琵琶湖を抱える滋賀県は、ヨシの回復を目
的に「ヨシ条例」をはじめてとし、2006年
には「ふるさと滋賀の野生動植物との共生
に関する条例」公布し、県下の希少野生動
植物種の保全、保護区、外来種対策などの
生物の多様性と係わる包括的な事柄につい
て定めている。現在、地蔵川(ハリヨ)、山
門湿原(植物)、油日(サギスゲ等)地域
を指定し、2009年に、2ヵ所を追加指定し
た。
県内の環境に対する取り組みは進んでいる
ものの、生物多様性の言葉の意味やその詳
細は周知されてこなかったを受けて県内に
ある博物館や市町等と協力しながら、県内
巡回展示を行い認知、広報を行うという。
また、COP10会場発の「県民とふれ
あいを重視したエクスカーション(共同で
行う野外調査、遊覧旅行:excursion)をC
OP10に向けて生物多様性の認知度アッ
プを積極推進世界中から琵琶湖ファン集め
るエコツーリズムの要に希少種保護実施し、
海外からの参加者を滋賀県へ招き、山門湿
原等の生息・生育地保護区や湖岸域の保全
活動などの「県内の取り組み」を発信して
いくという。
また、2004年から琵琶湖の周りの自然や生
活文化を資源として活かすエコツアーの支
援事業を行ってきたという。昨年「新・滋
賀県観光振興指針」を策定し「滋賀の素材
を活かしたツーリズムの展開」という観光
振興の方向を打ち出している。今回のエク
スカーションも、海外からの旅行者に琵琶
湖生態を体験してもらい滋賀と琵琶湖のフ
ァンになっていただけるツアーを企画して
いるという。
エコツーリズムの振興では、地元の取り組
みを県が支援し、高島市の「びわ湖・里山観
光振興特区」を滋賀県版経済特区事業に認
定し、市の計画にもとづいたさまざまな整
備を行っているという。里山や琵琶湖、針
江地区の生水(しょうず)等といったその
土地の自然や文化を活かしたツーリズムに
よる地域活性化が目標。また「全国エコツ
ーリズム大会inびわ湖高島」(平成21年)
の開催など、全国の人々に地域の取り組み
を発信する動きも徐々に広がっいるという。
(『環境ビジネス』2010.6、P.117)
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淡水魚「ハリヨ」全長5~7cmで、木の葉の
ように左右に平たい。水草の生い茂った水
深20~50cmの浅瀬に生息する。清浄な湧水
が必須で、水温20℃を超える場所では生息
できない。環境省のレッドリストでは絶滅
危惧IA類に指定。生息地そのものが天然記
念物指定されているところもあり、分布域
の各自治体で河川の清掃などの保護活動が
行われている。
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サギスゲ(鷺菅)は亜高山帯や低地の湿原
に生え、筆のような形をしている白い綿毛
(果穂)を1本の茎に2~5個つける。サギ
スゲの名は、白い綿毛をサギ(鷺)にたと
えて付けられた。綿毛が球状に一個だけ付
くワタスゲに対して、サギスゲの白い果穂
は数個つくのが特徴。
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【感想】
エコツーリズム(ecotourism)とは、 環境や
社会的なものまで含めての生態系の維持と保
護を意識し、地域社会の発展への貢献を考慮
したツーリズム(旅行、リクリエーション)
のことで、エコツーリズム推進法が成立し
2008年に施行された。エコツーリズムを具体
化したツアーをエコツアーと呼ぶ。またツア
ーにおける情報提供をガイダンスという。
1968年にギャレット・ハディーが出した論文
「コモンズの悲劇」は、バランスある開発が
持続可能な社会を形成するといったことを提
言したエコツーリズムの古典的論文である。
エコツーリズムはあくまで、地域の環境や生
活や文化を破壊せずに自然や文化に触れ、そ
れらを学ぶことを目的に行う旅行、滞在型観
光等を指す。なお、エコツアーは具体的には
農村滞在、農業体験、自然探訪ツアー等があ
る。この定義を初歩的に理解するための論文
として「ライオンの経済学」が有名である。
ライオン1頭の価値は、ハンティングツアーで
は9460 - 9825ドルであるが、アフリカの保護
区のサファリの体験ツアーでは、515,000ドル
となる。ライオンにとってもアフリカの住民
にとっても、幸せな方法は保護して観光客に
見せることである。自然を破壊するツーリズ
ムでなく、人と自然が共生社会する社会関係
を目指した旅行形態であるという。
というが、現状では「少数派の旅行」という。
将来的には、マスツーリズム化し、いかに多
数派を形成していくという課題として残ると
いうが、問題解決型観光形態(あるいは運動
体)ということだろう見当をつけたものの、
その中身は不明だというところに落ち着いた。
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