ピーター・バーグ監督、マーク・ウォールバーグのコンビ第4作目。これまでの実録社会派路線から一転、お得意のアクション娯楽作だ。マーキー・マークも本来の口は悪いが根はいいチンピラ芸に戻ったが、いい加減に歳も歳なので周りからモラハラ野郎扱いされているのが可笑しい。彼を上回るマイペースキャラ(そう、ウィル・フェレルだ)がいれば凸凹コンビのツッコミ役として笑えるが、一枚看板となるとこちらも2時間モラハラを受けているような気分で正直キツイ(笑)
とはいえ映画は引き締まったタイトな作りになった。巻頭、ウォールバーグ率いる特殊チームがロシア人スパイの潜む一軒家を強襲。その後は重要参考人を空港まで警護するだけというシンプルな筋書きになっている。その参考人がなんとイコ・ウワイス。2011年のスーパースタント映画『ザ・レイド』で死体の山を築いたインドネシア・アクション映画のヒーローだ。アンタ1人で大丈夫だろ!というツッコミがあちこちから聞こえてきそうなワンマンアーミーぶりで映画をかっさらっている(そしてこのキャスティングが大きな伏線にもなっている)。
バーグはマイケル・マン門下生として07年に『キングダム』を監督。一連のイラク戦争映画の中でジョン・フランケンハイマーを彷彿とさせる硬派アクション映画であり、市街地での銃撃シーンに冴えを見せていた。本作ではその集積を生かして緊迫感ある都市型アクションを展開し、奮闘している。続く『スペンサー・コンフィデンシャル』がどちらかというと“『バトルシップ』のピーター・バーグ案件”だっただけに、この65~75点台を出し続けるのに100点を取れないフィルモグラフィはどうにも歯がゆい。社会派路線は賞レースで箸にも棒にも引っかからなかったので止めてしまったのか。ならば本来の娯楽映画路線で本塁打を打ってほしい。苦々しいラストシーンにも彼らならではの気概を感じるだけに、僕はいつもこのコンビに期待してしまうのである。
『マイル22』18・米
監督 ピーター・バーグ
出演 マーク・ウォールバーグ、イコ・ウワイス、ジョン・マルコヴィッチ、ローレン・コーハン
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