長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『MEG ザ・モンスター』

2019-07-31 | 映画レビュー(め)

世の中には“サメ映画”というジャンルがある。スティーブン・スピルバーグ監督の出世作『ジョーズ』以後、近年でも『ロスト・バケーション』等のヒット作があり、空からサメが降ってくる『シャークネード』シリーズに至ってはほとんど毎年量産されている需要のあるジャンルだ。いよいよサメが宇宙にまで出る時代、生真面目に海を泳がせるのが本作『MEG』だ。

可愛らしいタイトルだが、これは太古に存在したとされる巨大サメ“メガロドン”の愛称だ。体長20メートルを超え、クジラを捕食したとされるこの怪物が現代に甦る。迎え撃つはジェイソン・ステイサム!“ステイサムの悩み相談bot”のコラ画像かと見紛うが、そんなに酔狂な企画でもない。ステイサムは飛込選手としてオリンピック代表チームにまで参加した経歴の持ち主なのだ。CGコテコテのメガロドンを相手にステイサムの飛び込みフォームは“本物”である。

しかし、サメをゴジラ級に巨大化させても少しも怖くならないのだから困ったものだ。いよいよ海水浴場に襲い掛かるシーンではデカ過ぎるためにほとんどの人がスルーされているし、そもそもあのアゴで噛まれるのではなく、丸っと一飲みされるならまぁいいかな…という奇妙な諦めも出てきてスリルを感じないのである。もう少し何とかならなかったものか。

ところで本作を見ていると現在のハリウッド映画の金の流れがよくわかる。アメリカ国内だけで製作費を回収する事は難しく、海外興収、とりわけ中国市場が頼みの綱だ。ステイサムの相棒となる準主役は中国の人気女優リー・ビンビンが務め、クライマックスの海水浴場も中国である。ハリウッドのスタンダードが大きく変わっている事が目に見えて良くわかる映画だった。


『MEG ザ・モンスター』18・米
監督 ジョン・タートルトーブ
出演 ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、マシ・オカ
 

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