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お茶の水女子大学ドビュッシーゼミ二日目。
本日も3時間。と言いながらやはり超過・・・
牧神の午後への前奏曲二台バージョン、連弾バージョン、前奏曲集第一巻5〜8番を学生が演奏、それへの指導。
最初にドビュッシー自作自演を聴いて、それと出版譜の違い(大きく違うところもあり)の確認、では本当に信用できる版は何か?などの講義から始まり、ドビュッシーの和声を知る上で昨日は教会旋法、あらゆる和音からの解決の可能性などを復習した後、テンションノート、付加音の復習もし、ブルーノート、チャルダッシュ音階的なもの、スペインのミの旋法、メシアンの移調の限られた旋法から第二旋法、バルトークなどに関連しますが、短三度関係の根音から派生する三和音が似たような機能であることなどを話した後、牧神の午後への前奏曲の二台バージョンの演奏に対して私が多少指揮をしながら演奏指導。ドビュッシー初期の歌曲、ピアノソロ「ボヘミア風舞曲」カンタータ「放蕩息子」の断片を聴いてドビュッシーのルーツを知った後、牧神の午後への前奏曲の1894年あたりに作曲された曲の中で、昨日は聴いていないショーソン(コンセール)マスネ(タイス)などを聴き同時に牧神の午後への前奏曲の直前に書かれた弦楽四重奏などを聴いて色々比較。
ワーグナーはトリスタンとイゾルデの前奏曲を聴いて最初のトリスタン和音を説明、それと牧神の午後への前奏曲のほとんど最初のハープのグリッサンドの和音と同じ構成などワーグナーとドビュッシーのその時期の類似点などを説明。愛の死では冒頭からコロコロ変わる転調とドビュッシーの自由な和音配列との関係など手短にお話をしました。
ある程度わかってはおりましたが、ドビュッシーの前奏曲集の決定稿が何か?というのは本当に難しいですね。
音符の書き方もかなり不一致が多く、音価も矛盾が多いのですが、出てくる音楽が本当に素晴らしいので、ここまで残っているのですね。
また、生前も色々直されているのにも関わらずドビュッシーの死後いつのまにか書き方が簡略化されて直されているものもあり、版を重ねれば真実に近づくかというとそうでもないものもあり、本当に沢山難しい問題を孕んでおります。
ただ、学生にも、単純にある楽譜を選んでそれを注釈も読まずに盲信することが危険なことであることは理解してもらえただろうか・・・
また牧神の午後への前奏曲の簡略譜というかパーティセルがあったので、それも読んで、ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲を作曲していくプロセスも少し感じてもらいました。
最後にラヴェル編曲の牧神の午後への前奏曲連弾バージョンを学生が弾きましたが、ドビュッシー編曲の二台バージョンと同じ日に響きを比較できてよかったです。
ラヴェルは連弾という限られた条件で非常に高いレベルの編曲をしており、改めて感嘆しました。
学生には特にバランスに関してのアドバイスが多くなりましたが、それも良くなりこれからが楽しみです。
ドビュッシーというとどうしても曖昧模糊だろうという先入観でリズムもテンポも曖昧になりがちで、テンポも一定でなく、リズムも書いてあるよりかなり甘めに弾きがちなことも多いので、その辺りの指摘なども細かく伝えることができました。
ドビュッシーをより良いかたちで知ることができて、ドビュッシーの素晴らしさに気づいてもらい、ドビュッシーを少しでも好きになって行って欲しいと願うばかりです。
次は今月末。
牧神の午後への前奏曲二台バージョンと前奏曲集第一巻9〜12番、そしてゼミ内発表会です。

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