昨日の夜。登録していない電話番号から(携帯電話に)着信があり、出たところ、「渡辺さん、元気かい!・・・」と○○町に住む一人暮らしのおばぁちゃんからでした。事情を聞くと、私が母の通院介助で病院に付き添っていたのを娘さんが見ていて、そのことを知らされ「お母さんの具合でも悪いのかと思って?しばらく顔を見せないから・・・」と心配して電話をかけてくれました。本来なら逆に私から声をかけなければならないのに、と思いながらお礼を述べました。
以前に、○村の貧しい農家で育った生い立ちは聞いたことがありますが、「じゃがいもをつくったので時間があれば明日にでも寄って・・・」と言って下さったので、早速今夕立ち寄ると、「まあ、あがりなさい!」と言われ、1時間ほど会話をしてきました。逝去されたご主人の仏壇にお線香をあげ、「一人で不自由していないかい・・・」と話しかけると、「ここに住んで40数年経ったが、いつしか周りもみんな一人暮らしになってきた。朝、ちょっとでも寝坊しカーテンをしているとチャイム音で起こされる」と近所の方々が心配してくれる様子を聞いて、失いつつある地域の連帯感を感じました。茶の間には2羽のセキセイインコが籠のなかで静かに見守っています。「この子たちも、『朝だ、早く起きろ!』って鳴いてくれるので、ゆっくり寝ていられない」と寂しさをこらえていました。「以前なら、我が家に近所の友だちが集まって、美容師さんが来てくれて髪を綺麗にして貰ったのさ。一人一人子どもたちや施設に行ったので、その集まりもなくて寂しい。私に出来ることは『野菜をつくること』が一番の楽しみ・・・」と沼の端のふるさと農園で野菜づくりをしているようでした。別棟に案内されるとビニールシートに並んだ「じゃがいも」が一杯。「私の作ったじゃがいもをおばぁちゃんに食べて貰って!」とサミット袋に一杯入れてくれました。
母から見ると20歳も年下のおばぁちゃんだけに「(母の年齢と比較して)もう1度成人式を迎えるだけ長生きできるネ」と激励すると「時間があればいつでも顔を出してネ」と私の車が見えなくなるまで外に出て見送ってくれました。
帰路のなか、「貧しい農家から嫁いだ私は幸せ者。お父さんが一生懸命働いてくれたので、子どもたちに迷惑をかけないで年金で暮らしていける。でも、農業と食料を守られない政治はダメだネ!」と一瞬だけ見せた怒りの顔は忘れません。励ますつもりが逆に励ませられた一時でしたが、いつまでも元気で頑張って長生きしてほしいと思います。