日本刀鑑賞の基礎 by ZENZAI  初心者のために

日本刀の魅力を再確認・・・刀のここを楽しむ

脇差 義助 Yoshisuke Wakizashi

2016-08-16 | 脇差
脇差 義助


脇差 義助

 一尺五寸弱、反り二分の、ちょっと変わった造り込み。南北朝時代の大太刀を磨り上げたように反りが抑えられて身幅広く、鋒の伸びた姿だが、戦国時代最末期の刀のように重ねが厚く仕立てられている。特別の注文であろう、造り込みからは時代感が分からない。地鉄は良く詰んだ板目鍛えで、縮緬のように揺れた杢肌が交じって地沸で覆われ、ここにも特別の造り込みの感が窺える。刃文は形の明確でない互の目湾れで、相州伝の特質を備え、帽子は掃き掛けを伴い返りが長く、互の目の棟焼となる。この帽子の景色も面白い。魅力は繊細緻密に鍛えられた地鉄が生み出す美観であろう、高い技術が窺いとれる。