「楽園」鈴木光司 1990新潮社
第2回日本ファンタジーノベル大賞(優秀賞)
「リング」「らせん」で磐石な地位を築いた作家のデビュー作。
大賞ではなく、佳作的な「優秀賞」であるのは、やっぱり第3章の出来が悪いからでしょうね。
それでも人気作家となると文庫(1995)も再出版(2010)されています。
3部構成で、第1章で「未開人の話ですか。笑いもないし、どうなってしまうのだろう」と心配させ、第2章ではその心配を払拭して活劇、第3章がご都合主義ラブロマンス。
第3部、「レスリーかっこいー!」で始まる。
フローラに内緒でついてこいという部分から「あれれれ」と気持ち悪くなってきた。
何か非常事態が起こったと思われるのにフローラってば一人で探しに行く。
「地震でできた亀裂ね」って、「亀裂から落ちたのかも」とは思うだろうけど。
音が届かないってどういうこと?水の音がうるさいってか?こうもり?
(ページ数の都合か、セリフが邪魔だったのか。洞窟の中も結構うるさいのか。え~っっっ!)
洞窟で用意されているロープがそんなに短いのか・・・
(長いロープもあるのに気付かないのか、流されてしまったのか。いや、ギルバートさんたちは素人なんだ・・・え~っ・・・)
たぶん、水が引くときに残っているのは無理。
(たくましいからねwww)
う~んとね、このような展開だったら、レスリーとフローラのどちらかが犠牲になったら納得する。泣いてあげる。そして、そうなっていれば、『次こそはきっと』みたいな感じで『楽園を永遠に求める物語』みたいな大きさになったと思うのね。
もうね、最後が安っぽくなっちゃって、すんごい残念。何か物足りない。
映像的には美しいと思う。