今年最後のYoutubeはこの曲にしようと思います。シューベルト作曲の『An Sylvia 』(日本語では「シルヴィアに」)です。『心を支える名曲セラピー』(山本一太著)という本(この本、タイトルのイメージ以上に幅広い曲がくわしく紹介されています)によると、ヴィーンで生まれヴィーンでなくなったフランツ・シューベルトは、生涯にわたってドイツ語の詩に歌曲を作りました。この曲はシェークスピアの『ヴェローナの二紳士』という戯曲の中の詩のドイツ語訳で、美しい村娘シルヴィアの気を引くためのセレナーデです。『ヴェローナの二紳士』の二紳士は、シルヴィアを好きになったヴァレンタインとプローテュースという二人の男性のことを指しており、彼女を巡っての三角関係が繰り広げられながらもなんとか一件落着、という話です。この歌を歌ったプローテュースの動機を深く考えるとちょっと頭をひねるところもないことはないのですが、歌の美しさとは歌う人物とは真反対ということも多いような気がします。例えば魔王、一番美しいところはなぜか魔王のパートだったしするし。しかしこの歌で称えられるシルヴィアはこの歌詞の通りとても素敵な女性です。
この歌もシルヴィアをたたえる歌としてふさわしく、旋律が非常に美しくふんわりとしています。のどかで温かい気持ちになれそうです。
ドイツ語は分からないのですが、歌詞を載せておきます。日本語訳が載っているサイトもありました。
An Silvia
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- William Shakespeare / Eduard von Bauernfeld
Was ist Silvia, saget an,
daß sie die weite Flur preist?
Schön und zart seh ich sie nahn;
auf Himmelsgunst und Spur weist,
daß ihr alles untertan.
Ist sie Schön und gut dazu?
Reiz labt wie milde Kindheit;
ihrem Aug eilt Amor zu,
dort heilt er seine Blindheit,
und verweilt in Süßer Ruh'.
Darum Silvia tön, o Sang,
der holden Silvia Ehren;
jeden Reiz besiegt sie lang,
den Erde kann gewähren:
Kränze ihr und saitenklang!
Fritz Wunderlich(フリンツ・ヴンダーリヒ)の名演奏で。