吾が妻の 心を花に たとふれば 色はくろゆり かたちはのぎく
*短歌が続きます。これはわたしの弟子の作品です。
身近にいるある男に、指導をしてみたのです。おまえの妻はどのような女性かと。それを花にたとえてみよと。
彼によれば、彼の妻は、形は野菊のように平凡らしい。色はクロユリのように地味だが、品がよく、深いところに紅が潜んでいて、暖かいそうです。
みなのためにいろんなことをしてくれて、ありがたかったと。
愛していたかと尋ねれば、うん、と不器用に答えました。
かわいらしいですね。硬い歌だが、心がこもるとよい。
歌を作るのは難しいと思いがちですが、これを基本として差し上げますから、いろいろと練習して作ってごらんなさい。直喩の練習です。
あなたの愛する人を花にたとえたり、ものや動物にたとえたりしてごらんなさい。人によっては蘭のような形をしていたり、菫のような色をしていたりするでしょう。狐のようにずるいが愛らしかったり、仔馬のように純情だが頑固だったりするかもしれません。それでいろいろと遊んでみなさい。そういう練習から、おもしろいことが始まっていくでしょう。
気取らなくてもいい。土台にしっかり足を踏み入れて、自分にできることから始めていくのです。