「文化と政治を結んで」不破哲三さんの著作です。
青春論・問題意識と本・スターリン独裁を完膚なきまで打ち砕く・文化芸術に押しつける独裁・ショスタコービッチの良心
など、感じました。
青春論
私は表題の意味の他に「伸子・重吉の『十二年』は青春論だと思いました。
文学者として極限状態に置かれた百合子と獄中の顕治との信頼に裏付けれた、命がけの率直なやりとりは、現代に生きる若者に時代を超えて、どう生きるべきかを訴えかけているのではないでしょうか。もちろん私のような年代にも。
多様な問題意識を持つこと
私は、不破さんが、国内外問わず書店などで本を購入しており、その後その本が生きるといいうことに注目しておりました。不破さんはものすごい問題意識を抱えており、そのことが、後に生きる書籍の効果的な収集になっていると感じていました。「本と私の交流史」は、この点について「゛買う基準は゛といいますと、今すぐ読みたいという基準ではないのです。何かいつか役に立つのではないかと思うもの、そう頭にひっかかったものを買うわけです」と書いています。私の想像は間違っていなかったと思います。
スターリンも良い面があったを根底から打ち破る
前衛11月号の渡辺治・不破哲三対談は、近著「スターリン秘史」の対談です。これまで一見スターリンの善政と見えた、反ファシズム統一戦線推進・対ドイツとの戦いなどが、スターリン個人的野望実現・覇権主義の実現にあったことを完膚なきまで、暴露する世界史的意義を持ちました。
文化芸術にも独裁正当化を
さらに、民主文学5月号を当初読んだ時には、理解できませんでしたが、そのスターリンの意図が「社会主義リアリズム」という形で、文化・芸術へ独裁合理化の影響を与えたことを、明らかにした、重要な評論であることが分かりました。
ショスタコービッチの良心
2014年に志位和夫委員長とバイオリニスト新井英二治さんの対談があり、志位さんは「スターリンの圧制下で、その暴圧に抗して、芸術家としての良心を守り抜いた」と語っています。私は当初、彼の沈んだ交響曲を聴き、まったく好きになれませんでした。しかし、何人かの友人からアドバイスを受け、また、友人からのお誘いでショスタコービッチの交響曲を生で聞く機会やCDを通じて、かなりの曲を聴くことができました。
スターリンの飴と鞭を使いながら、文化人を独裁の手足に使うなかで、ショスタコービッチの音楽は、はげしい告発と人間の自由を訴えているのです。聞くのはつらいのですが、音楽とは何かの根本を考えさせてくれる、ショスタコービッチ命がけの作品たちだと思います。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます