今日の「赤旗」に元NHK経営委員の小林緑さんが、6年間の委員の「私の心の傷として残ります」とその実態と、今の委員のあり方への疑問を呈しています。
今日の「赤旗」より
NHK経営委員会の実態
国立(くにたち)音楽大学名誉教授の小林緑さん(71)は、NHK経営委員を2期(2001~07年)務めた経験を持ちます。NHKの現状をどうみるのか、そもそも経営委員会とはどんな組織だったのでしょうか。
国立音楽大学名誉教授 NHKの籾井(もみい)勝人会長が就任会見で言い放った「慰安婦問題はどの国にもあった」などの発言に、「国民が頼りにしている公共放送のトップにあるまじき暴言です。あまりのひどさに、この国はどうなるのか本当に心配です」と小林さんは顔を曇らせます。
突然の指名受け 昨年12月に籾井会長を選出しだのが経営委員会です。放送法では、経営委員は国会の同意を得て首相が任命します。人選は、教育、文化、産業などの各分野や各地方から 「公平に代表されることを考慮」するとしています。
小林さんは「突然、指名された」と振り返ります。「恐らく、総務省のかたが『大学教員』『女性』『音楽』などのキーワードで検索したら、たまたま私の名前が出てきたのでしょう。私の経験を少しでも放送分野に生かせるチャンスだと引き受けましたが、6年間の任期は私の心の傷として残ります」
発言の時間なく月に2回、各2時間の委員会は、事務方が準備した議題を承認するだけ。「その他の話題を取り上げたり、個人的な発言をする時間はほとんどありませんでした」。とくに、疑念を抱いたのが03年の会長選考。候補者は当時3期目を目指す海老沢勝二会長でした。
「私は『不祥事をうやむやにして長期独裁をねらう海老沢さんには反対』と経営委員長に言いました。しかしこうした反対意見は公表されず、『全会一致で承認』にされたのです。現在の委員のみなさんも、本当に納得して籾井会長を選んだのでしょうか」 現在の経営委員に対しても厳しい目を向けます。安倍首相が送り込んだ長谷川三千子氏や百田尚樹氏らをはじめとする経営委員会が、右翼的な言動が目立つ籾井会長を誕生させました。
小林さんは、1月22日に参院議員会館で開かれた集会「戦争反対!女性大集合」に参加しました。この場で長谷川氏が突然マイクを握り「安倍首相の応援団です」と名乗り、「安倍首相に共感も反感も伝えるのが経営委員」と演説しました。
「本当に驚きました。私は『経営委員が応援団とは聞き捨てならない』と反論しましたが、公正・公平を掲げるNHKの最高意思決定機関の一員としてあるまじき言動です」
すぐれた番組も
小林さんは、戦前に戦争反対を貫いた女性作曲家・吉田隆子にも強い関心を抱いてきました。それだけに、01年に安倍首相(当時は官房副長官)の圧力で日本軍「慰安婦」問題を扱ったETV番組が改変された事件に強い懸念を持ち、シンポジウムや勉強会にも参加しました。「しかし、経営委員という立場を考え、積極的に発言できず、本当に苦しくつらい思いをしてきました」
平和憲法を否定する長谷川氏や百田氏について、「経営委員の資格はありません」と言い切ります。
「NHKは『吉田隆子を知っていますか』(12年9月2日放送)という素晴らしい番組をつくっています。安倍首相の応援団を公言する経営委員や歴史認識が問われる会長のもとで、こうした番組がつくれるのでしょうか。公共放送が 『国策放送局』にならな
いよう私も声を上げていきたい」
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