この映画を見るまで“ユーロビジョン・ソング・コンテスト”の事を知らなかった。毎年行われるヨーロッパ圏国別対抗のど自慢のようなイベントで、各国の人気歌手が参加するという。
なるほど、これはコメディに打ってつけの題材で、主演ウィル・フェレルは脚本まで手掛ける気合の入り様だ(なぜかアイスランド代表役)。近年すっかり演技派付いていたレイチェル・マクアダムスとデュオを組み、ユーロビジョン優勝を目指すドタバタ音楽コメディになっている。
近年のウィル・フェレルはジョン・C・ライリーとの“俺たち”シリーズもすっかりダレ気味で、『俺たちホームズ&ワトソン』に至ってはいい加減にしろよと言いたくなる作りだったが、今回は監督に15年ぶりの続編が控える傑作『ウエディング・クラッシャーズ』のデヴィッド・ドブキンを迎え、ここ数年で最も真っ当な作りになっている。幼い頃から周囲にバカにされ、伊達男の父(なんせ元007のピアース・ブロスナン。いつの間にこんな迫力あるシニアになったんだ!)には不肖の息子と疎まれてきたフェレルが、いつもの大人子供キャラで暴走しながら真実の愛に辿り着く。
今や賞レースの常連である盟友アダム・マッケイが今回もエグゼクティブプロデューサーを務めており、リーマンショックネタからアメリカディスネタまで硬派なギャグを盛り込んでいるのも久々。それにしてもこんなド級のド田舎描写をされてアイスランドの人々が怒りそう…。
この内容で2時間を超えるランニングタイムは長すぎるし、演技巧者のマクアダムスが歌声を吹き替えているのも残念だが、それらを圧倒するのがロシア代表役として登場するダン・スティーヴンス!アストラル界で培った(?)ダンスパフォーマンスは爆笑必至。せっかく『美女と野獣』でワールドワイドな名声を確立したのに、ご本人はどちらかというとキワモノ志向なご様子です。
本作はNetflix配信限定映画。週末に自宅で楽しむには十分だろう。見終える頃には脳裏に歌声がこだますハズだ。ヤオヤオ、ディンドン!(ディンドン!)
『ユーロビジョン歌合戦 ファイア・サーガの伝説』20・米
監督 デヴィッド・ドブキン
出演 ウィル・フェレル、レイチェル・マクアダムス、ダン・スティーヴンス、ピアース・ブロスナン
※Netflixで独占配信※
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