長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『ターミネーター:新起動 ジェニシス』

2017-02-07 | 映画レビュー(た)

ジェームズ・キャメロンの離脱後、3匹目のドジョウを狙ってきたが一向に当たりは出ず、その度にパラレルワールドと言い換えて『猿の惑星』のような壮大なタイムトラベルものになってしまった『ターミネーター』シリーズ第5弾。個人的には第4作が嫌いじゃなかっただけに黒歴史化されてしまったのは哀しいが、州知事の任期を終え、エクスペンダブルズ扱いされるシュワちゃんを再び迎え入れるためにはリブートするしかなかった。

しかし前半20分はファンサービスのつもりなのか1、2のセルフリメイクの域を出ず、早々に新たなスリルを提供する事を放棄した怠惰さに目眩を覚えてしまう。シュワ自身は老齢のターミネーターに父性を持たせ、長年演じ続けてきたアイコンに予想外の深みをもたらしており同年、やはり長寿シリーズで自身の分身とも言える“ロッキー”の老境を味わい深く演じてオスカーにまでノミネートされた盟友スタローンを彷彿とさせるものがあった。

 タイムパラドックスを弄りながら結局は“スカイネット始動”というプロットから脱却できないアイデア不足にガッカリしてしまう。そもそもキャメロンによる1、2にはSF以前に運命に立ち向かう人間のドラマがあった。ふくよかで幼い(そしてセクシー過ぎる)エミリア・クラークはやはりサラ・コナーではないし、カイル・リース役ジェイ・コートニーは無個性過ぎるのである。


『ターミネーター:新起動 ジェニシス』15・米
監督 アラン・テイラー
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、エミリア・クラーク、ジェイ・コートニー、J・K・シモンズ、イ・ビョンホン
 

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