経済産業省の官僚が公表したレポート「不安な個人、立ちすくむ国家」が話題を呼んでいる。今年5月に提出されたもので、役所の文書らしくない過激な表現に大きな注目が集まったのだ。
気になる中身だが、《人類がこれまで経験したことのない変化に直面し、個人の生き方や価値観も急速に変化しつつあるにもかかわらず、日本の社会システムはちっとも変化できていない》という問題意識の下、その理由を探っている。
たとえば、以下のようなデータと解説が記載されている。
●「結婚して、出産して、添い遂げる」という人生を送る人が、1950年代生まれは81%なのに、1980年代生まれは58%まで低下。
●「正社員になり、定年まで勤めあげる」という人生を送る人が、1950年代生まれは34%なのに、1980年代生まれは27%まで低下。
これは《『昭和の人生すごろく』のコンプリート率》が大幅に下がったことを意味している。
ちなみに、女性100人で見ると、離婚は7人(1950年代生まれ)から10人(1980年代生まれ)に増加した。同様に、子供なしは5人→13人、未婚は7人→19人に増加。
男性100人で見ると、無職は15人から13人に改善したものの、非正規が3人→14人と大幅に悪化しているという。
少子高齢化が進むなかで、高齢者の生活のあり方にも暗雲が漂っている。65歳以上でも働く意欲のある人は6割以上いるのだが、実際の就業状況は惨憺たるもの。パートを含め26%しか働いておらず、高齢者の74%には仕事がない。同時に、高齢者の70%が地域の活動もしていないという。
この資料を公表したプロジェクト担当者が言う。
「メンバー達も共通認識としては、何となくこういう状況にあると思っていました。実際にデータに接してみると、定年退職者や高齢者といわれる世代の意欲ある人たちにとって、望ましくない状況だとはっきりした」
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