんですよ」
ということで、寄ってみよう。

 すると、店の入口にアオスジアゲハが止まっているのを千葉さんが発見。
 こんな人通りの多い原宿の、しかもアウトドアウェアの店の入口にいるなんて、
アオスジアゲハ、やるじゃん。

 店内には秋の新製品が並んでいる。
『虫目のススメ』のウェアページに載せたような薄手の防水ウェアをもう一枚欲しいな、
と思っていたのだが……すっごく欲しいのを見つけてしまった。

(ホワイトバランスをいろいろ変えてみたけど、写真では実際の色が出ない……)


 ゴアテックスとノースフェイスのコラボらしく、極薄のゴアテックスを貼った新素材。
完璧な防水、と同時に放湿機能を兼ね備えていると書いてある。

軽量化のため、ファスナーも特別仕様。

たたむとこんなに小さく、235g。

 さらに、惚れ込んだのが色!!!
今年の秋のトレンド色はワイン色(いつも秋になると、そうだけどね)だそうだが、
これはワイン色というより、「昭和のあずき色」といいたいような古くさい色調。
例えていえば、「激安衣料品店しまむら」の、在庫倉庫の底の底で忘れられているような、古い色。
そして、それが超新素材と融合しているセンスに私はメロメロ。
即買いとなりました。
わあ、うれしいな~
下に薄いダウンを着れば、真冬の虫探しにも対応できそう。
野外歩きだけでなく、ふつうに街歩きにも着られそう。

 ついでにこのあいだ買った片がけのパック。

コートの色に合いそう。

 あまりに人の多い原宿を抜け出して、(いつもこんなに空いていて大丈夫なのかと心配になる)渋谷西武デパートの地下で石田さんと、そば粉のクレープで早めの夕食。

 虫の話たくさんできて、いろんな人に会えて、買い物もできて、楽しかったー。
秋の匂いのする夜の風に吹かれながら、うちに帰りました。

*今回ボケーっとして楽しむばかりだった私はほとんど写真を撮っていなくて、
 ウェア、お菓子、本以外の写真はすべて、宇佐美朋子さん、竹上妙さんからおかりしました。
 ありがとうございました!

 そして、参加してくださったみなさん、ありがとうございました、またお会いしましょう。


 



 




 






 






最新の画像もっと見る