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柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原子力発電所は新潟県柏
崎市と、同県刈羽郡刈羽村に跨る東京電力の原子力発電
所である。略称はKK(ケーケー)。現在1号機から7号機
までの7つの原子炉を有する。7基の原子炉が発生する合
計出力は821万2千キロワットに達し、7号機が営業運転を
開始した1997年7月2日の時点でそれまでの最大だったカ
ナダのブルース原子力発電所を抜いて世界最大の原子力
発電所になった。発電された電気は新新潟幹線及び南新
潟幹線の2系統の50万Vの送電により一旦群馬県の西群馬
開閉所に収容され、そこから山梨県を経て首都圏に送電
されている。なお発電所の位置する新潟県は東北電力の
エリアであり、協定に基づき電力の一部を東北電力に供
給している。
【新潟県中越沖地震での現場の対応状況】
2007年7月16日10時13分頃に最大の揺れ993ガルを観測し
た新潟県中越沖地震が起こった。柏崎刈羽原子力発電所
内の運転中の全ての原子炉が緊急停止したが、運転を管
理する中央制御室では数十秒間にわたり続く揺れのため
に計器の確認が出来ない状況であった。
3号機建屋からの発煙を発見、運転中の全機がスクラム
(緊急停止)し、3号機すぐ横の変圧器から出火を確認、
延焼の可能性はないと判断。初期消火を他の職員に任せ、
スクラム後の対応に全力を傾けるべきとして緊急時対策
室のある事務所建物へ移動。ところが緊急時対策室入口
ドアの枠が歪んでドアが開かず、室内に入れず、駐車場
にホワイトボード4~5枚を引き出して携帯電話で連絡を
取り続けた。
3号機中央制御室でも100近くの異常を示すアラームに対
応。3号機変圧器の火災現場では4人が消火を試みたが、
消火栓の水は地震の影響でほとんど出ず、さらに緊急用
の軽トラック搭載消火ポンプは失念。自衛消防隊の招集
も忘れていた。周辺住民は外部からの携帯電話等の情報
で発電所火災を知る。新潟県庁にも詳しい情報は伝えら
れなかった。各自治体へ伝えられていた環境放射線の
測定データも地震直後から途絶えていた。新潟県知事は
最悪の場合を考え、地元自治体と住民避難の相談をはじ
めていた。12時10分、呼集で原発へ駆けつけた5人の地
元消防の手で3号機変圧器の火災は消し止められた。
※関係自治組織との警報自動連動システムが必要。
3号機と4号機の炉心をスクラム後に冷やす2つの装置の内
の片方が停止。午後4時、内外気圧の差圧異常の原因が判
明、3号機建屋壁面のブローアウトパネルが脱落していた
事、すぐには建屋の気密を戻せない事が判明し炉心心冷
却を3号機優先と決定。この時、6号機建屋内で微量の放
射性の水の漏洩を発見。管理者に6時間後に報告される。
後に上の階のプールの水が地震の揺れでこぼれたものが
配線の隙間穴から階下へ流れたものであることが判明し、
その一部は外部へ排水されたと判った。翌日の朝6時54分
にすべての炉心の冷却を終えて、安全な状態に復元する。
【柏崎原発沖の活断層】
2004年新潟県中越地震震源域南端部の微小地震活動と速
度構造
新潟県中越沖地震後の2007年12月5日東京電力は1981年の
当発電所の設置許可申請の時点で長さ8kmと短く評価して
いた活断層の長さを新たに23kmと確認されたと発表した。
活断層の長さは発電所から海岸線に沿って約11.5km東北
に北上した地点と発電所から海岸線に沿って約11.5km南
西に南下した地点の両地点間の延長約23kmの海岸線をそ
のまま18.5km沖に平行移動した長さと位置に相当する。
従来のあると考えられていた長さ8kmの活断層は柏崎市椎
谷のほぼ観音岬沖であり、その発表は従来の位置と同じ
だが長さ23kmに延長されたものであったとした。2号機以
後の設計時に東京電力では活断層の調査を行なったが、
その時には新潟沖に4本の断層を見つけたとしている。こ
の時には断層が古く短いとされて大地震を起こす可能性
はないと判断された。鈴木康弘は東電が集めた79~85年
の音波探査データを再分析して今回動いたとされる断層
では東電の約7kmに対して約36kmと判定した。
2006年6月、島根原発に関して中国電力が「断層はない」
としてきた地点で、中田高が活断層を実際に掘り起こす
などの成果によって、新しい断層の予想技術が認識され
つつある。「活褶曲」という地形の下に断層が潜んでい
るというものである。渡辺満久は2007年9月に地球観測衛
星「だいち」の合成開口レーダーのデータを分析した結
果として「柏崎刈羽原発は活褶曲の真上にあるようだ」
と発表した。
【エピソード】
「あぁ、活断層、活断層、それにしても活断層」
【脚注及びリンク】
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(1)「2004年新潟県中越地震震源域南端部の微小地震活動
と速度構造」
(2)「花折断層」
(3)「琵琶湖西岸断層」
(4)「琵琶湖西岸活断層系饗庭野断層」
(5)「野坂断層」
(6)「敦賀断層南部」
(7)「柳ケ瀬断層」
(8)「原発建設における特殊な活断層評価」
(9)「柏崎刈羽原子力発電所」
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