日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

刀 相州住康春 Yasuharu Katana

2016-08-01 | 
刀 相州住康春

 
刀 相州住康春

 小田原の北条氏に仕え、相州刀の新時代を切り拓いたのが康春。義助などと共に島田から移住した一人である。この刀は、刃長二尺二寸強、反りが六分近くあり、先反りの付いた菖蒲造。横手筋のない鋒は鋭く、姿は恐ろしい。その一方で剣の彫物が刀身をすっきりと見せている。縮緬状に揺れた板目鍛えの地鉄は良く詰んで地沸が付き、これを分けるように地景が入り組む。刃文は尖り刃交じりの互の目。焼深く、互の目が刃境から離れて飛焼状に見える部分もあり、皆焼を狙っているわけではないものの、焼の出入りは複雑で、変化に富んでいる。島田鍛冶の流れを汲む鍛冶ながら相州古作を手本として、戦国期の同時代を強く意識した造り込みとしている。□