長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『マグニフィセント・セブン』

2018-10-27 | 映画レビュー(ま)

『七人の侍』をハリウッドリメイクした『荒野の七人』のリメイク。という事はリメイクのリメイクなワケで、リメイクブームもいよいよここまで来てしまったか。久々の本格ウエスタンは大きな絵作りは魅せてくれるが、アントワン・フークア監督はいささか生真面目が過ぎる。エルマー・バーンスタインによるお馴染みのテーマ曲はエンドロールまで封印。主演にデンゼル・ワシントンを迎えるもこの御時世にブラックパワーの誇張もない。

粗筋は今さら言うまでもないだろう。悪党どもによって苦しめられた農民達が賞金稼ぎをリクルート、決死の反撃を試みる。ここでは悪役が山賊から金の採掘権を狙う資本家へ変更されているのが今風。しかし、ピーター・サースガードではいかんせん分が悪く、クライマックスはデンゼル相手に涙目でいっぱいいっぱい。ほとんど弱いもの虐めだ。

荒野の七人メンバーも時代に適ったグローバルなキャスティングだ。黒づくめのデンゼルはまさに黒光りするような恰好良さ。サブには『トレーニング・デイ』で酷い目に会っていたイーサン・ホークが登板。PTSDの元狙撃兵役に彼の“やつれ”がピタリとハマってどうにも艶っぽい。そんな彼につき従うナイフ使いはイ・ビョンホン。ハリウッド進出後、最も良い役ではないだろうか。場をかっさらうのは絶好調男クリス・プラット。さすがに旬のスターは輝き方が違う。
大作映画で初の単独ヒロインとなったヘイリー・ベネットは『ガール・オン・ザ・トレイン』のアンニュイさから一転、芯の太さを見せている。

「勝ったのは我々ではない。農民達だ」の名台詞も割愛。リメイクのリメイクである出自を隠さんばかりに及第点ギリギリまで希釈されてしまったのが惜しい。


『マグニフィセント・セブン』16・米
監督 アントワン・フークア
出演 デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ、ヘイリー・ベネット、イ・ビョンホン、ピーター・サースガード

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『マニアック』 | トップ | 『バリー』 »

コメントを投稿

映画レビュー(ま)」カテゴリの最新記事