辻君を よそふ鯰の 恨みかな 夢詩香
*辻君とは、辻で男の人の袖を引いて、春を売る女性のことです。
昔から女性は、暮らすことができなくなってくると、こんなことをせざるを得なかった。なぜなら、社会で生きることのできる力を、男がどんどん奪ってくるからです。
前に女竹の句でも言いましたが、女性は今でも、その責任や仕事に見合うだけの報酬をもらえていない。ただ毎日家事で家族に尽くしているだけでも、それなりのものはあっていいはずなのに、当然だという顔をされて、男に養われているやっかいものだという扱いを受けている。
これは不当です。
男は、こういう女性の働きを奪い、全部自分のものとして、自分の稼ぎにしているのです。それで女性に恩を売って、男の権威を保とうとしている。どんな馬鹿な男でも、女よりはえらいのだということにしている。
毎日会社で働けるのも、女性が家で家事をしているからですが、それさえも男はなかなか認めようとしない。これははっきり言って、盗みです。
いつまでも支払わないでおくわけにはいかない、罪なのです。
社会の常識をバックにして、偉そうにしている男は、そのうち運命に引きずり落されます。あまりに男が何もしようとしないので、そろそろ、神が口を出してくるからです。
厳しいですね。本当のムジカはこういうことを言う男なのです。かのじょのようにやさしい女性ではない。女性の振りをしていろんな活動をしていくつもりでしたが、長く持つはずもありませんね。
辻君に化けて、鯰が恨みを晴らそうとしている。男はいい気になって女性を買うかもしれないが、そうなると馬鹿なことになる。よくそういうこともありました。鯰は水の生き物だ。男に虐げられた女は、よく水に身を投げた。
深い水の底に沈んだ恨みが、鯰になってまた陸に上がって来る。
男の人は気をつけなさい。