
冒頭、ユニバーサル映画のロゴが裏返ると現れる“Dark Universe”の文字。マーベルやDCに続けとユニバーサルが自社のホラーアイコン吸血鬼や狼男、そしてミイラを競演させる一大プロジェクト“ダークユニバース”の始まりだ。この栄えある第1弾は『ハムナプトラ』シリーズとしても大ヒットした『ミイラ再生』のリメイク、主演は現存する最後のスーパースターと言っても過言ではない我らがトム・クルーズ。万全の体制…のハズだった。
この『ザ・マミー』は批評家から酷評され、興行的にも大惨敗した。
無理もない。“ダークユニバース”が一体どこを目指したいのか、全くのノーコントロール状態なのだ。トムが珍しく冒険野郎を飄々と演じ、『インディ・ジョーンズ』よろしくアドベンチャー映画を目指すのかと思いきや、家族連れにはやや厳しいダークで暴力的なホラー描写が目立つ(かと言って、大人が満足できるレベルの物でもない)。リメイク元が同じなだけに明朗な『ハムナプトラ』が恋しくなってしまった。脚本には今やトム御用達の職人クリストファー・マッカリーが参加しているが、作品を救うには至っていない。
今やセルフプロデュース作の方が多い印象のあるトムにとって雇われ主演の本作は見劣りする仕上がりだが、それでも唯一無二のスターオーラで作品を自分の物にしている。最近のトム主演作は敵も味方もそのオーラにヤられて“トム大好き!”という雰囲気になっているのがファンにとっては微笑ましく、本作もミイラ女王(ソフィア・ブテラ)がトム恋しさに大暴れする。そりゃそうだよね!
『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』17・米
監督 アレックス・カーツマン
出演 トム・クルーズ、アナベル・ウォーリス、ソフィア・ブテラ、ジェイク・ジョンソン、コートニー・B・ヴァンス、ラッセル・クロウ
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