ノエルのブログ

シネマと海外文学、そしてお庭の話

ある日の日記 プラス読書雑感

2022-10-29 17:52:50 | 本のレビュー

「ほうじ茶のクッキー」なるものを、教えてもらった。

クッキー生地を、ビニール袋に入れて、上の写真のように6×6のサイズに切れ目を入れる。

それを切り分けたのをオーブンの天板の上に、

のように並べる。焼きあがったクッキーを家に持ち帰り、珈琲と一緒に。☕

  

なかなか、美味しい! 紅茶の葉を入れたクッキーはよく見るけど、ほうじ茶というのは目先が変わってよいかも。

ここ数か月の読書で言うと、今期の芥川賞を受賞した高瀬準子の「おいしいご飯を食べようね」——退屈だった。いやに長ったらしいし。登場人物にも、まるで共感がわかない。 体が丈夫でない、としょっちゅう早退する女性がヒロインで、彼女は「すみませ~ん。代わりにお菓子を焼いてきました」とお菓子やケーキを職場に持ってくるのだが、彼女となぜか恋愛関係になってしまう、食事というものに関心の薄い若い男性社員と、彼にほのかな好意を寄せ、ヒロインに反発を抱く女性社員の三人が焦点的に描かれる。

登場人物もみな、潔癖さが爪の垢ほどもないし、ヒロインの人物像が読んでいて、不快。彼女と男性社員が最後、結婚するというエンディングはとってつけたようで、後味の悪い読後感。

芥川賞も地に落ちたなあ…… というべきな作品だと思うのだけど……売れているのだとか。

みな、面白くないと思わないのかな……?  宇佐美りんの「くるまの娘」も面白くなかった。

  

それに比べると、直木賞受賞作の窪 美澄の「夜に星を放つ」☆彡の方がだいぶ、良かったです。星に結び付いた短編が5作並ぶ、短編集。みな、「面白い!」というほどではないのだけれど、しんみりとした余韻が残る。作者の窪さんという方は、きっと心の優しい人なのだろうなあ、と思わせられました。

 

 

 

 


流されてゆくだけの日々

2022-10-25 09:31:47 | 本のレビュー

なんか、ものすごく疲れる。日々しなければいけないことをしただけで、もうグッタリしてしまい、後は横になって休息をとっている。

こんなことでいいのだろうか? (よくないに決まってる)

しかし、体が動かないので、考える力が回復した後は、TVを見たり、読書をするよう心掛けている。

最近、面白かったのは、「群像」。

   

文芸誌は、学生時代に借りて読んだものの、「何だか、面白くない」とずっと離れていた。しかし、この間、読みたいと思った石沢麻衣の「月の三相」が掲載されているというので、図書館から「群像 2022 5月号」を借りたのだが、とてもスリリングで楽しい読書体験だった。

えっ、文芸誌って、こんなに面白かった? 狙いの「月の三相」は、設定や作品世界が実に異質。架空の街らしき、ドイツの南マンケロートという街が舞台なのだが、ここでは住民は皆、肖像面という自分の顔を面にしたものを所有している。この面を打つための面作家という不思議な職業人もいるのだが、この面と人のアイデンティティーをめぐって、思考の螺旋階段のごとき、物語が延々と続く。会話もほとんどなく、面をめぐって、キャラクターというべきほどのものも持たない、登場人物が影のように立ち現われゆく。

実は、この街には「眠り病」という奇病があり、長い眠りについた人々の顔を面に作り上げた「眠り顔」という面もあるというから、ややこしい。石沢麻衣の言う、面とはベネチアのカーニバルで使われるような、あるいはかつての西洋画で描かれた寓意としての仮面に近いものらしいのだが、南マインケロートの人々が、なぜ仮面を必要とするかについては、はっきり書かれていない。

面をめぐってのエクリチュールが延々と繰り返される中で、ドイツという国が背負ってきた歴史の影も見え隠れする。

(一般受けしない文学作品だろうけれど)、私には実に、面白かった。しかし、この書き方は、作家というより……。と思い、調べると、やはり、東北大学大学院を出て、今ドイツに在住とある。学者の書く文体に、近いと思った通りだった。

 町田康の「日本武尊」も、とてもポップで面白い! 実は、名前だけはよく知っているものの、町田さんの小説を今まで読んだことはなく、エッセイの「スピンクシリーズ」(町田さんが、保護犬である愛犬のスタンダードプードル、スピンクたちとの日々を、楽しく、自虐的につづった、パンクロックなエッセイ!)のファンだっただけなのだが、このヤマトタケル、関西弁丸出しで、ほんま、おもしろいどすわ。

会話が、すでにロックンロールしてる! よし、町田さんの小説を、探しに旅立とう、と決心した秋の終わり

 


TV番組から

2022-10-11 20:24:08 | テレビ番組

一昨日だったか、NHKでローマを紹介していました。

もちろんというか、当然のごとく出てきたのはスペイン階段。

   

こんな感じね。あまりに有名な名所ですが、ここは映画「ローマの休日」の印象的なシーンに使われた場所としても、知られているのはご存じの通り。

アイスクリームをなめつつ、階段を下りてくるヘプバーンと新聞記者ジョーを演じるグレゴリー・ペック。映画はモノクロームだったけれど、そうか……実際はこんな感じだったのか……ヘプバーンのはいているスカートは品の良いグレーだったろうと想像していたのだけれど、実際はイタリアの空そのもののような、明るいブルー!

今では、アイスクリームを食べながら、階段を歩くのも禁止されてるのだとか……昔、ここでジェラートを食べた記憶もうっすらありますが、押すな押すなの、ものすごい人込みで、とても優雅にアイアスクリームをなめられるという、状況ではありませんでした。

さて、番組も、もちろん、「ローマの休日」のことにふれていましたが、そこに現れた、熟年らしき男性。もしかしたら……と思った通り、オードリーの息子のルカ・ドッティさん。

「うわ、すごい」と思ってみていると、ルカさんが広場を歩きながら、オードリーの思い出をぽつりぽつりと語ってくれるのであります。

紺色の薄いジャケットに白シャツ、細身のパンツーーとカジュアルでシンプルながら、洗練されたファッションのルカさん。やっぱり、オードリーの息子さんだなあ。

「母は散歩が好きでしたが、ここを友達としゃべりながら、よく散歩していたものです」とか、

「母はチョコレートケーキを、僕たち息子によく作ってくれたものです」などとに逸話がポロポロ(オードリーのチョコレートケーキの件は有名ですが、一体どんな味だったの?)

そして、次に紹介されたのは、今でもイタリア貴族が住まうコロンナ宮殿。 天井の絵やルビー色の壁が、宝石のように美しく(4Kの映像だから、美しさもバッチリ!)、調度品の素晴らしさともども度肝を抜かれてしまったのでありますが、なんとこここそ、「ローマの休日」で、オードリー演じるアン王女の滞在先であり、最後に記者会見が行われる場所として、使われたのだとか――モノクロームとはいえ、あの壮麗な宮殿は、くっきり印象に残っているのですが、実在のコロンナ宮殿は、こんな風であったのか……。

画面に見る鮮やかな色彩のコロンナ宮殿は、もちろん美しいの一言につきるのだけれど、白黒だからこそ、「ローマの休日」の品の良いおとぎ話の趣を高まったのかも? でも、カラーの「ローマの休日」も見てみたい……とあれこれ想像してしまう私でありました。