悲しみの出張 福岡編

悲しみの出張　福岡編

私が初めて飛行機に乗ったのは、上長と福岡まで、とある大学へ向かう時だった。もう十年以上前のことだが、どれだけ私の行動範囲が狭いか、これだけでも十分、分かるであろう。

出張の目的は障害調査。

大学の研究室だからか、あちこち物が散らかっており、まずは配線から始めなければなかった。一日目、調査に取り掛かるが原因分からず。ホテルに泊まって、夕飯は中華にした。上長からは、「おまえ、腹一杯食っていいぞっ！」と言われたが、そんなに沢山は食えなかった。食後、「明日は早く仕事を片付けて、中州でラーメン食うぞっ！」と言って別れた。

二日目。あーでもない、こーでもないと画面を見ながらデバッグ。しばらくして上長が「あー、分かったよ。何で今まで気づかなかったんだっ！」と叫び、原因判明。ただ制限値に引っ掛かっただけ。私はその場で制限値を解除するプログラムを作成し問題解決。しかし帰りの飛行機に間に合わず、中州は断念。

それでも離陸時間までの間、空港の中の店で、博多ラーメンを忙しく食べた。めちゃくちゃ、美味しかった。上長と私は、そこで、やっと目的を果たしたかのように、足早に飛行機に乗った。

初めての飛行機だったが、私は抵抗なく飛行機に乗れた。