平成27年12月15日(火)に沖縄県中央卸売市場において、JAおきなわ北部地区シークヮーサー生産部会が「フルーツシークヮーサー 旬入り宣言セレモニー」を開催しました。
写真2.フルーツシークヮーサーの旬入り宣言セレモニー
生産者代表の方の話では、
・今年は台風被害が少なく品質が良い。
・出荷量は前年同様の43tを見込んでいる。
・出荷時期は12月中旬~2月中旬。
・一般消費者への販売のほか、業務需要や学校給食にも対応したい。
とのことでした。
さて、このセレモニーで JAおきなわ が配布していたリーフレットのキャッチコピーに心惹かれましたので、紹介します。
写真3.フルーツシークヮーサーのリーフレット
今回の記事タイトルにも引用しましたが「生産者がこっそり食べるフルーツシークヮーサー。」です。
沖縄県の高酸系柑橘類として名高いシークヮーサーは、夏から秋に緑色の状態で収穫されるイメージが強いですが、年末頃になると果皮は黄色く色づきます。
この頃になると酸は適度に抜け、甘味も増し、果物として食べやすくなります。
シークヮーサーの果実はジュース等の加工原料や調理用(生果汁)に使われることが多く、果物としての流通は少ない状況でした。
それでも黄色く熟したシークヮーサーは「クガニー(黄金)」と呼ばれ、沖縄県民(特に沖縄本島北部地域の方)に長く愛されてきました。
このことは、古琉球古謡集である「おもろそうし(1531~1623年編纂)」でシークヮーサーと思われる黄金木が以下の様に詠われていることからも伺えます(金城、2007)。
黄金木の下で(巻2の34) [本文] うらおそいおもろのふし 一 ごゑく あやみやに こがねげは うえて こがねげが下 きみのあぢの しのくり よわる きよらや 又 ごゑく くせみやに [訳文] 越来※1綾庭に 黄金木を植えて 黄金木の下 君の按司(神女)が しのくり※2給う見事さよ 越来寄せ庭に ※1「越来(ごえく)」は、現在の沖縄市にある地名。 ※2「しのくる」は「踊る」を意味する おもろ語。 |
また、比嘉朝進氏が編著した「沖縄怪奇伝説のナゾ」という書籍には、「クガニーを供えるわけは?」というテーマで、沖縄では何故 (お盆や)正月にクガニーを供えるのか、の由来に関わる2つの昔話が記載されています。
このことから、沖縄では正月にシークヮーサー(クガニー)を仏壇等に供える風習があったことが伺えます。
因みに、正月にシークヮーサーを神棚や仏壇に供えるのは以下の話の様な「一夜にして大金持ちになった親子にあやかって」なのだそうです。
【一夜にして大金持ちになった親子の話】
(シークヮーサーを正月に供えるわけ)
フルーツシークヮーサーを食べたことがない方は、この冬に是非挑戦してください。
年末ジャンボ宝くじをお買いになった方は、シークヮーサーを供えて大金持ちになってください。
写真4.フルーツシークヮーサーを供えよう!
○参考文献
・金城秀安.2007.南西諸島の香酸カンキツ「シイクワシャー」.柑橘研究;第17巻;p.137-148.田中柑橘研究場.
・比嘉朝進.2005.沖縄怪奇伝説のナゾ.p.65-67.球陽出版.
【お知らせ】熱帯果樹に関心のある方は「Facebook」「Twitter」もご覧ください。
| リアルで面識がなくても気軽に「ともだちになる!」とリクエストしてください。 その際、メッセージも付けて頂けるとスパムではないことが確認でき助かります。 |
| 気に入ったら「フォロー」してください。 |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます