長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『Re:Life リライフ』

2017-12-05 | 映画レビュー(り)

マーク・ローレンス監督とヒュー・グラントはコンビ5作目となる本作で「かつて一世を風靡したが、今は落ち目役のヒュー・グラント」というジャンルを完全に確立したようだ。ヒューほど欲のない、自虐ギャグの好きなスターは他にいないだろう。本作では「かつてオスカーを受賞した一発屋の脚本家」役だ。仕事にあぶれ、ついには電気を止められるまで困窮した彼は地方大学のシナリオ講座講師の職を得て移住する。もちろん、真面目に働く気なんかさらさらない。受講希望者をFacebook検索して美女だけに絞り込み、さっそくベラ・ヒースコート扮する女子大生をナンパ。授業はそっちのけで初日から1か月の休講だ。
お調子者のちょい悪オヤジはヒューの十八番…だが、ロマンチックコメディの帝王も50代。いつものドン臭さは既に老人臭漂う腰回りによってさらに鈍重に映るのがご愛敬だ。

脚本も務めたローレンス監督のディレクションは時に停滞もするが、良心的で温かな気持ちにさせられる。舞台となるビンガムトンのロケーションがやけに丁寧だと思えば、監督の故郷と言うではないか。人生の再スタートを切る物語は演技巧者たちの好演もあって心地よい。

 面白いのは50を過ぎて大学へ通い始めるシングルマザーを演じたマリサ・トメイとヒューの初共演だ。2人とも90年代にブレイクしその後、長い低迷を経てトメイは“可愛すぎる熟女優”というニッチを獲得した。50を過ぎて新境地を得た2人の遅すぎる初共演は本作のテーマと気持ち良く合致した。

『Re:Life リライフ』14・米
監督 マーク・ローレンス
出演 ヒュー・グラント、マリサ・トメイ、ベラ・ヒースコート、J・K・シモンズ、アリソン・ジャニー
 

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