長内那由多のMovie Note

映画や海外ドラマのレビューを中心としたブログ

『リンカーン弁護士』

2020-07-21 | 映画レビュー(り)

 今やオスカー俳優となったマシュー・マコノヒーが演技派道をスタートさせたのが本作だ。ギャラや役の大小にこだわらず、良質の作品、挑戦しがいのある役柄を優先して出演作を選ぶ演技改革“マコネッサンス”の始まりである。ブレイク作『評決のとき』から十余年、酸いも甘いも知ったマコノヒーがマイクル・コナリー原作の主人公を味わい深く立体化した。オフィスはリンカーン車、バツイチの飲んだくれ、やられたらやり返すという一本筋の通った男が一発逆転の賭けに出る終幕は凄みすら感じる。これで枯れてきた頃には『評決』のポール・ニューマンのような渋味も出てくるのではないだろうか。

 それだけに原作のダイジェストに終始する脚色や、情緒不足の演出が惜しい。


『リンカーン弁護士』11・米
監督 ブラッド・ファーマン
出演 マシュー・マコノヒー、ライアン・フィリップ、マリサ・トメイ、ウィリアム・H・メイシー、フランセス・フィッシャー
 

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