今日はアンサンブルのステップがあった。弾いた曲目はハイドンのピアノトリオHob. XV/25の第2楽章。昨年弾いた第1楽章に続いての第2楽章だった。ヴァイオリンとチェロの方たちはプロの先生で本当に上手な方たち。彼女たちとのアンサンブルは今回で3度目だった。
このハイドンの、ピアノトリオHob. XV/25は旋律が美しい曲。しかも譜面は本当にシンプルで難しい所がない。なのですぐに音を出せるようにはなったものの、それからあとが本当に大変だった。私の苦手なアダージョの音出しという課題を克服するのによい、と先生に言われたのも納得。シンプルが故にマンネリにも陥ったりもした。。。勝手なものだ。
まず出だし。音の出し方からやり直し。硬くならないように、そして輪郭となる音をしっかりと出すように、ということだったのだが、そこで障害となるのが間に入る装飾音。飾りの音で軽やかにしたいのに重くなりがちだったので、どのように弾いたら軽く、しかもちゃんと聴こえるようになるかというところでつまづいた。ここは最初から直前までずっと指摘されっぱなしだった気がする。指の支えの弱さを実感しながらも、なんとか第3関節がでっぱるように、指を見ながら弾こうと心掛けた。昨日の直前レッスンで秘訣の方法を教えていただき、いけそうな気持ちにはなれたものの、本番の今日弾けるようになったかというとまだまだ課題が残されたようだ。
そして同じ出だし。ヴァイオリンの先生とぴったり合わせて始めるのも課題だった。弦楽器は弓を引いてからはじめて音の出るのだが、ピアノは鍵盤を押したら(「押す」や「叩く」本当はどちらもピッタリとこない)すぐに音がでる。なのでどうしてもピアノのほうが早く出てしまいがちなのだが、そのようにならないために、こちらは分かるように息を吸い、ヴァイオリンの方から出ている気を感じ取りながら、始めるようにするとよいというアドバイスをいただいた。私の場合息が浅いところがあるとのことだったので、特に出だしの部分は分かるように気を付けるようにした。
各部の終止前。V7の和音で今から終止に向かうというところを示しているのだが、いまいちその示し方が弱いということだった。自分では意識していたつもりでも、そのように聴こえていなかったようだ。また終止前と言えば倚音(いおん)。和音の変わり目に跳躍進行して非和声音となり、順次進行して和音構成音に解決する非和声音のことを倚音というのだが、この倚音の響きは実に美しいのだ。なのでしっかり歌わせたいと思っていたのだが、歌わせ方が足りないという指摘もあった。しっかり歌わせたら本当に美しいと直前になって感じた。
低音部。オクターブのところを中心にフレーズ感がまったくなっていなかった。チェロの先生からどのようにしたら低音オクターブのフレーズ感が得られるかということのアドバイスをいただいた。オクターブの低音部を特につなげようとするとよいらしい。そうしたら確かに歌わせやすくなった。
その他奏法についても初めから終わりまで多くのことを教えていただいたのだが、なかなか教えていただいたことを身につけることができず、その上テンションが上がるのも遅く、直前まで不安になっていたのだが、具体的なアドバイスをぎりぎりまでいただき(しかも子供たちに混じってお菓子までいただいた)、ポイントをつかんで弾こうと心掛けたら、前日になって、がんばれそうな気がしてきた。 しかし、これでいいのだろうか、という不安は残されたまま。
そして今日の直前リハ。時間がさしせまっており、途中までしか演奏できなかったのだが、弦の先生によくなったと言っていただき、平常心で弾けばなんとか弾けそうな気がしてきた。
本番。今回は開始前は全く客席に向かうことなく舞台袖から出ることになった。挨拶は弦の方たちの間からするようになっていたもののなんとなく違和感を感じた。そう感じながらもひとまず挨拶し、椅子の高さを調整して弾き始めた。出だし、うまくいった。細かいところはきまったところと失敗したところとがあったが、全体的に、落ち着いて演奏出来たような気がした。もちろん満足というものではなかったが、始めたころの手に負えなそうな状態からは明らかに脱出できたと思う。苦手なアダージョの音だしも、少しは克服できたかもしれない。
ちなみに他にも社会人の方がいらっしゃり、その方と話が盛り上がった。堂々と演奏されていて素敵だと思っていたら合唱の伴奏もされている方だった。
終了後。先生方からの講評をまとめると以下の通り。
息をよく合わせて弾いている。せかせかした感じでないのもよい。音の響きがかたくならず、打鍵のスピードが速すぎずに、ペダルをもう少しうまく使うとよい。弦楽器の音の跳躍に合わせてピアノのメロディラインを歌わせてみるとより音楽が美しくなる。
左手の伴奏が少し焦って聴こえる。先に先にという気持ちではなく、伴奏の響きの変化をもう少し聴いてもよい。
細かな装飾音はキュッとつまらぬよう、幅広く弾いてみてもいいかも。
非常に短い時間だったのだが終わったらぐったり。結構今回は集中したのかもしれない。しかしもっとスタミナをつけたほうがよさそうな気がしてきた。
とにかくひと段落してほっとした今日一日だった。
演奏の録音です。(弦の方たちは本当に上手です。彼女たちに支えられたと言っても過言ではありません)