ああ 紅い

角田光代 『八日目の蝉』

「遠ざかれば遠ざかるほど、色鮮やかになる。」

それが残酷なことなのか悦ぶべきことなのか判然とはしないけれど、その感覚がよく分かる。

この話に出てくる周辺人物達のように、僕の魂も醜悪だけれど、生きていく。少なくとも地上の蝉よりは長く。

つちむしアレンジ０７ ふたりむし

詩６８６「ダンゴムシやナメクジの様に」

岩をめくり上げたらその下にはダンゴムシが沢山いるよ。
見ていると歩き出すのや丸まっているのもいるよ。
そっと岩をもとの位置に戻すけれど。
動いているのもいるし、戻すのもそっくりそのままというわけにはいかないから。
中には潰れて死んでしまったのもいるだろうね。
僕だってダンゴムシの様に無数にいる生物の中のただの一つなだけであって。
生きていることには何の意味も価値もあるわけはなく。
潰れて死んだダンゴムシと同じ様に僕のいつかの死にも何の意味も価値もないことを。
忘れずにいたい。
はっきりと分かるそれだけは。