「PACCONTI RUSSI(ロシア短編集)」1989国書刊行会
どういう細長い本だ!読みにくい!(読むときに持ちにくい)
- 「鰐 ある異常な出来事、或はアーケード街の椿事」ドストエフスキー
- 人の命の安全や人権よりも経済(金)優先を認める価値観!?を笑う作品ですよね。
- ああ、やっとこういう作品をちょっと楽しめるようになったかも。
- 「ラザロ」レオニード・アンドレーエフ
- 死んで生き返った人間が、周りの人間をどんな者でもどんどんネガティブにしていく。陽気さを奪っていく。どんなに自信を持った人間も。
- その触れた者をそのままにしておかない存在に、現代の鬱ひきこもりを見る。
- 無限の前にあっては賢も愚もまったく等しい。知と無知、真実と虚偽、天と地の境界が消え、形なき思想が空虚の中に宙づりに。
- 「イヴァン・イリイチの死」レフ・トルストイ
- あらら、思っていた(聞いていた)のと話が違う。もっと裁判制度と判事に対する教訓的なものかと思っていたら、死に行く者のあがきの話ではないか。まあ、前半部分では、現在日本の裁判官の片付け仕事的な出世志向のありようを理解するに参考となる考え方、行動も見られることは見られる。その部分のことを言っていたのか。
- そこに至るまでの人生は、運もよくコネもあり、経済的も社会的な地位でも申し分ないものだった。なのに、ちっとも羨ましくない。周りにいる人間を信用できず、その人々も体裁のために形ばかり完璧にこなしていく。
- 死を目の前にして、自分の《間違い》に気付きかける。組織の中に飲まれて忘れてしまった若いころ感じた改革への欲求。全生涯を思い起こし、そういった生き方が出来なかったことへの後悔。正しい生き方が一番の望みであったとすれば、その人生は間違っていた。
- 自分が周りの人間を苦しめている。彼らがかわいそうだ。救ってやろう。
ああ、こういう本もいいな。
やあ、古典になった近代の作品たちをどこかで紹介してくれないだろうか。わざわざ検索して読む気はないが、機会があれば手を出してみたい。