羽鳥操の日々あれこれ

「からだはいちばん身近な自然」ほんとうにそうなの?自然さと文化のはざ間で何が起こっているのか、語り合ってみたい。

花の駆け落ち…吉野桜

2007年03月24日 08時11分18秒 | Weblog
 名古屋御園町の米商・杜国、本名坪井平兵衛。この若い大旦那は、身のこなしも洗練されていた。そのうえ心やさしく気高い青年で、まさに芭蕉好みであったという。ご法度に触れ流罪となったその人を芭蕉は連れ出し、吉野の桜へと誘う。
 杜国(とこく)あらため万菊丸と名乗って、芭蕉に従い「禁断の旅」に出る。

 …いでや門出の戯(たはぶ)れ事せんと、笠のうちに落書きス。
  乾坤無住同行二人

  吉野にて桜見せふぞ檜の木笠    芭蕉
  吉野にて我も見せふぞ檜の木笠   万菊丸

 
「ともに檜の木笠に呼びかけているが、これはどう考えても駆け落ちカップルが心中するような遺書ではないか。」
 そう書くのは、『悪党芭蕉』の著者・嵐山光三郎。
 この旅がばれてしまうと、芭蕉その人も咎を受ける。
 紀行『笈の小文』は、そんな事情から、生前発表されることはなかった。

 吉野の桜は、人を惑わすものなのね!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする