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作成日:2020.03.05|更新日:2020.03.06
【地域循環共生圏概論Ⅶ】
☈ 今回は「小水力発電事業」 (オール再エネ小水力発電事業)
の特集を掲載する予定が狂った。もっとも、別のブログに「オ
ール再エネ小水力事業①」として掲載(2020.02.26)する。そ
うこうしているうちに、新コロナウイルスのパンデミック(も
っとも、WHOは認めていない)でバタバタとしているなか、
急遽、「彦根市地域防災計画」の「犬上川護岸工事」の概要掲
載に変更(巻頭写真は工事現場周辺)。
✔ 彦根市地域防災計画案と犬上川護岸工事
☈圏域の自然環境を見ると、植生は、山地部の標高の高い県境
付近ではブナクラス域の代償植生である。シロモジ群集とスギ
およびヒノキの植林が広がり、標高が低くなるとヤブツバキク
ラス域代償植生のアカマツ-モチツツジ群集が主となります。
沖積平野部は、市街地や水田などに利用されており、古来より
人為的な影響が大きいために自然植生はほとんど残されていな
い。犬上川には、河口から概ね4kmの区間まで左右岸の堤防か
ら川岸にかけて自然植生が残されており、まとまったエノキ・
ケヤキ林や特定植物群落に指定されている「犬上河畔のタブ林」
などが河畔林を形成している。また、河畔林の中にはイヌショ
ウマなどの山地性の植物も多く見られる。芹川や犬上川の川原
ではツルヨシ群落や竹林などが帯状に見られ、琵琶湖の湛水位
が影響する河口部ではナガエミクリなどの抽水植物やエビモな
どの沈水植物が見られる。保全すべき貴重な植物では、河口部
の湿地に生育するタコノアシ(環境省版レッドリスト:準絶滅
危惧)、ナガエミクリ(環境省版レッドリスト準絶滅危惧)、
河原に生育するカワヂシャ(環境省版レッドリスト:準絶滅危
惧)、渓流の岩の面に着生するカワノリ(環境省版レッドリス
ト準絶滅危惧)などが確認されている。(河川整備計画(本文)。
1.2.3河川環境に関する現状と課題、(1)生物の生息・生
育、(植生)より)
(魚類)
☈圏域の河川には、アユ、オイカワ、カワムツ、ウグイ、アマ
ゴ、ヨシノボリ、カジカなど多様な魚類が生息。河川と琵琶湖
を行き来する代表的な魚類としてアユ、ビワマス、ヨシノボリ
などが確認されている。砂礫の河床となっている河川は、アユ
などの重要な産卵場となっている。特に犬上川の下流では、
水産資源保護法に基づくアユの産卵保護水面が設定されている。
アユは秋には下流域の砂礫底で産卵し、稚魚は琵琶湖に下って
冬を過ごし、早春に群がって川を遡上して河川の中流域で生活
する。下流よりの瀬にはオイカワ、瀬から淵にいたる流れのや
や緩やかなところにはカワムツが生息。芹川上流の渓流では、
アマゴ、イワナなどが生息。保全すべき貴重な魚類としては、
犬上川で安定的な湧水が確保される地域でしか生息できないハ
リヨ(滋賀県版レッドデータブック2010 年版:絶滅危惧ⅠA類、
環境省版レッドリスト:絶滅危惧ⅠA 類)や琵琶湖固有種であ
るビワマス(環境省版レッドリスト:準絶滅危惧)、カジカ小
卵型であるウツセミカジカ(環境省レッドリスト:絶滅危惧Ⅰ
B 類)、スナヤツメ南方種(環境省レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ
類)などが確認されている。
(動物など)
☈動物では、ホンドイタチ、カヤネズミなどのほ乳類、カイツ
ブリ、カワウ、カワセミ、サギ、ヒヨドリなどの鳥類、イシガ
メ、カナヘビ、シマヘビなどのは虫類、アマガエル、トノサマ
ガエルなどの両生類やその他多くの昆虫類の生息が確認されて
いる。犬上川などのように水域から川原の植生および高水敷の
河畔林へと連続する空間が残されているところは、ネズミなど
の小動物の生息空間となっており、それらを餌とするホンドイ
タチなどのほ乳類が確認されている。鳥類では、流れの緩やか
な河口付近ではカイツブリやカワウが、比較的流れの速い浅瀬
では魚を餌とする主にサギ類などの水鳥類が見られ、水際に近
い河川敷の草地にはカワセミなどの陸鳥類が確認されている。
は虫類では、流れの緩い河口付近でイシガメ、川原や高水敷の
植生の茂みでカナヘビやシマヘビなどが確認されている。アマ
ガエルやトノサマガエルなどの両生類は主に周辺の水田で確認
されているが河川内にもそれらの一部が流れの緩やかな場所で
生息している。不飲川の放水路計画区間は、愛知川の河辺林の
分布域となっており、平地には珍しいカスミサンショウウオ(
環境省版レッドリスト:絶滅危惧Ⅱ類)が生息している。保全
すべき貴重な動物としては、鳥類のチュウサギ(環境省版レッ
ドリスト:準絶滅危惧)、クマタカ(環境省版レッドリスト:
絶滅危惧ⅠB 類)が確認されている。
今橋から南青柳橋(琵琶湖)方面(左岸:開出今側)
印象的な膨大な堆積土砂(一部は橋桁すれすれまで堆積)
✔ 河川整備の実施に関する事項
河川工事の目的、種類および施工場所
河川整備は、「洪水による災害の発生の防止または軽減に関す
る事項(2.2.1)」に従いつつ、「河川の適正な利用および流水の
正常な機能の維持、河川環境の整備と保全に関する事項(2.2.2)」
および河川環境の整備と保全に関する事項(2.2.3)をふまえて実
施。河川の工事に際しては、利水状況などに配慮しつつ、河道
状況や流域の特性に応じて、自然の営力により、それぞれの川
が本来有するべき河原、瀬・淵、多様な水際などの川相が形成・
維持される河道の創出や、上下流における連続性の確保ができ
るように努める。なお、掘削に伴う発生土や伐採した樹木など
は、再利用に努めるなど適切に処理。利水に関しては、用水利
用の実態を把握し、河川改修による影響が発生する場合には利
用者と協議しながら対応する環境に関しては、各河川の特性を
生かした川づくりを行う。湖辺においては、琵琶湖・湖辺に関
する目標に従い、養浜等により砂浜の保全・復元を行う。さら
に、以下のような配慮を行うことにより、良好な自然環境及び
自然景観の保全や親水利用の向上を図る。
■自然素材(石や木材など)の使用 ■魚道の設置などによる縦
断連続性の確保
■掘削法面の緑化 ■親水施設の設置
なお、河川工事の実施においては以下のような配慮を行い、自
然環境への影響を極力低減するよう努める。
■施工時における濁水発生防止 ■魚類の産卵時期を避けた工事
の実施
■必要最小限の樹木の伐採
各河川の施工場所における河川工事の具体的な内容、平面図、
横断図については、以下のとおり。
3.1.1 犬上川
犬上川では、川幅が狭く流下能力が小さい区間を解消するため、
引き堤と掘削による河道拡幅を行う。また、背後地の家屋立地
状況や堤防高を考慮した危険度評価を参考に危険な箇所から堤
防の安全性の点検・評価を行い、その結果を踏まえ堤防強化な
どの対策を実施します。さらに、沿川のまちづくりとの連携に
よる流出抑制(地下水涵養につながる透水性舗装など浸透域の
確保を含む)により流域全体の治水安全度を高められるよう努
める。なお、施工区間には、貴重種であるハリヨやビワマスが
河道内で確認され、河口部には特定植物群落のタブ林が生育し
ているため、これらの自然環境を保全することが望まれている。
河川整備では、河道掘削や治水上支障となる樹木の伐採を行う
こととなりますが、豊かな自然環境に配慮し河畔林の伐採は最
小限にとどめる。河口部のタブ林では、河道法線の見直しによ
り洪水の流下に支障とならない範囲で、現況のまま保全する。
ハリヨの生息場所では、湧水を枯渇させないために現在の水際
状態の保全に努める。
※タブ林:クスノキ科の常緑高木であるタブが優占する森林。
タブノキ林とも言われる。シイ林、カシ林とともに暖温帯の代
表的な植生。
犬上川は、河畔林があり貴重種も生息する豊かな自然環境を有
することから、住民参加による川づくり会議では、「人と自然
生かし生かされる犬上川を次の世代へ」を川づくりのキャッチ
フレーズに定めている。このため、川という自然をできる限り
保全した状態で、子供たちの環境学習や沿川住民が自然と触れ
ることができる場として、利用することを考え、魚類などの生
息・生育の場となっている瀬や淵などの現況の低水路形状をで
きる限り保全し、水辺に降りていくための施設等の整備は最小
限にとどめることを基本とする。開出今橋から下流区間につい
ては、総合福祉ゾーンを構成する老人福祉センター、社会保険
センター、特別養護老人ホーム等の施設が立地しており、隣接
して彦根市立病院も整備された。さらに滋賀県立大学やひこね
市文化プラザなどの文化学術機関や庄堺(しょうざかい)公園も
立地していることから、周辺土地利用と調整を図り、地域住民
等の意見を踏まえた上で自然とのふれあいのできる水と緑のオ
ープンスペース、市民の憩いの場としての整備を目指す。
滋賀県 河川防災カメラ:設置場所 彦根市開出今町地先 犬
上川-今橋
☈宇尾大橋から南青柳橋閑の護岸工事現場を2月29日から3
月1日にかけ巡視。工事は今橋➲開出今方面にシフト(犬上橋
に向け継続工事される予定)。河川敷の堆積土砂の膨大さに驚
く。「護岸」というより「浚渫」と言った方がよいだろうとの
感想をもつ。
※ 出典:No9_滋賀県_「タブノキ林伐採事故に学ぶ」
人口減少が激しく、公的予算を担保に生産性を上げなければ、
防災システムが維持出来ず、荒廃は必定である。「環境リスク
本位制」下で従来の「百年に一度の洪水頻度」との予測は大き
く崩れていくだろう。
この項了
【エピソード】
【脚注及びリンク】
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- 犬上川17:20水位川相橋楢崎橋千鳥橋宇尾大橋犬上
川橋滋賀県土木防災情報システム - 中沢けいこ、
選挙ドットコム滋賀県土木防災情報システム - 東近江市版SIB事業滋賀県東近江市のコミュニ
ティビジネス 若者支援事業への「社会的投資」募
集開始! 関西SDGsプラットフォーム,2019.07.05 - シャープ凋落への岐路は、あの戦略転換だった、
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ビジネス,2020年冬季号 - 2070年平均気温が4℃上昇した世界 ごくとう
ごくらく 2019.12.09 - 「よくもそんなことを」グレタ・トゥン;ベリ
が気候サミットに登壇 気候変動が生む、新たな
「アパルトヘイト」,GNV,2019.12.15 - ほぼ日刊イトイ新聞 - 親鸞、2007.10.12
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Wikipedia
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