「安部公房全集017」 1999新潮社(2008年3刷)
ええと、やっぱり安部公房といえば『砂の女』なんでしょうね。
016に続いて017も再版ですよ。ええ、017にはラジオドラマの『砂の女』ですわ。あと、映画のシナリオとかもはどこだったか、あるよね。(018かな)
使いまわしの作品が今回もたくさん載ってます。
その中でもやっぱり『砂の女』が一番だな。捕まるとわかっているのに、逃げ切ることを期待してみたりするほどに感情移入していくわ。
P272 エッセイ「最近、ぼくには」 はっはは!やあ、今なら炎上だな。
ラジオドラマ「虫は死ね」 どっちが犯人(○チガイ)だったんだろう。
ラジオドラマ「審判」 さすがだね。海上での衝突事故での船長の責任逃避の心理・・・ったく・・・
小説「他人の顔」 ちょっと技術的な部分を詳細に書き過ぎだね。雰囲気を出すつもりだったんだろうか。安部公房様ですから、何かしらの計算と意味があるのだろうけど・・・わかりません。※!妻に向けて書いたノートという体裁をとっているのがヒントだろうか。面倒くさいどうでもいいことをグダグダと書いて自分の苦労を恩着せがましく押し着せる、相手のことを考えられない性格だということを表現しているのではないか。そして、それがラストの妻の手紙に効いてくるのか!そうか!なるほど!
仮面、包帯・・・包帯姿も一種の仮面で、ネガティブな方への別人格的な存在だったのかも。「虚人の星」を読んだばかりなので、多重人格的な表現がそのままの意味にとれちゃうよ。まあ、どっちでもいいんだけど。
で、結末はもうかなり早い段階で予想出来ちゃったけど、そのあとがどうなるのかはわからなくて悶々するわ。ただ、妻の手紙を見たときの主人公の顔を想像すると、それはそれでニヤッとしてしまうけどね。さすがの表現力だわ。
参考作品「時間旅行調査委員会報告」 BSで再放送中の「シュタインズ・ゲート」を想定しながら読んでしまったわ。
書かれたのが50年も前だし、もしかしたら、各種タイムマシン理論の中に影響を与えているのかもしれないよね。