ムジカの写真帳

世界はキラキラおもちゃ箱・写真館
写真に俳句や短歌を添えてつづります。

雁の声音

2016-11-28 04:24:23 | 短歌






北にゆく 雁の声音を 忍び聞き また来るものと いふ浅はかさ






*今わたしに歌を提供してくれている友達は、少々気取って歌うのが好きらしい。他のものならもう少し直截に表現するところを、ひねるところが彼らしい。

雁は冬鳥ですから、行くというより、今頃はそろそろ来ている頃でしょうか。彼らが北に帰るのは、春の頃でしょう。

「がん」とも読みますが、ここではもちろん「かり」と読んでください。

歌の意は、北の国に帰っていく鳥の声を、影から聞いていて、きっとまた来るものと思っていたら、そう甘くはないということなのですが。

今は当然だと思っていることが、いつまでも永遠に続くとは限らないということです。

雁だとて馬鹿ではない。いつも行く水が汚れて来たり、周りの環境が変わってきたりすると、違うところに行ってしまうことがある。

また、不幸にも絶滅してしまうなどということも、考えられないことではない。

あなたがたは、かのじょが奥に引っ込んで消えていったとき、多くはすぐに帰ってくるだろうと思っていたことでしょう。実はかのじょ自身もそれを思っていた。彼に自分を渡しはするが、早期のうちにまた自分が戻れるのではないかという、淡い期待も抱いていた。

だが、甘くはなかった。自分があのまま倒れてしまうなどということは、かのじょは考えてもいなかったのです。

愛を信じて、ひたすらにやってくれる人ですが、限界というものは、どんな存在にも必ずあるのです。

あなたがたはそれを、肝に染みつけなければいけません。あなたがたが無理な暴虐をやりすぎれば、消えてなくなってしまう愛もあるのです。そしてそれは、二度とは帰って来ない。

失うということの重大性を、あなたがたは深く学ばねばなりません。そして、二度と同じことを繰り返してはならない。

この世界には、決してやってはならないことがあるのです。決して言ってはならない言葉があるのです。

それは冗談ではなく、真の言葉で言う、「消えろ」という言葉です。

それは自己存在の永遠性を、真っ向から否定するのです。







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