いろはにぴあの(Ver.3)

ピアノを趣味で弾いています。なかなか進歩しませんが少しでもうまくなりたいと思っています。ときどき小さな絵を描きます。

弦楽四重奏を聴いてきました 

2014年03月01日 | ピアノ・音楽

 今日は弦楽四重奏団の演奏を聴きに行ってきました。クァルテット・ソレイユという溌剌とした弦楽四重奏団のアンサンブルでした。

曲目は

ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲Op.10

西村朗作曲 弦楽四重奏第2番 光の波

シューベルト作曲 弦楽四重奏曲第14番ニ短調 『死と乙女』D810

 弦楽合奏だけのアンサンブルは今までなぜか縁がなく、生演奏を聴きに行ったのは今回が初めてだったような気がします。今回はピアノの先生が声をかけて下さり、折角の貴重な機会だからということで行くことにしました。

 演奏前にリハーサルも見学することができたのですがそれぞれのメンバーさんたち、一音一音にこだわり、納得できるものに仕上げようと意見を出し合っていました。弓をどのように扱うかという話などもしており、音を出し合ってこれでよいか細かく確認し合っていました。

 本番開始直前にレクチャーがありました。ドビュッシーの弦楽四重奏曲の共通しているテーマや、西村朗の光の波で用いられる独特な奏法の一例など、その後の演奏が楽しみになるような内容でした。

 そして本番。演奏者の方が書いて下さったプログラムの解説も少し引用しながら書きます。なにしろ三曲とも知らないで行ったのです(^^ゞひどい聴衆です。

ドビュッシー作曲 弦楽四重奏曲Op.10

この曲はドビュッシーが残した唯一の弦楽四重奏曲なのですね、インパクトが強く迫力と臨場感のあふれるテーマで始まりました。牧神の午後への前奏曲とほぼ同時期に書かれ、音楽で絵画のような色彩を表現するきっかけとなった曲だということですが、音楽から原色の雨を感じさせるようなカラフルな色が見えてきました。しっとりとした湿気が感じられるひねった響きから弓の細やかな操作からうまれるはっとするような細やかな響きまで本当に多彩で濃厚な音楽でした。

西村朗作曲 弦楽四重奏曲第2番 光の波

現代音楽の演奏で世界的に有名な弦楽四重奏団「アルディッティ・クァルテット」が「非常に演奏が難しい曲を作ってくれ!」と頼んだ結果作られた曲。まさにその通りのようで、フラジオレットという笛の様な音や、スル・ポンティチェロというキイキイいう音や、打楽器のように叩いたと思われる音など、様々な特殊奏法も駆使したすごいものでした。異様でミステリアスな雰囲気で始まりました。虫がぶんぶんと飛んでいるような雰囲気から、だんだん暖かく、そして熱くなってきてなんとなく熱帯の楽園のようなイメージ、楽譜にはどのように書かれているのかと思えるような弦楽器同士のずれぐあいが絶妙でした。ぐちゃぐちゃなようで世界がちゃんと出来ていて、クライマックスと思える部分では、インドネシアのケチャの儀式と思えるような (解説にありました)躍動感の溢れた踊りの音楽もあり、聴いていて血が騒ぐようでした。調性もこれといったメロディーもなかったようなのですがとても魅力的な世界が繰り広げられていました。メンバーさんたちの集中力もただならぬものがありました。まさに本番では徹底的に向き合うプロの姿勢だと。本当に貴重なものを聴かせていただいたという感じです。

シューベルト作曲 弦楽四重奏曲第14番ニ短調 『死と乙女』D810

15曲残されたシューベルトの弦楽四重奏曲で最も有名な曲だと言われていて、第2楽章のテーマに同名の歌曲のピアノ伴奏部分を用いていることから、「死と乙女」というタイトルがつきました。題名からも、そして全楽章単調であるということからも、重くて恐ろしい曲なのでは、と思っていたのですが半分当たり半分外れた印象でした。確かに出だしの激しさ重さは主人公が迫りくる何かと闘っているような雰囲気で、重く悲しい情景が曲全体を覆っていたのは確かでした。しかし古典的な調性感に収まっているため、激しいけれどもどうしようもなくぞっとするような感じはなかったです(むしろドビュッシーの新しい響きの方が私にはぞっとしました)そして第2楽章や第3楽章で顔をのぞかせる長調の部分の歌心と透明感あふれた美しさがたまりませんでした!まさにこれぞシューベルト、こんなに美しくていいのでしょうか。曲全体から見たらほんの一部分にすぎないところかもしれませんがそこの美しさにすっかりはまった私。第2楽章だけでも抜粋して何度でも聴きたい思いです。第4楽章は激しかったですね、追い立てられているような感じで死神が疾走するという喩えが当たっているのかもしれませんが急速な動きの中に見られた目くるめくような、そして物語を感じさせられるような場面の変化の鮮やかさにほれぼれしてしまいました。難しいと思うのに、音程もばっちり息もぴったり。本当に、素晴らしい演奏でした。

 弦楽器は音がでる弦の部分が表に出ているため、音楽が舞台前面から勢いよくでてきているような気がしました。弓の方向や微妙な動かし方や楽器の角度によって出てくる音、そして方向性や動きが異なり、音のパレットが実に多く、音楽そのものを作り上げるという楽しさもたくさんありそうな気がしました。しかし、そこまで楽しめるようになるまでに気が遠くなるような積み重ねがあったのだと思いますが。フレーズや音の表情づくりの面でピアノでも生かしたいと思えるところがたくさんありました。それとともに生演奏ならではの臨場感も体全体で感じることが出来ました。本当に貴重な機会でした。

(ちなみに来週もクァルテット・ソレイユの演奏会があります。2014年3月10日(月)19:00開演で横浜市鶴見区民文化センターサルビアホール3階 音楽ホールです。曲目は今日とは異なっています。ベートーヴェン、リゲティ、メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲です。)


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