琵琶湖のエコツーリズムとは

2011年01月06日 | 日誌

 

琵琶湖を抱える滋賀県は、ヨシの回復を目
的に「ヨシ条例」をはじめてとし、2006年
には「ふるさと滋賀の野生動植物との共生
に関する条例」公布し、県下の希少野生動
植物種の保全、保護区、外来種対策などの
生物の多様性と係わる包括的な事柄につい
て定めている。現在、地蔵川(ハリヨ)、山
門湿原(植物)、油日(サギスゲ等)地域
を指定し、2009年に、2ヵ所を追加指定し
た。

県内の環境に対する取り組みは進んでいる
ものの、生物多様性の言葉の意味やその詳
細は周知されてこなかったを受けて県内に
ある博物館や市町等と協力しながら、県内
巡回展示を行い認知、広報を行うという。
 また、COP10会場発の「県民とふれ
あいを重視したエクスカーション(共同で
行う野外調査、遊覧旅行:excursion)をC
OP10に向けて生物多様性の認知度アッ
プを積極推進世界中から琵琶湖ファン集め
るエコツーリズムの要に希少種保護実施し、
海外からの参加者を滋賀県へ招き、山門湿
原等の生息・生育地保護区や湖岸域の保全
活動などの「県内の取り組み」を発信して
いくという

また、2004年から琵琶湖の周りの自然や生
活文化を資源として活かすエコツアーの支
援事業を行ってきたという。昨年「新・滋
賀県観光振興指針
」を策定し「滋賀の素材
を活かしたツーリズムの展開」という観光
振興の方向を打ち出している。今回のエク
スカーションも、海外からの旅行者に琵琶
湖生態を体験してもらい滋賀と琵琶湖のフ
ァンになっていただけるツアーを企画して
いるという。

エコツーリズムの振興では、地元の取り組
みを県が支援し、高島市の「びわ湖・里山観
光振興特区
」を滋賀県版経済特区事業に認
定し、市の計画にもとづいたさまざまな整
備を行っているという。里山や琵琶湖、針
江地区の生水(しょうず)等といったその
土地の自然や文化を活かし
たツーリズムに
よる地域活性化が目標。また「全国エコツ
ーリズム大会inびわ湖高島」(平成21年)
の開催など、全国の人々に地域の取り組み
を発信する動きも徐々に広がっいるという。


   (『環境ビジネス』2010.6、P.117)


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淡水魚「ハリヨ」全長5~7cmで、木の葉の
ように左右に平たい。水草の生い茂った水
深20~50cmの浅瀬に生息する。清浄な湧水
が必須で、水温20℃を超える場所では生息
できない。環境省のレッドリストでは絶滅
危惧IA類に指定。生息地そのものが天然記
念物指定されているところもあり、分布域
の各自治体で河川の清掃などの保護活動が
行われている。



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サギスゲ(鷺菅)は亜高山帯や低地の湿原
に生え、筆のような形をしている白い綿毛
(果穂)を1本の茎に2~5個つける。サギ
スゲの名は、白い綿毛をサギ(鷺)にたと
えて付けられた。綿毛が球状に一個だけ付
くワタスゲに対して、サギスゲの白い果穂
は数個つくのが特徴。


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【感想】

エコツーリズム(ecotourism)とは、 環境や
社会的なものまで含めての生態系の維持と保
護を意識し、地域社会の発展への貢献を考慮
したツーリズム(旅行、リクリエーション)
のことで、エコツーリズム推進法が成立し
2008年に施行された。エコツーリズムを具体
化したツアーをエコツアーと呼ぶ。またツア
ーにおける情報提供をガイダンスという。

1968年にギャレット・ハディーが出した論文
コモンズの悲劇」は、バランスある開発が
持続可能な社会を形成するといったことを提
言したエコツーリズムの古典的論文である。

エコツーリズムはあくまで、地域の環境や生
活や文化を破壊せずに自然や文化に触れ、そ
れらを学ぶことを目的に行う旅行、滞在型観
光等を指す。なお、エコツアーは具体的には
農村滞在、農業体験、自然探訪ツアー等があ
る。この定義を初歩的に理解するための論文
として「ライオンの経済学」が有名である。
ライオン1頭の価値は、ハンティングツアーで
は9460 - 9825ドルであるが、アフリカの保護
区のサファリの体験ツアーでは、515,000ドル
となる。ライオンにとってもアフリカの住民
にとっても、幸せな方法は保護して観光客に
見せることである。自然を破壊するツーリズ
ムでなく、人と自然が共生社会する社会関係
を目指した旅行形態であるという。

というが、現状では「少数派の旅行」という。
将来的には、マスツーリズム化し、いかに多
数派を形成していくという課題として残ると
いうが、問題解決型観光形態(あるいは運動
体)
ということだろう見当をつけたものの、
その中身は不明だというところに落ち着いた。